第53話「ただいま、退屈な現実」
――ジリリリリリリ!
けたたましい目覚ましの音で、ヒカリは飛び起きた。
「んぐ……え……?」
天井。カーテン。布団の柄。スマホの画面。
すべてが、見覚えのある――現実の、わたしの部屋だった。
「なんで……?戻ってる?」
急いでスマホを確認する。
画面には、ゲームの世界へと旅立った、あの日の朝の日付。
「……戻れるんだ」
こみあげる安堵と、じわじわと広がる違和感。
慌てて着替え、久々に満員電車へ身をねじ込む。
久々の会社。久々のデスク。久々のタイムカード。
なのに、全部……やっぱり、こう。
「つまんない。」
「木村くん、ちょっと来てくれる?」
部長がニヤけた顔で声をかけてくる。
(……チッ。なんだよ)
「今度、2人でさあ、飲みにでも行こうよ」
(始まったよ、このセクハラ部長め)
「うわー、嬉しいですぅ〜!日程調整しますね〜!」
と、外面だけはピカピカに取り繕いながらやり過ごす。
デスクに戻りながら、ヒカリは思う。
(あぁ……ゲームの世界の方が、何倍もマシだったなぁ……)
けれど、ふと。
(……いや、待てよ?)
思いつく。
(この世界で、“この世界のこと”を寝る前に妄想したら――)
(なにか……起きる?)
思わず頬が緩む。
「ふふっ……」
どきどき、ワクワクが心の中に満ちていく。
あの頃みたいに。
ヒカリ、再起動。
⸻
妄想と現実が、再び交差する。
次のゲームは、ヒカリ自身の「現実」!?




