第24話「ファイ!ワァー!!うるさい。」
「ファイ!」
「ワァーー!!」
うるっさいなぁ……と、まぶたを開けたその瞬間。
ヒカリは、己の運命を悟った。
「……格闘場……?」
コンクリむき出しのアリーナ。周囲には鉄格子。
中央のステージには、屈強な男たちが数名。白と赤の道着、チャイナドレスに軍服、やけに伸びそうなインド人――
そして、黄色い……ゴリラ?
「あーーーっ!懐かしっ!この世界、好きだったゲームの中じゃん!!」
喜ぶヒカリ。ここまで来ると、もはや妄想の自由度に感動を覚えていた。
「ジャンルまたいでもOKってこと?何でもアリやん!」
興奮冷めやらぬまま、白い道着の男が振り返る。
「ヒカリ、来たか!待っていたぞ……いざ、勝負だ!」
「うっしゃああ!やってやるよ!ゲーマーの誇りにかけてな!!」
ヒカリ、気合い十分。
「ラウンド1! ファイッ!!」
開始の声と同時に、白道着の男が華麗なパンチとキックのコンボで接近してくる。
だが――
「ふっ……ふふっ……こっちも準備してたんだよぉぉぉ!」
口から、火。
燃える竜巻のごときブレス攻撃が男を焼き尽くす。
「全キャラの技、使えるようにしといたもんねー!昨日寝る前に!」
男がたじろぐと、ヒカリは続けざまに構えを変える。
「ソニック○ーム!」
「タイガー○ップカット!」
「ヨガ○レイム!」
「スピニング○ードライバー!」
まさに、チートの見本市。
画面がバグりそうなエフェクトが乱舞し、白道着の男は床に沈んだ。
「ラウンド1、ヒカリ、ウィン!」
「ひゃっほーーー!!!ノーダメ勝利!!」
だが、喜びは束の間。
「次は私よッ!」
赤い道着の男。
「俺だッ!」
軍服の金髪。
「ヨガァァァアアアッ!!」
伸びてくる謎の手足。
倒すと次が出てくる。倒すと、また次が。
倒すと次が。倒すと次が。倒すと次が。
――まるで、地獄のインフィニットループ。
「……え、寝る暇なくね?」
ついにヒカリは気づいた。
この世界、「負けないと終わらない」。
(え……じゃあ、どうすれば寝れるの?妄想しなきゃ次行けないのに……)
その時だった。黄色いゴリラが飛びかかってきた。
ヒカリは、反射的に回避をやめた。
ゴリラの拳が、ドゴォッ!と決まり、ヒカリは地に伏す。
「KO!」
そして、世界はブラックアウトした。
――そして、ベッド。
ヒカリは、久々にふかふかの枕を抱きしめ、幸せに目を閉じる。
(……負ければ、寝れるんだ。やった……)
ニヤリと笑った唇がつぶやいた。
「さて、次は……レースゲームとか、どう?」
⸻
次回、第25話――
「アクセル全開!目指せ伝説のタイヤ痕!」
ヒカリ、ついに時速300kmの世界へ!?
乞うご期待ッ!
次は、どんなゲームがいいかな?




