第29話「奈落のトゲ甲羅、降臨!」
「よーし! このターンこそスターを――」
ヒカリの声が高らかに響いた瞬間、運命のダイスロール。
「1!」
「うっそ!? また!? ……うわ、なにこのマス、赤と黒……」
ヒカリが止まったマスは、他とは明らかに違う。
マスの中央に描かれた、トゲトゲの甲羅とギラつく目。
「あ……あれって、“止まったらアカンやつ”じゃ……」
ゴゴゴゴ……ッ!
地面が震える。マスが開き、ヒカリの足元が崩れ落ちる――!
「きゃあああああああっ!!?」
落下した先は、巨大な溶岩のホール。
その中心に、赤く燃えるような目をした、甲羅の巨影が待っていた。
「俺様のマスに止まるとは、いい度胸じゃねぇか、ヒカリ!」
「で、出たなラスボスぅぅぅぅ!? ていうか、マリパにボスとかあるん!? てか、名前言わないスタイル徹底してて草!!」
「フン……こっから先はルーレットの運次第……貴様のコイン、全部没収だ!!」
ルーレットが回る。項目はえぐいものばかり。
•コイン没収:-10000
•コイン半減
•コイン強奪(他プレイヤーへ)
•コイン1枚
•免除
「待って!! せめて交渉の余地をください!! 私、チート勇者だったんですけどぉぉぉ!」
「ふん……ならば、俺様と勝負だ。俺に勝てたら……罰は“減額”してやる。たったの-100でいい」
「減額って! 減らされることに変わりないんかい!!」
「ただし! ミニゲームは“俺様セレクト”とする!!」
パッと明かりがつく。
そこは真っ赤なフィールド、両手に巨大ハンマーを持った甲羅の男と、丸腰のヒカリ。
「ミニゲーム名は……『スーパーバクダン逃げてぇー!』!」
ヒカリは目を見開いた。
「えっ、えっ!? バクダン!? どこ!? あ、来た来た来たああああ!!」
走る! 跳ぶ! 滑る!
必死に逃げるヒカリの真横で、爆発が炸裂!
「ヒィィィィィッ!! ちょっとぉぉ!? 小学生向けゲームって聞いてたんだけどおおお!!」
画面には無慈悲に「5秒で逃げ切れ!」の文字が点滅する。
「もうムリムリムリムリ……うわっ、うそ、当たる――!!」
「……フィニッシュ!」
一瞬、会場が静まった。
「ふっ、どうやら……当たり判定、ギリギリ外れてたようだな……」
「……え?」
「勝者、ヒカリ!! 罰は“マイナス100コイン”で許してやろう……!」
「勝っても、マイナス!?!?!?」
「甘えるな。これが、“この世界のルール”だ」
甲羅のラスボスは、そう言い残し、溶岩の中へ沈んでいった。
ヒカリは、残り1枚になったコインを握りしめ、歯を食いしばった。
「ふざけんなよマジでぇぇぇ……! 絶対このゲーム、運営してるの悪魔だろぉぉぉ!!」
彼女のターンは、まだ終わらない――。




