第19話:恋の続きを、君と
昼休み。
中庭のベンチに座っていると、そっと影が差す。
「ここ、隣いい?」
「御影くん……もちろん!」
穏やかな風が吹く午後。
2人きりの時間が、ふんわりと流れていた。
「ヒカリってさ、昔よりずっと明るくなったよね」
「えっ、そ、そうかな? ……でも、御影くんに言われるとちょっと恥ずかしい」
「そういうとこだよ。……すぐ照れるの、変わってない」
(あー、ズルいなぁ……! 落ち着いてるけど、言うとこは言うんだよな……!)
ふと、御影はヒカリの方を向く。
「俺、こっちに戻ってきて、一番嬉しかったのは──君に会えたことだった」
「……っ!」
ヒカリの頬が、じわっと熱くなる。
「ご、ご飯! 食べよ! あったかいうちに!」
ごまかすようにお弁当箱を開くと、御影がふっと笑った。
「……ヒカリさ。好きな人、いる?」
「えっ……な、なに急に……」
「いや、ただ……もし、誰もいないなら」
彼は言った。
「……俺、ちゃんと君を好きになっていい?」
(待って、心臓持たない……! これは反則!)
⸻
その放課後。
御影が連れて行ってくれたのは、誰もいない音楽室。
「ヒカリ、ピアノって好き?」
「うん。小さい頃、ちょっとだけやってた」
「じゃあ、聴いて。──君のために弾く」
鍵盤に指が置かれた瞬間、静かな旋律が広がる。
それはどこか懐かしくて、優しくて。
まるで、ヒカリの胸の奥を、そっと撫でるような音だった。
(この人の隣……心地よすぎる)
演奏が終わったあと──
御影は、顔を少しだけ赤らめて言った。
「……俺の気持ち、音に乗せたんだ」
「……うん、届いた」
ヒカリは、まっすぐ彼を見て、言った。
「私もね、御影くんのこと──好きになってたみたい」
静かな夕焼けが、音楽室を照らしていた。
彼となら、ずっと“好き”を感じていられる。
そんな確信を、ヒカリは抱いていた。




