第六話
池尻大橋からメールが来たのはその3週間後のコトだった。相変わらずいいお天気だから折りたたみの太陽光パネルにおんぼろのイリジウム繋いでボケーっと空眺めてたら高度780kmから届いたSMS(Short Message Service)。
[ソクジタイキョシ キコクセヨ]
カタカナなら無料通話分で送れるからってそんな大事なコト伝えんのに料金ケチってどーすんのよっ!! って思ったけど、まずは確認。パラボラ広げて衛星掴まえてノート立ち上げて小池サンに聞いて……っていうか帯域足りないからチャット。代表理事〜何事ですか〜?
[アクセサリーの粗悪な類似品が出回って有害塗料のせいで健康被害が出てる。パッケージからロゴから完コピされたからウチが槍玉にあげられてる]
とか言われても、なんで帰国しなきゃなんですか?
[とにかくスゴイ量が流通してる。じきにそっちの政府も騒ぎ出す。とにかく善後策を講じるまでは一旦退去だ。他のメンバーは全員空港に向かった! 一番早い便で帰って来い!!]
まぁ文字だけだとぜんぜん緊迫感ないけど、あの小池サンがこんな時間にこうまで言う(書く?)んだからそれなりに大事件なのよね。
[死者が、出てる]
え?
[頼むからスグに飛行機乗ってくれ!!]
っていわれても次のピックアップ来週まで来ないんですけど。