第二十話
<東京都練馬区練馬春日町五丁目20番33号 柳家2F寝室>
ばあばのかわりによーへいおじさんがきた。かっこいいってじぶんではおもってるけいのおとなだ。ハルのかんがえてることぜんぶわかるっておもってるのがイタい。ハルだってもうすぐ3さいだ。ちょろいぜとかおもってるおとなのいうこときけるほどこどもじゃない。
ママはさいきんいそがしそう。よなかにジリジリなるおうちのでんわで、はるびんのそうこうしだんがどうしたとか、かしゅがるのしせつのけんせつがどうとか、ずっとおはなししててねむれない。
あとよーへいおじさんとおっぱいすっぱだかでけんかしててすごくうるさい。
<防衛省情報本部 画像・地理部 衛星追跡課>
「課長、ちょっとお時間よろしいですか?」
「どうした?」
「IGS光学5号機のテレメトリーなんですが……256日前のデータと全く同じなんですけど、いったいどういう……」
「それ以上詮索するとためにはならんな」
「……え?」
「問題ない。我々の任務は送られてきたデータの分析だ。……そのデータが生であろうがなかろうが関係ない。いいな。」
「……わかりました」
承服しかねるといった体で去っていく技官。ため息混じりにつぶやく課長。
“……そろそろ受信データの更新スパン広げるかランダムにする時期か。それなりに優秀だからなここの連中も”
<練馬区春日町五丁目17番35号 練馬区立春町保育園2Fちゅうりっぷ組>
ハルくんママはぜったいにおかしい。だってこのあいだもおむかえのときにあきこ先生に“おかあさん、もうちょっとはやくおむかえおねがいしますね”っておこられて、
「……だってあいつらザンジバルのドッグで空母2隻も進水させてたのよ!! 脅威評価見直さなきゃなんないのになんで幹部の私がお迎え来なきゃなんないのよ!!」
っておおきなひとりごとでおこってた。よーへいおじさんがおむかえくるとハルくんのごきげんがわるくなるからママがおむかえくるんだって。
あとよーへいおじさんってぜったいのハルくんのパパだとおもう。かおがそっくりだもん。さやちゃんのママもウチのママもいってた。