大切なペット ~異世界でチートなペットと向き合え~
エタ防止です
「ママこれ飼いたいの駄目?」
少女の腕に抱きかかえられているのは、混沌の渦巻くいくつもの触手が蠢く冒頭的なペット、邪神だ。
この家庭は大変貧しいもので、とてもこの邪神を飼うのには経済的には不十分であった。
もちろん、この少女の母の返答はこうだった。
「駄目よ!山に捨ててきなさい」
それでも少女は食い下がった。
「やだ、この子可愛いもん!」
目が腐っているのだろうか。
あるいは既に正気ではないのか。
それとも特殊性癖なのだろうか。
どう見ても、触手だらけのありとあらゆるものをぐちゃぐちゃに混ぜ込んだ混沌の存在である冒涜的な邪神が可愛いわけないだろ。
驚かない母もすごいが。
「駄目だったら駄目!うちにペットを飼うお金はありません!今日中に捨ててきなさい!じゃないとママが捨てに行くからね!」
その晩、少女は泣きながら家の近くにある山「馬鹿捨て山」に邪神を捨てに行った。
「ごめんね、家じゃ飼えないの。ごめんね、ごめんね」
少女は泣きながら冒涜的な存在を山に捨てた。
ちなみに邪神は無反応だ。
「大丈夫だよ、きっと山のみんなは君を向かいいれてくれるよ」
少女はそういうとダッシュで山から駆け下りた。
「さようなら」
彼女の涙は邪神の頬を当たった。
◇◆
数日後。
この「馬鹿捨て山」に数人の研究者がやってきた。
見たことの無い生き物が発見されたらしい。
なんでもこの不思議な生き物は夜になると人里に降り、銃で人を一人殺すとその死体を山に持ち帰り、怪しげな儀式をしているらしい。
ちなみに警察も出動したが、皆殺しにあったらしい。
「よし、早速山に登るぞ」
研究者達のリーダーである松本清は早速噂のある「馬鹿捨て山」へ他の研究者とともに登った。
「ところで何でこの山『馬鹿捨て山』って言うですか?」
他の研究者の質問に松本は答えた。
「それは昔この山に※%#$(ご想像にお任せします)を捨てに行ったからだよ」
「へぇー」
ある程度、研究者達が山を登ると目的の生き物が姿を現した。
邪神だ。
「ウホ」
「あ、これやばい奴だ」
研究者達は邪神を見るや、一目散に逃げようとしたが、松本だけが石につまづいてしまい逃げ遅れてしまった。
「何故私だけ逃げ遅れたのだ・・・?」
松本は自問自答していると、そのまま邪神に銃で撃たれた。
「うっ」
そこで松本の意識が途切れた。
◇◆
松本が目を覚ますとそこにシュールな光景が広がっていた。
邪神たちが踊っているではないか。
「なるほど、この踊りが終わったら私を殺すつもりなのか。ふむう実に興味深い風習だな」
邪神たちは火を中心に体を揺らしながら、アーイヤ、アーイヤっと言いながら不思議な舞を踊り続けていた。
「ふむう、正気を失いそうだ。む、あれは田中太郎ではないか」
田中太郎は3日前に登山家になった人だ。前職はゲイビデオ男優だ。
彼は何故か汚い光景を繰り広げていた。
すぐさま、邪神たちに撃ち殺された。
「ほう、邪神たちはあれが嫌いなのか。ふむう」
すると、奥から邪神達のボスが現れた。
他の邪神と異なり、頭がミラーボールだ。
頭がミラーボールの邪神は他の邪神を皆殺しにすると、田中の元に近づいた。
「いいよこいよ!」
田中は溺死した。
「ウホーッ!ウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホ!ウッホ!」
頭がミラーボールの邪神は狂喜乱舞している。
「不味いぞ、このままでは私が殺されてしまう。そうだ!」
松本はポケットからスイッチを取り出し、それを押すと、足からロケットが現れた。
彼はそのまま空へ飛んでいった。
「宇宙空間に逃げればいいんだ!」
松本は空高く飛び続けた結果、宇宙へ到達した。
博士は熱の影響で骨と脳と心臓と目だけになっていたが、何故か生きていた。
(ふっ、これなら奴も追ってこれまい)
松本がほっとして後ろを向くと、邪神がいた。
しかし、宇宙空間なのでそのまま邪神は宇宙空間を漂い続けた。
松本とともに。
そのうち松本は考えるのをやめた。
しかし、彼の勇敢な活躍によって、地球から邪神が駆逐されたのだ。
彼の名誉ある功績は誰も知らない。
連載準備中