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少年の誓いと彼女の祈り  作者: 歯歯
第二章 『勇者の帰還が意味するものは』
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第三話 『小さな決意』

 今回、ツッコミどころ満載な展開がありますが、第七話で説明しますので、堪えて読んでいただけると幸いです。

 美しい、液晶の向こう側にも見たことがないくらいに美しい女性が隣に座っていた。

 一目見て、竜愁はこころを奪われた。

 息を呑む。

 美貌に捕らわれたわけではない。

 奥底の、どこか大事なところに、何の抵抗もなく、存在感が染み渡っていく。

 ひび割れて冷えきったこころに血液が流れるようにして、熱感が広がっていく。


 抱きすくめたいと、強く思った。

 そんな風にして甘える竜愁を、きっと彼女は叱咤して、それでも抱き返して、一時の安らぎを与えてくれることだろう。

 彼女の名も年も、何も知らないはずなのに、自然と夢が浮かんだ。

 いつとも知れない内からずっと胸の一角に陣取っている『強く在りたい』という願望でさえ、その突発的な衝動に押し負けて――


 寸前、右腕がぴくりと動いたそのとき、とある感情が弾け、激流のように竜愁を圧しとどめる。

 そんな無様は許さないと、恥と意地という竜愁を竜愁たらしめている二つの感情が諸手を上げて大ブーイング。

 彼女が誰かは知らないが、よく知らないからこそカッコワルイ姿を晒すなんて許容できない。


 一人百面相で自分と戦う竜愁を、彼女は口を尖らせて拗ねたようにしながらも、目元で嬉しそうに笑っていた。

 無論、竜愁は見ていないのだけれど。

 そして彼女は、木製のベッドの上で擦り寄り、そっと竜愁を包み抱くのだ。

 ……やわらかい感触に慌てる自分が、悲しかった。


『……ごめんなさい。』


「え?」


『急拵えの大ざっぱな封印では塞げなかった感情が、あなたを苦しめているでしょう。

 苦しいときに側に居てあげられなくて、ごめんなさい。

 約束、したのに』


 憂う彼女の顔が、正面より差し込む月光に照らされる。

 ぼやけてざらついていた夜の視界は一挙に取り払われて、竜愁は今一度息を呑んだ。

 その一息が月を陰らせてしまったけれど、きらきらと輝く長い銀髪の艶やかさが鮮烈に焼き付いていた。


 彼女の言葉は、よく分からない。

 だが、すずやかな声が伝わる体温とともに竜愁の傷を癒していくような、があった。

 この熱も癒しも、まぼろしであることには違いない。

 だってこれは、夢なのだ。

 最初から、わかりきっていたことである。

 自分が人を好きになることはあっても、竜愁を好きになる人間なんて家族以外に居るはずないのだから。


『ほんとうに苦しくなったときは、眠ってください。

 あなたの魂は強すぎて、今の私では干渉できないけれど、眠って、弱まりさえすれば、こうやって隣に居られるから』


 こんな台詞も、しょせんは弱い自分が作り上げた幻想、甘え、現実逃避。

 実年齢は一七……いや、寒さからして一八を過ぎているというのに、恥ずかしいものだ。

 そんな羞恥も含めて、自己完結しているのだから気にするようなものでもないのかもしれないけれど。


 ――感情なんてものは、内に秘めて、押し込めて、隠してしまえば誰に知られることもない。

 気絶する直前は醜態をぶちまけてしまったが、ずっとやってきたことだ。

 少し落ち着いた今ならきっと、できるだろう。


 いつの間にか銀髪の彼女はどこかに消えて、あたりは真っ暗になっていた。

 しあわせな夢はもうすぐ覚めてしまう。

 そういうものだ。

 是非もない。

 折れてしまいそうだった精神を補強できただけでも、充分にすぎる。


 ――ああでも、と。

 安らかな深い眠りへと移行しながら、未練がましく竜愁は想う。

 叶うことなら、現実でもまた彼女に。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「会ってみたい、な……」


 こぼれた想いに、はっと口を覆った。

 握りしめていた何かが口に当たる。

 見ると、鎖につながれたシルバーリング。

 なんとはなしに首へかけた。

 チャラリと鉄が鳴る。

 聞きなれた音だ。


「あ、お兄ちゃんが起きた」


「………」


 視線を動かすとベッド脇のイスに座って竜愁を見る仙歌がしっかりと確認できて、顔に血が集まる。

 明らかに聞かれている至近距離だ。

 ただの寝言ならまだしも、内容が内容である。

 追求された場合を想像すると、手のひらに感じる温度が高まった。


「どうしたの?」問う仙歌の声が弾んでいて、竜愁の羞恥心を盛大に煽ってくれる。

 恥ずかしい。

 それはもう、実際にはしなかったが寝返りを打ってうつ伏せになりたいくらい恥ずかしかった。

 そんな竜愁に、仙歌はアハハと笑いながら追い打ちをかけてくるのだ。


「ねえお兄ちゃん、誰と会いたいの?」


「……うるさい」


「お兄ちゃんもお年頃かぁ……。

 せっかく共学なのに彼女どころか女友達の気配もなかったお兄ちゃんにも春が来たみたいで妹は嬉しいよ、うん。

 あ、でも、同性愛方向だったら……うーん、まあ、お兄ちゃんの自由だしいいんじゃないかなっ!」


「おまえが言うなよ、女子校育ちの癖して」


「酷! 

 私だって……私だって……あれ? 

 反論、思いつかない」


 受験は私が決めたことだしなーと首を傾げる仙歌に、竜愁は苦笑い。

 頭の回転が早いせいで言葉に詰まり、前言を翻すことが多いのは割と完璧超人な妹の欠点なのかもしれない。

 もっとも、竜愁にとってはほほえましいだけ。

 頭良いのにアホなんだよな、なんて思いながら顔を上げる。

 熱は引いていた。

 手を、外す。


「お兄ちゃん、泣いてる?」


「ん?」


 すぐさまあった妹のレスポンスに、今度は竜愁が首を傾げた。

 笑ったとはいえ、苦笑いだ。

 締まりが自慢の涙腺が緩むはずもない。

「なんでそんな冗談を……」苦笑いを深めながら、竜愁は目頭に触れる。

 ――表面張力で留まっていた水球が流れ、鼻を伝い、頬を伝い、薄緑の病衣びょういに落ちた。


「――」


「ほら、やっぱり泣いてるじゃん」


 なぜか勝ち誇るような仙歌。

 竜愁が数回涙のあとをなぞると、顔の水気は消えて指先が濡れる。

 ただの一筋で、涙は打ち止めとなったらしい。

 指を鳴らす。

 パチンと良い音がして、湿りは吹き飛んだ。


「まあ、こんなこともあるだろ。

 寝起きだし」


「そっか、寝起きだからか」


「寝起きだからな」



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「それじゃあお兄ちゃん、買い物いくよ」


「ん、いってらっしゃい」


「お兄ちゃんの服買うんだから、お兄ちゃんもくるのっ!!」


「いや、俺入院中――」


 そんな強引かつ無理矢理な会話を経て、竜愁と仙歌は街に繰り出していた。

 竜愁は仙歌が持ってきた礼吾の私服に着替えている。

 なお、外出許可は家族の同伴時のみという条件付きではあるものの、下りているらしい。

 真実なのは受付を通過できたことから分かるのだが、患者の扱いがザルすぎないかと思う竜愁である。


 灰色のアパートが左右に並ぶ通りで、二人は自転車を漕いでいく。

 車の姿は全く見えなかった。

 どころか、車道と歩道の区別もない、まっさらな茶色い地面。

 巨大な足跡が点々としているのが気になると言えば気になるが、それだけ。


 過去の福岡では考えられない光景だ。

 どこまでも竜愁の記憶と食い違う。

 街でさえも、原型なんて残してはいなかったのだ。

 元の街はすべて、魂獣――あの白い怪物の総称らしい――に破壊され尽くしたという。

 ――だから見覚えがないのは当たり前なんだ、と。

 竜愁は自分に言い聞かせたが、寂寥は消えてくれなかった。


 どんより曇った()空を見上げながら、竜愁は仙歌の後ろでゆっくりと自転車を漕ぐ。

「あの結界のおかげで魂獣が中に出てくるなんてほとんどないし、外からも入ってこれないんだよ」気を利かせたらしい仙歌の説明は魂がどうのと、ファンタジーな用語のオンパレードで竜愁には理解できない。

 まあ、話を聞いていれば色々と紛れるから、分からなくてもありがたかった。


 仙歌が一方的に喋り、竜愁は適当な相づちを返す。

 兄弟特有の距離感を持ったコミュニケーション。


 信号がないおかげで止まることはなく、道路を一〇分ほど進むと街は一気に低くなる。

 四、五階建てと思われるアパートばかりの街並みから、飲食店、家具屋、そして目当ての服飾店など、背の低い商業施設のエリアへ。

 境目の駐輪場に寄ってから通りに入ると、人通りが目に見えて増えた。

 通行人と、同じ制服を着た警備らしき男性たち。


「さっきから見回りしてる人たちって何なんだ? 

 警察とは制服も違うし……」


「あの人たちは護民官だよ。

 新福岡は自衛隊が基になった護民軍って組織が治めてるんだけど、その中でも警察とか魂獣の討伐とか、荒事方面を担当してる人のこと。

 ちなみにお父さんはそのトップやってる」


「……要するに偉い人?」


「うん」


 私も結構貰ってるから今日のお金は気にしなくても良いよと、仙歌。

 微妙な気分になるお金の問題はさておき、このとき竜愁はひとつの異常を察知していた。

 ――見回り、多くないか? 

 一分にひとり擦れ違うまであるこの密度は、物騒にすぎる。

 警察組織による見回りが多いということは、治安が悪い、もしくは何らかの兆しがあるということだからだ。


「まだ昼間だぞ……? 

 いくらなんでも……」


「なんか言った?」


「なんでもない」


「ふーん、あ、着いたよ」


「ん、入るか」


 ――とりあえず、警戒しとこう。

 街も、常識も、竜愁の知るものとは違っている。

 けれど、家族との関係は変わらないと、そう竜愁は信仰しているから。

 美少女に成長した妹は、悪漢からして格好の的だろう。

 ――護らないとな。

 格闘技術くらいしか自慢できるもののない自分が、妹のためにできる唯一だ。

 密かに、竜愁は決意して、同時に自分を笑った。


 妹でさえ、自分よりも精神年齢が上なのだ。

 こんな、見た目の割に幼い男の助けなんて必要としていないに決まっている。

 そのことにえも言われぬ悪寒と奇異を感じて、竜愁は一歩前に踏み出すのだった。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「お兄ちゃん、次はこれね」


「……はい」


 さて、シリアスな決意をした数十分後のことである。

 試着室から出た竜愁は、一通り検分されたのちに差し出される鼠色のパーカーにうなだれた。

 もうこれで一〇着目なのだ。

 服なんてタンスの上からとるだけのお手軽ファッションで日々を過ごしていた竜愁にとって、苦痛でしかない。

 ……それを悟られるのもなんだかカッコワルイから、すぐ試着室へ引っ込んだが。


 鏡に映る自分へ向けて、息を吐く。

 仙歌は三年と四ヶ月ぶりに再会した兄をとにかく構いたいらしい。

 店に入ってからは竜愁を連れ回し、数十分にわたって商品を物色。

 二人の両手で抱えられるギリギリの衣類――パーカーやらジーンズやら綿パンやらTシャツやら――とともに試着室に赴いたのが一〇分前。

 そこからひたすらにファッションショーである。

 なお、竜愁に拒否権はない。

 あったとしても、性格的に使えない。


「あ、それ似合ってる」


「じゃあ、これで」


「んー、でも、こっちも似合いそうなんだよね」


「………」


 もはや条件反射のように差し出されたワイシャツを受け取り試着室のカーテンを閉める竜愁だ。

 いつまで続くとも知れない繰り返しに不安がわいてくるが、妹が楽しそうだしと従う自分は兄の鏡なのかも知れない。

 と、阿呆なことを考えたところでなんとはなしに鏡を見て、竜愁は気づいた。


 今の竜愁の髪型は、かなり荒れている。

 ついでに言えば微妙に生えた髭が眩しい。

 髭を剃り髪を短く切り揃えるだけで印象は随分と変わるだろう。

 少なくとも指名手配犯のように見えることはなくなると思いたい。


 そして、こざっぱりとした風体に整えてしまえば、今の犯罪者フェイスに合う格好は似合わなくなってしまうのではないか。

 その疑念から連鎖して思うのは、そもそも犯罪者フェイスに合う格好とはなんなのかという根源的な謎だ。

 外聞なんて気にしても気にしなくても変わらないから放置してきたが、わざわざその筋の人間に見られる服装をするほどにかぶいてはいない。


 カーテン越しに竜愁が聞いたところ、仙歌の返答は

「お金余りすぎてるから気にするだけ無駄だよ。

 むしろ景気よく使わなきゃ経済に悪影響出るレベル」

 とすばらしいお言葉。

 それってどんだけだよ、さすがにないだろと更に聞きたい気持ちが膨れ上がった竜愁だが、恐かったので止めておいた。


 ちなみに、仙歌の言は少々大げさだが、両親ともに上役として働く小川家の財政は何一つ不自由ない生活をして余る程度に潤っている。

 世のため人のため、昼夜惜しまず働く礼吾と響子の給与は他の護民官・研究員と勤務時間や役職等を考慮に入れて比べると低いぐらいなのだが、使う暇もないため貯まる一方。

 そこそこ暇な仙歌も娯楽の皆無な新福岡では使う宛がなく……といった具合だ。

 余談である。


 それはそうとして、あとの方の謎に対する解答がなかったことに竜愁は一抹の不安を感じる。

 聞こえなかったのか、無視されたのか……。

 退院の前までには髪型をきちんとしておこうと心するのだった。

 それならまだ、外を歩いてもセンスが悪いと思われるくらいですむだろう。


 そんなこんなで全ての試着を終え、二人は中流家庭向け中型服飾専門店を出た。

 最終的に買った品物は上下三セットにコート一着、下着――これは竜愁が懇願して自分で選んだ――も三セット、靴下が何組か。

 あれだけ試着したのに七分の一しか買わなかったのが竜愁には釈然としないが、表に出すことはない。

 楽しかったねと笑う妹に頷くだけだ。


 駐輪場まで歩き、ブレスレットのような個人用携行端末を精算機に押し当てる仙歌を竜愁はぼんやりと眺める。

 個人用携行端末はそれひとつでスマートフォンと身分証と財布の役割を果たす優れ物だ。

 お値段二五〇〇〇円。

 戸籍として護民軍が発行しているので通信料その他は税金の扱いとなっている。


 今日の支払いは竜愁が端末を所持していないため前言通り仙歌――実質両親――持ち。

 一歳違いの二人は恋人同士に見えたのだろう。

 彼女に支払いをさせるダメ男(ヒモ)に服屋の店員は胡乱な目を向け、さらに外見の不釣り合いに二度見してきた。

 おかげで現在の竜愁は軽くブルーだ。


「終わったよ?」


「ん、帰るか」


「いやさ……、家のものいくつか切れてるから買いに行きたいんだけど、いい?」


「……了解」


「なんか暗くない? 

 どうしたの?」


「いや、別に」


 別に、また人間の屑(ヒモ野郎)として見られるのかと思ったわけじゃない。

 そんなことより得意なはずのポーカーフェイスが突破されすぎている。

 不安になるパーセンテージだ。

 ……少し考えて、人生経験ですら妹に負けているのだと竜愁は納得する。

 看過できることではない、が。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 西に進むこと約七分。

 竜愁達は整然としていた服飾店の街並みから、一転して猥雑な商店街に出ていた。

 自転車はまたも入り口の駐輪場に止めてある。

 新福岡の主な交通手段は自転車であるため、駐輪場は八割方埋まっていた。


 商店街を行き交う人は、西側の数倍。

 中流家庭から上流家庭をターゲットにした店がメインの西と比べ、商店街は下流家庭と中流家庭を狙っている。

 八百屋や肉屋が多いことも、集客効果に拍車をかけていた。


 竜愁の記憶では社会問題になっていたシャッター街などどこ吹く風とばかりに、軽食屋の呼び込みがやかましい。

 エネルギッシュな町だ。

 嫌いではないが、苦手な部類に入る。

 とかく、まぶしいのだ。


「なんか今、凄い串焼き食べたい気分」


「買えばいいだろ、金余ってるんだし」


 串焼きの店の前で立ち止まってそんな会話をするものだから、呼び込みの勢いが増して竜愁は一歩後ずさる。

 それが逆効果となって串を焼いているオッサンの勢いをさらに強めた。

 焼ける匂いは食欲をそそるのだが、いかんせん竜愁は悪意のない迫力に弱かった。


「かしわとササミと皮と豚バラ、二本ずつくださいっ」


「あいよっ!」


「あ、ちょ」


「違うケースに分けるかい?」


「いや、俺は」


「お願いします」


「……もういいや」


 仙歌の注文内容は明らかに竜愁の分も含められていて、制止するも無視されるという有り様である。

 豚バラと皮、竜愁の好きな二種も入っていて地味ながら胸にくる心遣いなのだが、その気をこちらに回してほしかったというのが竜愁の心境だ。

 ……「お兄ちゃんの分ね」と渡されてしまえばもう、「俺たぶん胃腸弱ってるから食べれない」などの抗弁は無粋にすぎる。

 よく言われるように、一口に対し三〇回くらい噛めば大丈夫だろうかと思案する竜愁だった。


 結果として食べるスピードが遅くなり、仙歌へのごまかしに苦労しながら歩くこと数分、不意に仙歌が声を上げる。


「あ」


「どうした?」


「ちょっと友達がいたんだよね」


 そっか、今日休みだったのかーと呟く仙歌。

 急に立ち止まったものだから、後ろを歩いていた竜愁も並んで仙歌の視線を追う。

 混雑している通りで立ち止まるのだから親しいのだろうと推測して、竜愁は言った。


「俺は気にしなくていいから、声かけて来いよ」


「え、ほんと? 

 じゃあお言葉に甘えて」


 言うや、仙歌は人の波に紛れ込んだ。

 竜愁は邪魔にならないよう通路の隅に寄り、壁にもたれて待機する。

 少しして、戻ってきた仙歌の手には、肌色の物体が握られていた。

 人の手だ。

 連れてきたのかと少し驚きながら、友人さんを拝もうと目線をずらして、竜愁は素でこぼした。


「え、男?」


 外出れるわけないだろ的なツッコミ以外なら受け付けられますので、感想・評価お待ちしております。



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