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それは新月の出会いだった―
聞け、古から継がれる約束を
新月の夜は、誰も外に出てはならない。
眠り朝が訪れるまで、闊歩する足音を聞くなかれ。
聞いても決してその姿、見てはならぬ―
月が背く暗闇の時。
それは唯一「王の許されし時間」
神聖なる一時に、誰も踏み入れてはならぬ。
足音を聞いても耳を塞げ。
嘶きを聞いても聞かぬふりをしろ。
その姿、もし見たとしても記憶から消せ。
新月の夜―決して破られなかった約束が
運命なのか、一人の少女は出会ってしまう。
「死者を統べる王」に―