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+α  作者: 野島 海韻
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出会い

俺の名前は、桐山涼。高校二年生。パソコン部の部長。しかし部員は俺だけ。七月、三年生の先輩方々(二名)が引退。七月の中旬から、俺は廃部寸前のパソ部の部長になった。家では食事と入浴の時以外は部屋にこもり音楽を聞きながらパソコンをしている半分ニートだ。携帯は持ってはいるがほとんど使っていない。アドレス帳を見てみると、強制的に友達になってしまった中学時代の男子。一週間だけ付き合っていた女の名前しかなく、データフォルダの中は空っぽであった。一週間だけ付き合っていた理由は、あちらから告白してきたので軽い気持ちで付き合ってみたが、メールだのなんだのが多く、ネット小説を書く時間がなくなりそうになったので次の週に別れを告げた。休日は学校に行ってパソコンをしている。家だとめちゃくちゃ電気代がかかるので学校のを使ってる。夏休みは、部活と言って毎日学校に行ってパソコンをしていた。ここまで適当でつまらない人生はない。しかし、当たり前で適当な毎日が、何の前触れもなく変わる。

夏休み前。俺の隣の席の奴が転校した。そしてそのまま適当夏休み。そして夏休みが終わり、九月一日、朝のホームルーム。

「あい。全員席つけ。出席の前にお知らせがある。我が二年三組に新しい仲間が入る。それじゃ、入れ。」

「ガララ。」

一人の女子生徒が入ってきた。黒板に名前を書き自己紹介。

「七瀬未歩です。よろしくお願いします。」

「うぉぉぉぉ!!」

礼儀よく挨拶をしたら瞬時に俺以外の男子が唸りを上げた。スタイル抜群。他の男子から見たらすごくかわいい。らしい。俺はその時、本を読んでいて顔を見ていない。

「それじゃ、七瀬は空いてる桐山の隣な。」

「ゲッ!」

思わず声が出てしまった。そしたら周りの男子からブーイングを浴びた。俺はこのクラスの陰口しか叩けない男子を一掃してやろうと思った。でも俺はブーイングは無視していた。俺がゲッと言ってしまったのは隣の奴がいなくなってからロッカーの中に入っている本を全て隣の引き出しにぶち込んでしまったからだ。俺は転入生が席に着く前に引き出しの中の本を全て取り出した。全部で十冊ほどの本が入ってた。

「これからよろしくお願いします。」

彼女は微笑みながらながら言った。

「こちらこそ、よろしく。」

俺は明らかめんどくさそうに言った。

「桐山の奴、本当は照れてんだよ。実は自分も七瀬さん狙ってんだよ。」

前の方から聞こえるように陰口をたたく奴がいた。その言葉を聞いて、俺の堪忍袋の緒が切れた。

「ガンっ!!」

俺は自分の机を思いきり蹴り、陰口をたたいた奴の前に行く。そして思い切り言ってやった。

「陰口言うときは本人に聞こえないように言うんだな!このクソ野郎!!どうせすぐ席がえなんだから同じ席になれるようにせいぜい願っときな!星にでもよ。俺のこと何も知ねぇのに、勝手なことほざいてんじゃねぇ!!!」

そして俺は教室を出た。すっきりした。まず最初に思ったことだ。

「とりあえず、どこに行くか。」

俺は人生で初めて、ホームルームをさぼった。そのためか、どこに行けばいいか分からない。しかし、俺は歩みを止めなかった。そしてなんとなく歩いているうちに屋上の入口の前に来ていた。

「開いてるわけ…ないよな。」

そう口ずさんで俺は屋上の入口のドアノブをひねった。

「ガチャ!」

開いていた。そのまま屋上に出た。初めてだった。屋上に来るのは初めてだった。

「はははっ。」

思わず笑ってしまった。

「空ってこんなに澄んでんだな。」

初めて気づいた。後ろをふと見てみると、入口の横の壁に、入口の上に行けるようにはしごがあるのを見つけた。俺ははしごを使って入口の上に上った。そして横になって寝てしまった。

「なんか今は心地が良いな。」

こんな日は初めてだった。初めて、二年間も同じ学年なのに名前も顔も知らない奴を怒鳴って、初めてホームルームをさぼって、初めて、当たり前に感じていた空をキレイだと感じた。


「お~い。桐山君!お~い。」

誰だ?聞き覚えはあるんだけど思いだせない。なんか懐かしい感じがする。その正体を確認するために、俺はまぶたを開けた。

「起きた、起きた!」

七瀬だった。

「なんですか?七瀬さん。」

俺は今、とてつもなくめんどくさい。しかし聞いた。

「一時限目終わってるよ。」

そんなこと言うために来たのか。俺はとてつもなくあきれた。ため息さえつきそうになった。しかし、

「ぴらっ。」

七瀬は一枚の紙を出した。それは紛れもなく入部届けだった。入部届けにははっきりと「パソコン部」の五文字が書かれていた。そして話し始める。

「私、パソコン部希望で先生に入部届け出したら先生が、パソ部は廃部寸前で顧問いないから部長の桐山に渡して。お前の隣の桐山なっ。って言ってたから渡しに来た。」

そうか、もう部員俺しかいないから顧問いないのか。そんなことを思った。

「いいけど、もう俺しか部員いないけどいいんですか?」

「コクン。」

俺の問いに七瀬は満面の笑みで首を縦に振った。まっ、良いか。一人も二人も関係ないか。廃部寸前のパソ部に一人部員が加入しただけなら変わらないと思っていた。だが、この出会いが、俺の人生をことごとく変えていった。

初の連載で変なものですが、温かい目で見守ってください。

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