第一話
<沖縄島 旧うるま市 倉敷ダム>
坦桑尼亜の宇宙港の建設の目処がようやく立ったと思ったら、今度は西南群島の海埋めろだなんてホント何考えてんのかしらね? 北京の奴らも。
イエローストーンの破局噴火で成層圏に舞い上がった数億ギガトンの火山灰のおかげで向こう数十年は続く寒冷な気候。極地の氷床や山脈の氷河が成長する一方で確実に進む海退を利用し、西南群島全体を繋いだ大堤防を構築。東シナ海と太平洋の潮汐を使って発電と埋め立てを進め、100年後には広大な陸地を確保しようってんだから呆れて物が言えないわよね。いくら、「氷河期には陸続きだったんだからさぁ……」とか言っても、資源とか人員とかムリがあり過ぎるわよ、いろいろと。
「明少将! 稼働準備完了です!!」
まぁ、とにかくは沖縄島のこの核物質をなんとかしなきゃ先に進まないわよね。日本政府が匙を投げた米軍の核汚染エリアに、大量の工兵と資材を投入して突貫工事で構築した超多核種除去プラントが轟然と動き出す。そういえばこのプラントの基礎理論は日本の施設の設計図から頂いたんだっけ? 福島ってところにあるその施設は、今では予算がつかなくなって半ば放棄されてるんだって。せっかくいい線行ってた理論なのに、途中で放り投げちゃ努力と才能の無駄遣いもいいトコよね、まったく。
この施設が稼働したら、南側に坦桑尼亜と同じタイプの加速器を作るの。今度打ち上げるのは岩じゃなくて除去した核物質だけどね……。




