第28話「コインは裏切らない!?ループの宴は続くよどこまでも」
「終わらないパーティ……? ま、どうにかなるっしょ!」
ヒカリは肩をすくめて笑った。
「だってさ、小学生でもできるゲームだよ? こっちは最強勇者様なんですけど〜?」
ヒカリは軽やかな足取りでサイコロを振った。
出目は6。順調なスタートだった。
(ミニゲームも思ったより簡単だし、アイテムでショートカットして……スターに一番乗りっと♪)
気分は完全に遊びモードだった。あくせく戦う日々から解放され、パーティゲームでゆる〜く楽しもう、そんな気持ちだった。
──だが、それが甘かった。
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「次のミニゲームは、“激痛トゲトゲホッピング”です!」
「また一人用!? なんでまた私だけ罰ゲームみたいな!?」
床一面に並んだトゲ付きゴムボール。その上をジャンプしながら進むゲーム。
ヒカリは悲鳴をあげながら飛び跳ね、転び、転がり……ゲーム終了の頃には髪が逆立っていた。
(いやこれ……ミニじゃないでしょ!?)
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それでも、ヒカリは徐々にコインを稼いでいった。
サイコロの出目も良く、ミニゲームも勝ち進んで、ついに──
「……20枚、貯まった!」
スターの場所も目の前。もう一歩だ。
ヒカリは興奮のあまり、叫びそうになるのを必死にこらえた。
「いける……いける……!」
──だが、その瞬間だった。
「ピロリロリ〜ン♪」
「『横取りパラソル』、発動だよ〜☆」
隣の道を歩いていた、ピンク色のドレスを着た誰かが傘を広げると、ヒカリのコインがごっそり吸い取られた。
「え、ちょ、ちょっと……!?」
「これで私がスターをもらっちゃうね〜♡」
にこにこ笑顔で立ち去る彼女を、ヒカリは口を開けて見送ることしかできなかった。
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(ま、まだ……貯め直せばいいだけ……!)
なんとか気を取り直して再び奮闘するヒカリ。
だが、次に来たミニゲームは──
「“泣き虫ウサギのパンチアウト”です!ひたすら殴られながら、にんじんを集めましょう!」
「何その狂った設定!!」
笑顔で殴ってくるウサギの群れ。飛び交う拳と悲鳴。ヒカリの叫びは、ゲームのBGMにかき消されていった。
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それでも、ヒカリは負けなかった。
再び20コインを集め、ようやくスターの目の前までたどり着く。
「今度こそ……!」
と、そのとき。
「今夜のスター交換は25コインだよ〜☆」
「え、値上がりしてるうううううう!!!??」
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ゲームは続く。スターを取れば、次のスターが現れる。
キャラが入れ替わる。次のターンでまた何かが起きる。
そして、誰かがスターを取るたび、新しい“誰か”がパーティに加わっていく。
ルールも、難易度も、少しずつ狂っていく。
──終わりは、ない。
(ねぇ……ねぇちょっと待って?)
(もしかして……このゲーム、勝つまで終わらないの!?)
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ヒカリの叫びは、今日もパーティの喧騒に吸い込まれていく。
「はいはーい、次のターンいきまーす☆ ダイスロールぅ!」
ヒカリのパーティ地獄は、まだ始まったばかりだった──。




