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見せますが何か  作者: 飯田橋 ネコ
第一部
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第一話

登場人物


遠藤 春香 (35) NGO所属

遠藤 洋平 (37) 伊東中商事勤務


ほか多数でお送りします

 相変わらずの凄まじいアンバーに包まれる草原を覆う乾ききった大気にパタパタと羽音を轟かせながら北東の方角へ小さくなっていくヘリコプター。さすが旧宗主国の報道機関よね、なんて思いながらも、その行く先に立ちはだかる巨大な積乱雲に少しだけ不安を憶える夕刻。

 今夜はまた大雨(スコール)ね。この間の時は倉庫のトタン屋根から滝みたいに雨漏りして出荷前の在庫危うく全滅するところだった。

 月に4回。ドドマから物資とか食料とかその他いろいろ載せて来たり来なかったりするピックアップ。まぁコンゴ(おとなり)の内戦中に機関砲積んでたトヨタのヤツだから、荷台に変な出っ張りついてるわドアには弾痕ついてるわで、ホント走ってくださるだけでもありがたい流石のMade in Japan。

 ここが最後の拠点だから帰りはほぼ空荷になっちゃって、それじゃ勿体ないからってこの村の人達が作ってるアクセサリー積んでダルエスサラームからの船便に渡して代官山のセレクトショップ置いたら飛ぶように売れ始めたのが半年前。

 最初は珍しい物好きな女子がSNS(Social Networking Service)にあげて、そこにNGO(ウチ)(Non Governmental Organizations=非政府組織)の代表が生産行程紹介したYoutubeのリンク貼ったらウソみたいに再生回数とアクセの売上増えてって、タンザニアのアクセ売り専NGOみたいなコトになっちゃって、池尻大橋の雑居ビル3F本部オフィスに来たメディアの方々に、“本来の活動は……”とかいってもまるで載せてくださらないケド、団体の知名度だけはとっても上がったからまぁ上出来よね。

 わざわざこんな奥地までお越しいただきましたBBC(British Broadcasting Corporation=英国放送協会)の記者さんは流石に切り口違ってて、“現地女性を雇用するにあたってどのような障害があったか”とか“これまで支援をうける一方だったこの地域に外貨が流入することについてどう思うか”なんてズバズバ聞いてくるから、一応この拠点の代表やってる私としてはそれなりなお返事差し上げなきゃならないわけで、そもそもなんで私と同郷の記者を男女セットで送り込んでくるのよ!? なんてちょっと憤慨しながらお答えしてました。

 さっき飛んでったヘリに乗って帰ってった二人。ホント絵に描いたようなお似合いカップルだったけどホントに結婚してるって聞いてさらにびっくり。同じ大学で知り合って就職したBBCの日本支局でたまたま机が隣からの神展開とかでもう二歳の子供がいるとかで、取材される側が見せつけられる感満載でたいへんお世話になりました。


 まぁ、そんなわけで今夜は雨漏り対策きっちりしながらコニャーギ飲んでやるのさ。どーでもいいけどご飯と筋子食べたい。あと黒霧島。

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