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小説家になろう 冬の童話祭 参加作品集

(なろラジ冬童話朗読作品)バクのテイパーとにんげんと友だちになりたいオバケ

作者: 水渕成分

小説家になろう 冬の童話祭2024 参加作品です

挿絵(By みてみん)

表紙 楠結衣 様

 すっかり夜もふけちゃって みんなすっかりゆめのなか。


 まっくらな町にお月さま一つ。


 しずまりかえったその中で


 バクのテイパーはおきだします。


 ゆっくり町を歩きながら バクのテイパーはおはなをすんすん。


「おやおや。こわいゆめのにおいがするぞ」


 テイパーが向かったその家には4歳の女の子ふみちゃんがゆめにオバケがでてきちゃってないています。


「いくかー」

 テイパーは口から大きくいきをはくと、とび出たはなからいきをおもいきりすいこみました。


 するとどうでしょう ふみちゃんが見ていたこわいゆめはあっというまにきえてしまいました。


 どうやらすやすや、ゆめもみないでねむっているようです。


 しゃりしゃりしゃりしゃり


 テイパーはふみちゃんのこわかったきもちをかみくだくとぺっとなにかをはきだしました。


 はきだされたのはふみちゃんのゆめに出てきたオバケ まっ白なシーツをかぶったようなオバケです。


 オバケはなにがおこったかわからず、ぼうぜんとしています。


「さてと」

 テイパーはオバケを見るといいました。

「なんであんな小さな女の子のゆめのなかにはいっておどかしたの?」


 われにかえったオバケはあわててくびをふります。

「ちっ、ちがうよ。おどかすつもりなんかなかった」


「ならどうしてあの女の子はこわがっていたの?」


「ぼくはあの女の子と友だちになりたかったんだ。でも、あいさつしようとおもって近づいたらなかれちゃったんだ」


「ふーん」

 テイパーはオバケをもういちど見るとうなずきました。たしかに白いシーツをかぶったようなオバケが近づいてきたら小さな女の子はないてしまうでしょう。


 オバケはかなしそうな顔をしています。どうやら友だちになりたかったというきもちはほんとうのようです。


「オバケちゃん。きみはゆめのなかのそんざいだからすがたはじゆうにかえられるんだよ。ただ友だちになりたいってだけではなくて、どうしたらあの女の子に友だちになってもらえるか、かんがえてみたら」


 テイパーのことばにオバケは大きくうなずいたのです。





 こわいゆめを見ることがいやでお母さんにいわれてもなかなかねなかったふみちゃん。


 でももう、お母さんに言われる前にねるようになりました。ゆめのなかでお友だちに会えるからです。


 お友だちはあるときはピンクのうさぎ、あるときはまっ白なこねこ、またあるときはふみちゃんとおなじくらいの女の子。


 みんなあのオバケがどうしたらふみちゃんとなかよくなれるか、かんがえてすがたをかえたのです。


 でもある日、オバケはうっかりして白いシーツをかぶったようなすがたでゆめにはいってしまいました。


 ふみちゃんは、ないたでしょうか?


 いえ、なきませんでした。そして、こういったのです。


「こわくないよ。だっていつもゆめにきてくれるお友だちでしょう」


 こんどはオバケがないてしまいました。うれしかったのです。





「さあて」

 ふみちゃんの家の外でテイパーはつぶやきました。

「ここでのおしごとはおしまいと。おやおやこんどはこっちからこわいゆめのにおいがするぞ」


 テイパーはゆっくりとこわいゆめのにおいがするほうにあるいていくのでした。



 おしまい    


挿絵(By みてみん)

バナー瑞月風花様

読んでいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] テイパーの安心感が素敵ですね。 お話はお子様でも楽しめる内容で、でも格好良くて可愛くて……とても面白かったです。 夢を食べるしゃりしゃり音がなんだかかき氷みたいで印象に残りました。 オバ…
[良い点]  とっても可愛くて、素敵なお話でした。 「こんどはオバケがないてしまいました。うれしかったのです」←この一文、良いですね~。 [一言] 『小説家になろうラジオ』での朗読、おめでとうございま…
[良い点] なんてやさしくて、ほんわかとうれしくなる物語でしょう! オバケちゃん、よかったね。 私もこんなお話を書きたいなあ、と素直に思えるおはなしでした。 [一言] 『なろラジ』朗読おめでとうござい…
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