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取るに足らないもの

今日は周りの空気がおかしかった。


『何かあるかもしれない』


わかってる。

鼻が効かない。なんなんだ?


凛と藍斗と訓練所に移動したが、何かがおかしい。でもその何かがわからない。


『小春……警戒を解くなよ』


ふぅ。

今日はちゃんと刀を2本持っている。何かあった時も大丈夫だが…


この2人には……正体はバレたくないな。


アービターについて藍斗と凛と話しをしていた。藍斗はこういう勘が冴えるのか、元々思考力が高いのかおかしな点に気がついている。


アービターは人のことを救う気なんてさらさら無い。

まぁ団員は救うつもりで妖魔と戦ってるかもしれないが、上層部はお構いなしだな。妖魔を殺したいのは分かる。ただ、ここに住む人達をもっと労ってやらないといけない。


馬鹿みたいな施設を作って。本当に無駄だよ。それにこの仮想妖魔もおかしいんだよ。こんなものがあるならこの世界にもっと妖魔と戦える奴がいてもいいのに。



『アービターか。いつ出来たかな。俺も生きすぎて記憶が薄れている』


妖蛭は……どれくらい生きているのだろうか。こいつは私に何か隠しているが、記憶に関しては嘘は言ってないと思う。

本当にこいつは記憶が曖昧なんだ。



『……最初の頃の記憶が曖昧だ。ただお前達の世界は《《リセット》》されている。リセットを把握しているのは………妖魔よりもタチが悪い』



それくらいしか覚えてないと言う。

初耳だぞ?リセット?

妖蛭が意味深なことを言う。リセットってどう言う意味だ?世界をリセットする?

そんな簡単にできる話でもないしそもそも意味がわからない。


それに……



あれ、おかしいな。

妖魔の気配がする。


訓練所…?いや、この地下の空間全てに妖魔の気配が充満してきた。


な、んだこれは



『相変わらず、人間とは思えないスピードで気がつくな』


……うるさいな。私はもう、人間じゃないんだよ、きっと。


ふんわりと妖魔の嫌な臭いが漂う。

その妖魔の臭いに……鳴海の臭いが混ざっている。


面倒なことになりそうだ。



『この訓練所でやり合うなよ』



ここ以外どこでやれというのか。ここに臭いが集まってくる。そして思った以上に妖魔の気配が急激に濃くなった。


この部屋は何か見張られている気がしていた。

上のモニターには私たちが映っている。もしかしたらこれ通じて誰かに見られているかもしれない。


モニターに映る私たちの角度的に……部屋の四隅か



『壊せ』


分かってる。

これを壊してどうなるか分からないけど、見られている可能性としたらコレだろうから。



『あの2人を何処かに行かせろ。右手で戦うわけにはいかないだろう』


「………鳴海は妖魔だった。お前は気付いていたか?」


『気付いていたら初日に斬らせている。気づかなかったと言う事は、かなり強い妖魔か、気配を隠すのに特化している。本気でやらなきゃ殺されるぞ』



そうか。

気がつかなかったな。

妖魔と人間の区別をつけるのは得意なんだがな。



藍斗と凛2人を逃したいが、広場の方にも妖魔の気配がする。


……私がそばにいる方が安全か。


上を見れば妖魔がぎっしりひしめき合っている。気持ちが悪いな本当に。


だけど、誰かの指示なのかまだ襲ってくる気配はない。こんなものがいると言えば2人は発狂するだろう。

天井にへばりついている妖魔なんて私でもあまりお目にかかったことはないからな。しかもこの数だ。



「妖蛭」


『……なんだ』


「鳴海は、3人を喰ってると思うか?」



本当は分かってる。妖蛭に聞かなかったって自分でわかっているんだよ。助けるには間に合わないなら。



『俺は他の妖魔のことは知らない。だけど、本命はお前とそこの餓鬼2人だろう。強いやつを喰った方が、力を得られるからな』


「……遠回しに言うなよ」



わかってる。でも今ここで動けば、凛と藍斗がやられる。3:3で分かれて訓練だと言った時に気づいておくべきだった。



『……お前もわかるだろ。感覚を研ぎ澄ませろ。向こうから感じる気配は……鳴海のものだけだろう』



分かっていた。

この世界はこう言うものだと分かっていた。共に過ごし、共に高めあった仲間は、一瞬隙を見せれば殺されている。

分かってるはずなのに…悔しい。



『……心を無にしろ。お前が乱れると、俺は戦えない』


「あぁ、2人を守る」


『……見殺しにすれば楽だぞ。戦ってる姿を見られてもいい。お前にとって、あそこの2人の命は取るに足らないものだろう』



違うのか?

そう私の中に声が響く。

取るに足らないものだよ。その通りだ。


 


「わたしはその、取るに足らないものを、守りたいんだよ」




力を貸せ、妖蛭

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