【2話/ザ・ボクサー】
「なぁ伊月くん,武術ってのは,何故存在してる
と思う?」
「敵を倒すためですか?」
「半分正解半分不正解だ,根本的な事を言って
しまえば,我々の祖先が頭脳を手に入れる為に
失ってきた身体機能を補う為,そして
自身の身を強者から守る為だ」
「道具を使えば良いんじゃないのか?」
「確かにそうだがロマンスが無いぜ」
「あはは!ロミオ君らしいな」
二人で帰路を歩きながら,そんな他愛ない,だが
気になるような話をしていた。
「,,,」
「ん?」
ロミオは暗い顔をしていて,この曇った顔を
見た伊月は,自分が地雷を踏み抜いたのでは
無いのか?っと焦っていた。
「あぁ〜,,,すまん,なんか俺嫌なことを言っちゃった?」
「違うよ,だがあそこに居るヤンキーがさ」
「ヤンキー?」
約数十m先には,女性を囲む数十人の不良達が
いました。
「ねぇねぇ〜良いでしょ?お願いします」
「ダメだって言ってるでしょう」
「チッ,,,おいソロソロ下手に出るのは嫌だぜ?
今俺はチビ野郎にやられて気分最悪なんだ」
「やれるもんならやってみな」
「おぉ,強気に出たなぁ〜,なら仕方ないなぁ
お前ら脱がせ」
「ヘイ龍司の兄貴」
「お任せを兄貴」
「僕もやる」
だがしかし次の瞬間,何者かが手首を掴む。
「あぁ?」
「なんだぁお前?」
「僕?名乗るほどのもんじゃあないよ」
「邪魔すんなら!」
バゴーンっとえげつない衝撃音が響き
バタっと不良三人を地に叩きつける。
「んな⁉︎」
「貴様ァ,今何をしやがった!!!」
「何って,ただ殴っただけだぜ?」
「は⁉︎(嘘だろ⁉︎あんな爆発音をただ殴った
衝撃波だけで?)」
「悪かった悪かったよ,なぁ姉ちゃん,いや
姉御さん!俺らまだあんたに何もしてないよな?
だからあんたも何か言ってくれないか」
「"まだ"って言ったな?」
「自業自得だよ」
次の瞬間虫ケラを0.1秒で叩き潰す。
「シュッ,シュッ!シュシュッ!」
秒間に数十と言う拳が飛び怯えて後続に芋を
引き今にも逃げ出しそうな不良数十人を
叩き潰す。
「単なるシャドーとワンツーだぜ?」
「な⁉︎待て待て待て待って!」
「許されないこと位,言わずもがな分かってるよな?自分がやったことを理解は,してるよな」
顔一つ変えず,眉一つ動かさない,ただただ淡々と機械的に雑魚を蹴散らす姿はヤンキーの
親玉をビビらせていた。
「マッ!」
バゴーン,一番良い拳がクリーンヒットした,
死んだのではないのかと言うほどの一撃が。
「そこの女性」
「私を助けてくれてありがとう」
「私はこの街を良くランニングして居る,
貴方は私を知らないと思うが貴方がよく
商店街のお婆さんやコンビニ店員の人に
世話をしていたり,ゴミ拾いをして居るのを
知ってるんだ,良い人がこんな奴らに攻撃される
のは,許せなかったってだけだから」
「良くランニングしてる,ってもしかして
最近ここの近くに来たジムに入会した
新人の?」
「良く知ってますね」
「知ってるも何も,あんたが所属してる
スポーツジムの経営者は家の父親の
真弓圭介だからね」
「まさか圭介氏のお嬢様だったとは」
「貴方はライアン・ホークス選手よね」
「何故私を」
「良く耳にしていたのよ,努力家で誰よりも
ボクシングを熱心に努力してよく街を
ランニングしてる,そして強いライアン・ホークスと言う機体の新星を」
「あはは,照れますな,,,ム?」
「どうされました?」
「いやあそこに居る二人の少年,小柄ながら
良い筋肉を持って居る子と大柄でタフネスが
ありそうな褐色の子」
「あぁ彼らは真弓伊月と,隣に居る小柄な子は
ロミオ・ジュリエッタって言って海外から
日本に引っ越してきた子よ」
「,,,あれは強いですね」
「ウチの弟だからね」
「ロミオ君も,強いよ,高い反射神経と動体視力を
生かしたヒットアンドアウェイ,貴方より
ジム会員歴は上よ」
「なんと先輩でしたか」
両雄は目線を合わせてバチバチと閃光が飛ぶ。
「彼ら非常に良い」
「ちょライアン君!」
次の瞬間,三人が一直線に駆け出し今にも
殴りかかるかと思われた次の瞬間。
「ハロー!ホークス!」
「こんちはっすホークスさん!」
「おぅ!初めまして!」
三人はハグをしていた。
「噂はかねがね聞いていましたよ,いや〜
凄まじい努力家だと父がまるで自分の
ように」
「照れますな」
「いやいやまじ凄いっすよ,あの親父が
絶賛なんですから,さっきも見てましたが
凄いなんてもんじゃないですよ」
「そこまで高評価を貰うとは」
「あ,やっべ今日健三兄さん来るよな?」
「そうだよアンタ,伊月,健三が言ってたよ,
早く来ないと手伝わないぞって」
「手伝う?」
「あぁロミオはまだ知らんか,俺は最近必殺技を
開発中なんよ」
「必殺技ですか」
「じゃあ行こう」
「なら私も一緒に行きます」
こうして三人でスポーツジムに向かう。
「シュッシュッシュッ」
「ワォ」
「やっぱ兄さんはすげぇや」
「君のお兄さん,滅茶苦茶早いね」
「天才と呼ばれたボクサーだからね,それに
兄さんは元ダンサーなんだ」
「なるほど,あの柔軟かつ滑らかな腰つきが産む推進力とその身体全身を連動させたパンチ力,
恐ろしい」
ロミオは思った。
「(見えないと言うより一般人が知覚可能な速度を遥かに凌駕した速さなのだろう,スローカメラ
を使ってみようかな)」
スマホを取り出す。
「ん?どうしたロミオ,,,カメラアプリなんか
開いて」
「いや少しね〜,,,よっし」
「どれどれ〜,,,1,2,3,,,WATS⁉︎1秒に18回
のジャブを放ってる⁉︎」
「健三さんって凄い人だね」
「待て待てまだあれは軽いジャブだけ,
本番はここからだぜ」
「マジか」
「ウチの兄さんは,もっと早く成る」
「(あれが人の成せる拳速なのか⁉︎)」
「ふぅ,アップ20分位してたよ伊月,
遅いよ」
「はははすんません,少し道草喰ってました」
「なら早速,必殺技の特訓,しよっか」
「はい」
「それで結構考えて来たんよ」
「確か螺旋を使った一撃必殺だと聞いたが」
「あぁ,超集中して行くよ,フシューーー」
ため息のように深く息を吐く,丹田を意識して
手首の回転を意識する。
「「指先を鋭く,ドリルのように)」
柔軟に鍛えられて360°に至る手首の捻り上げと高い推進力を利用した回転の一撃。
「ガハ」
「(ドカンと吹き飛ぶより,プシュパンチの
ようにふわっと,あの速さで叩き込んだ
一撃がこうなるものなのか?)」
「すまない兄貴,グローブが破けちまった」
「はぁっ,全く末恐ろしい弟を持ったもんだ」
「んな⁉︎」
ロミオは驚愕していた,XLサイズの新品のグローブが最も容易く粉砕された事か?否,あの
不思議な現象にか?それもまた否,真弓健三氏の
溝落ちを中心に大胸筋,上腹筋に至る部位に
まるで嵐を真上から見たようなグルグルの
紫の傷が刻まれて居たからだ。
「お前,俺じゃなきゃ普通に内臓が
抉られててもおかしくないぞこの一撃」
「兄さんの硬直筋性質[スティフネス・ムスカキュラ]じゃなきゃ無理だよねぇ,この間
サンドバッグを木っ端微塵にしちゃって
修復に3時間かかってさぁ」
「(スティフネス・ムスカキュラ?)」
ロミオは不思議そうな顔をして居た。
「あぁロミオは,兄さんについて知らないんだ」
「ロミオ君に伝えておかなかったのか?」
「見せれば分かってくれるかなって」
「ごめんな弟が,なら説明して見せよう,俺の
全身の筋肉を」
「ウチの兄さんの筋肉,,,それはねぇ,
筋繊維の自動的な収縮硬直,身体が強者に
恐怖して関節が固まるように,死後生命体が脳
の支配が停止して身体から温度と柔軟性が
失われるように」
「身体に近く危機に応じて筋肉が硬直し続けるって言う感じなんだ,しかも力に応じてより収縮が
強くなり続ける感じ,しかも筋肉の硬直は脳の
信号が再度発令するまで持続するんだ」
「昔はよく急に血液が流れて筋肉が攣りまくって
地獄だったが,鍛えまくって適応した末に無理なくそれが可能になったんだよロミオ君」
「ふむふむ(つまりは攻撃を喰らえば喰らうほ
ど,耐久性が上昇し続けるのか)」
「それより,必殺技の螺旋掌底拳[ローテート・スラスト]威力はどんな感じ⁉︎」
コツっと頭に一撃拳骨が入る。
「イテ,何すんだよ」
「よくもまぁここまで鍛えた」
「だがな必殺技の原本の俺から言わせて貰えば,
まだまだ甘い,お前は数学的視点じゃなくて
ドリルとか意識,イメージしてやってただろ?
あと関節外し,筋繊維の適応と関節トレ」
「わかんねぇよ!」
「まぁ難しいだろうが,俺の黄金比率[ゴールド・スラスト]の螺旋技術には,まだまだだぜ,
見てな,おーい,誰か試し割り用の瓦!」
ジム会員の一人が持ってくる。
「今ここには,50枚の瓦がある」
コツコツと軽く叩き本物である事を示す。
「見ていろよ」
「フーーー,,,ッス!」
瞬間,片腕から放たれた一撃はまるで竜巻を
思わせる風圧と共に爆砕した。
「おぉ⁉︎」
「上限在らずして初めて螺旋掌底拳の極意なのだぞ伊月よ」
「はぁ?手首にも限界があるだろ」
「手首単体で物事を推し図るな」
「んんん?」
「対象が完全に破壊されるまで,その上限まし
続けるんだよ」
「にいちゃんみたいに360,720,1080,1440って
手首を回せる人間が成し得る訳じゃないのか」
「え⁉︎引きちぎれてるでしょそれ」
「内のにいちゃんの手首の皮とか見てくれたら
分かるが,超柔軟なんだよ」
「それは関係ないんだ,本質的に螺旋の技術って
言うのは手首だけに固執した技術じゃない,
回転を中心とした遠心力による対象の破壊を
目的としてる」
「高い推進力も確かに必要だが連鎖を繋ぎやすく
する為の足がかりに過ぎない,誰にでも使える
回るって体捌きが基礎なんだよ」
ロミオが口を挟む。
「つまりは,こう言う事ですか」
するとまるでフラフープを腰で回すように,
バレリーナやスケート選手のように,
軽やかに回り瞬間空に放つ。
「うぉ⁉︎」
「お兄様の台風と比べたら僕なんか扇風機
くらいだけど」
ガシっと肩を掴まれる。
「素晴らしい!君!ロミオ君!螺旋掌底拳の天才だよ!」
「えへへ」
「,,,は!なるほど」
「やっと真髄を掴んだか?」
「あぁ兄貴,もう一度だ」
「あぁ全力で来い!」
すると意識を集中させて拳を洗練する。
「フシューーー」
ピンスパァァァン!健三の再来かのような
一撃が飛ぶ。
「グハ,ははは!やるじゃんかよ,俺の弟な
だけはあるぜ,まぁ内臓までギリギリで
抑えたみたいだから肉が削げるくらいで
済んだが,身体の連動する回転運動から見て
間違いなく俺がさっき放った黄金比率に
匹敵する」
「これが極意」
「ロミオ君もやってごらん」
「僕ですか?,,,分かりました」
するとロミオの番が来た。
「僕は別に,3日前にウチらの中学の不良軍団を
叩き潰した真人君って言う子に殴り込みする
訳じゃないから良いけどさぁ,,,」
「てか不良達回復早いな」
「張本人の真人君は背中にナイフ形の鉄が
ブッ刺さったのに1日で回復したらしいし」
「まぁ一回打ってみますよ」
「シューーー」
空気感が一気に変わる,瞬間,スパーン。
「ゴアハ⁉︎やっべ⁉︎,,,フゥゥゥ,螺旋掌底拳を
拳を握って黄金比率を放った?まさか僕みたいにボクサーとして使える程の技術に昇格させた
のか」
「嘘だろ⁉︎ロミオ!俺でさえ平手でギリだってのに」
「推進力が高いほどやりやすいが一直線,
離散しないで打つには最適解が平手,,,
だがしかし行けるよ」
「君ほどに螺旋技術に優れた人間は初めてみた,小柄だがスポーツマンのようにしなやか,かつ
柔軟な筋肉,関節は余裕で外せる,凄いな」
「えへへ」
潜在能力はロミオが圧倒的に上なのであった。
遠くにはこちらを羨ましそうに見つめる巨躯な外国人がいた,話が盛り上がっていると,もう
我慢できんと言う感じでこちらに駆け寄っ
てきたではないか。
「ワタシヤリタイデース!」
「うげぇ来やがったか」
「チョット!キヤガッタッテヒドイ!
ワタシイケナイ?」
「まぁ別に個人の自由,んで何」
「ソコノボーイ」
指を刺した先は。
「え?俺?」
ロミオが居た。
「チガウクニカラキタドウシ,ワタシアナタ
シットシマース!ケンゾウサンヒトリジメ
イケナイ!」
ボクサーの天才なんだ,これほど人気でも
仕方がない。
「兄さん人気だね」
「うるっせ」
「ヤリマショ!カッタラ,ジユウジカンタダキマス」
「勝手に決めて良いんですか?」
「う〜んまぁ良いよ,必殺技は洗練されて今
成ったからね」
「なら良いんですが」
「ヨロシク」
「あぁよろしくお願いします(シミュレーションだな,もし自身より体格の大きな選手とやり合ったらって言う)」
「兄さん,あいつ確か」
「あぁ,海外から来た男だ,裕福な出,その上
強化もビッシリキメてる奴だ」
セルジオ・ブライアン,現在23歳現役の
レスラーであり1月1日の深夜0時ピッタリと
言う時間に生まれた。
生まれ故郷はアメリカだが親はアフリカ人,
隔世遺伝と言う奴でアメリカ人が色濃く
継がれた俺を心配してアメリカに移住した,
逆子でも帝王切開でもなく安産だった,
元気に鳴く子供だった,1万500gの体重だった
為担当した助産師はびっくりしたと語る。
滅茶苦茶金だけはあったから両親は強く
育って欲しいと言う事で沢山お金を掛けた,
よく食べよく寝て,早くも月日は流れた。
英才教育は赤ちゃん3ヶ月後の首が座って即時
始まった,プランクや様々な重量のダンベルを
使い肉体を効率的に鍛えられて行き幼児教育も
同時に進められて行った。
栄養価のバランスが取れた離乳食を摂取し
続けて身体は元気すぎるくらいだった。
骨成長を止めず身体に傷が出来ることもなく,
最適化された中,身体に最適の運動と勉強を
最大限に努めて行く。
風はひかず病に倒れず生まれ持つ壁はなく,
完璧なバランスに調整されたビタミン,
毎日ルーチン化した身体に一番適切な睡眠時間と一番高い質,完璧に調節された運動,適切に
配分されたあらゆる環境のあらゆる度合いの
ストレス耐性,こまめな水分補給,規則正し過ぎる生活リズムやありとあらゆる予防薬品つまり
抗生物質の投入それに加えて完全な予防は
あらゆる病魔すら無効化する健康体を
形成し切った。
年齢は1歳,2歳と子供の成長は光影矢の如し,
その間に様々な世界の言語を学び,あらゆる格闘技を体得して行き子供だから覚えが早いなんて
言うことに甘えず覚えた事を往復して完璧に
脳に刻み身体に覚え込ませた。
世界には蛇の毒液を注入してあらゆる毒に抵抗を持つ人類がいた,その人をモデルとした様々な毒液の少量追加訓練をして完全な毒耐性
を得ていた。
若干11歳の頃既に身長は巨人症ではないのに
220.40cmとなり,体重は200kgに到達していた,体脂肪率は2,8と言う数値を叩き出して
いた。
12歳の頃,成績表は常にトップで担任からの
一言でも良いことしか書かれないまま,中学受験を推薦に加えて一般のものを受けてオール満点を叩き出して余裕綽々で名門中学校や名門高校,
大学,大学院と入って言った。
世界中の本を読み漁り,自身の書斎には大図書館に等しい既に読んだ本の段がビッシリと詰
まったあらゆるジャンルの棚が幾百とある。
「もうそろそろカタコトの演技やめたら?」
「良いじゃないですか」
「うぉ⁉︎滅茶流暢!」
「へへ」
「さぁ,やりましょうか,ロミオ君」
「,,,」
「あれ?(ロミオの奴顔色が)」
ロミオの生まれは非常に貧しい村であった。
貧困に嘆き,病気,植民地としての側面,
飢餓,荒れ狂う人,地獄と言う言葉が
ここまで似合う国は無かった。
だがしかし,自身の状況を変えるために
奮闘したのだ,そうして遂には
この安全な国に移住出来るほどに
環境を整えたのだ。
「静かな怒りを感じるデース,あれ?
(無意識に口から母国語が,これはオーラから
来る恐怖?)」
「,,,やりますか」
そうして早速に試合が始まった。
覚醒状態になっていた。
「ロミオ!やったれやったれ!強化ドーピング
に頼って手に入れた偽の筋肉が地道に
練り上げられた筋肉にそんなステロイダーの
ゴミ筋肉に負けると思うなよ!」
「おい」
「痛て,なんだよ兄さん」
「筋肉に偽の筋肉も真の筋肉もねぇよ,
速筋や遅筋,遺伝子的筋肉密度くらいしか」
「ごめんって」
「(観客席がごちゃごちゃうるさいデース)」
「,,,」
「どうしました?ゴングは既に鳴っていますよ」
「いやすまない,キミをどう倒そうかと思ってね」
「どのように来ても良いですよ」
瞬間,拳が飛んだ。
「んぉ?マッサージですか?」
「まずは小手調べな?」
軽く打ち込まれたジャブは優に3000Jを
超えるような一撃であった。
だがしかし,身長は280cm,体重は650kgの
ハイパーヘビーな筋肉に到底効きはせず,
前腕121.2cm,上腕二頭筋三頭筋合わせた上腕周位153.7cm,掌なんか一般的に見ても大きな20cmの約5倍,102.3cmに登り,親指176mm,人差し指208.2mm,中指231.3mm,薬指216.7mm,小指174mm閉めたら62cmの拳と化す,掌や腕周りの個々のこれらの太さや平面では無く,腕の一本として前ならえした,間接を含めた両腕の長さ,その実全長にして250.3cmに上る片腕だけで500kgを軽々持ち上げる巨腕を持つその腕から繰り広げられるパンチまさしく尋常ならなざる力。
「次は私が行きますよ」
瞬間,とてつも無いパンチが飛ぶ。
「,,,」
「軽々と避けてくれますね〜,リングと言う
狭い土俵でそこまでの動きが出来ると言うのは
健三氏が言う天才って言うのが分かります」
過去にセルジオは,縦50mを優に超え更に横25m以上,厚さ10mを優々と超える鉄の壁を
1撃で粉砕するしかも風圧だけと言う,まるで
戦車を貫く徹甲弾をイメージしてしまう,
そんなパンチを放ったのだ。
言ってしまえばそんな一撃はマッハ15以上の
速さが必要であり小型また超小型ミサイル並みの一発に匹敵するのだ。
故にして常人ならば致命症は免れぬ
一撃,通常攻撃ですら一撃必殺級,だがしかし。
「ムゥ⁉︎」
「今わざと喰らいに行ったな」
「マジかよ」
だがしかし。
「回転の体捌きでエネルギーを離散した⁉︎」
「あぁ,あれほど身体のしなやかさと柔軟性,
それに加えて全身の筋肉操作力と弛緩を
するには,俺には若すぎるくらいだ」
「産みの親の兄貴すら凌駕したのかよ」
「へへへ,あなたほどお強い方は今まで
あまりみては来ませんでした,健三氏と
小次郎の野郎だけです」
「,,,」
「もっと楽しみま,うぐ⁉︎(ナンナンデスカァ⁉︎,
急に嫌な想像が,なんなんだ今のは)」
生き物は皆,自身の身体に穴が空いてる事を
錯覚するほど今出された闘気を恐怖するだろう。
「,,,」
睨むでもなく,見つめるでもなく,虚空を見る
目は深淵を映し出していた,まるで目の前に
居る奴はアリにすらなれぬ塵芥,目に無いかの
ように。
そうしてセルジオは理解[わかって]しまった
んだ,自身がどれだけちっぽけな存在かを。
「ソーリー!ソーリー!」
セルジオは膝を崩して泣き崩れてしまったんだ,
それはもう呆気なく,まるで赤子と父親かの
ように歴然たる差がそこにはありました。
「勝負あったな」
「ロミオはやっぱし俺が見込んだだけあるぜ」
こうしてバトルは終了したのであった。
「あのセルジオさん」
「WATS」
「私達の用事は済みましたので,良いですよ」
「え⁉︎マジ感謝デース!」
こうして海外出身のセルジオ・ブライアンと
二人の中学生は友人になるのであった。
【ミニ情報】
彼が生み出した技には一つだけやっばいのがあります, 永久禁止の禁忌の業,[壊滅・螺旋掌底]対象の全身を雑巾絞りのように捻り殺す
螺旋掌底最大の技術,オリジナルではなく
極地,まぁ天道に含まれる。