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見せますが何か  作者: 飯田橋 ネコ
第四部
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エピローグ

<東京都練馬区光が丘 都立光が丘公園 芝生広場>


 珍しく青く澄んだ春の空の下で2年ぶりに会った保育園のお友達と走り回っているハルくんはもうすぐ小学生。最近寝返りを覚えたフミちゃんは生まれてはじめて見る芝生に興味津々でヨダレ垂らしてる。久しぶりに休みの合った洋平さんは大の字になって高鼾。隣でぼけーっと空眺めてる私。

 永田町と北京の仲が良くなってくれたおかげで、“なんか死んでなかった”ってコトで帰ってこれた私達は、相変わらず春日町の畑のど真ん中に住んでいる。


 “ちゅんちゅん”から送られてきた百余人分の首謀者(おっさん)のリスト。数百以上に細分化されたさまざまな作戦の計画書と指令書。共産党指導部や国務院上層部、人民軍聯合参謀部で夜な夜な繰り広げられていた(←なんで夜のかしらね?)極秘会議の音声データ。宇宙(そら)を奪い、大洋(うみ)を奪い、大地つちを奪い、隕石(あめ)を降らせ、北米大陸を業火で薙ぎ払った計略の全てが、そこにあった。


 市ヶ谷から霞が関へと駆け上がった情報は、前の月に就任したばかりの溝島(みぞしま)首相の即断で国連安全保障理事会へと提出された。与党による女性登用推進の象徴として担ぎ出された、いわばマスコット的存在に過ぎなかった彼女は、その穏やかな語り口で、この歴史上類を見ない“破壊”が、一握りの犯罪者によって行われた“犯罪”に過ぎないことを訴えた。


「これまでのような軍事的な解決策をとる余裕は、今の地球にはないのです」


 モスクワの連邦政府が機能停止に陥り既にオムスク近郊まで失陥したロシア。シベリアに大量動員した挙げ句に国土の大半が灰燼に帰したアメリカ。ロシア軍の核武装解除のため編成された多国籍軍には、EU諸国からも部隊が送り込まれていたため、地球上の軍事的装備の実に4分の3が、ユーラシア大陸中央部に展開したまま一切の補給を絶たれ野ざらしになっていた。


「あぶない兵器(おもちゃ)シベリア(おもちゃばこ)に片付けてもらいましたし、旧指導者(おとこ)たちにはご退場いただきました。これ以上あなた方と私たちの間で諍いは無用と思うのですが、いかがかしら?」


 なぜか公式の外交ルートを通さず、旧4課別室のオンライン会議にちょいちょい出てくる“ちゅんちゅん”氏。最近では溝島首相まで“しょーこ”なんてハンドルネームで割り込んできて、正直すごく迷惑。党幹部の老害(くそじじい)抜きで外交できるってんで好き放題おしゃべり……議論されていらっしゃる。


 女の恨みは恐ろしい、なんて良く言うけれど、アヘン戦争以来たかだか180年の恨みと、有史以来幾千年も隷属させられてきた女たちの恨みを比べてみたら、どちらが深いかなんて子供でもわかるわよね。


 ……にしても、このあとのことを考えると気が重くなる。居留地絡みのゴタゴタは明らかに日本の警察の能力を超えてきているし、南半球の方々はようやく自分たちの時代だとばかりに動き始めている。

 イギリス政府機能の移設も噂されて勢いづくオーストラリア(おーじー)ニュージーランド(きーうぃ)。今回比較的ノーダメな南米諸国連合。豊富な地下資源と人的資源を抱え、遅まきながら近代化を推し進めるアフリカ諸国。情報の世界じゃ相変わらず孤高を保って正直何考えてんだかわかんないフランス政府さま(←いろいろお世話になったけどね)。

 どなたさまも中国大陸の玄関口として機能し始めた我が国に、あの手この手で浸透しようと躍起になっておいでなので、外地情報群(うち)(朝霞で絶賛再編成中〜)もいろいろとお相手しなきゃならない。


 しかも、これから帰ってハルくんの泥だらけの靴と服洗って、フミちゃんの離乳食の準備して、洋平さん(←なんか官邸付きの主席情報官に昇進しやがったこのヒト……)のシャツにアイロンかけて、お風呂わかして、晩ごはん食べて、みんな寝かしつけたあとに3課の脅威評価レポートに目を通して、群全体の人事考課まとめなきゃなんない。


「管理職は育休ナシとか、どうなってんのよ! この組織!?」

「……司令が作ったんですよね、ココ」


 と、いうわけで、今夜も缶チューハイ開けながら巻島さんとオンライン打ち合わせです。洋平さん、今のうちによく寝といて、フミちゃんの夜泣き対応よろしくね〜!


「……ん? ん〜、んー。」


 というわけで、柳一佐(将補昇進予定!)、これからも一生懸命頑張りまーす!

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