表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/32

8

王都に来たことがないわけではない。

田舎貴族といえど貴族は貴族。先日のデビューの際も王都のパーティーでデビューを果たしたし、それ以前にもサンと次兄のレンを訪ねて遊びに来たこともある。

…そんなに頻繁に来ることもないけれど、初めての王都でもないのだ。

だから、伯爵がどこに連れていってくれるのか、楽しみではあった。

穴場スポットとか、隠れ家的なカフェとか…乙女が好みそうなお洒落で素敵な場所を期待していたのだ。

…が。


「…えぇと…ここは…」


もしかして、もしかしなくても、レーニン伯爵邸ではないだろうか。

…いや、レーニン伯爵邸だ。

ついこの間来たばっかりの。

この伯爵邸で私はデビューし、そして真横のモーガン伯爵に求婚され、この目の前の邸宅の一室でベッドを借りた。うん、覚えてる覚えてる。

あの時のベッドはふかふかだった~!


「そうです。レーニン伯爵邸で、ヘーゼルとリリースが貴女を待っているんだ」


待て待て待て。

そうです、じゃない!

何言ってるんだ、この金髪碧眼野郎!

しかも何かサラッと怖いこと言った!

………『ヘーゼルとリリースが待っている』……?


「………その、ヘーゼルと言うのは、レーニン伯爵子息様のことでしょうか……?」


そしてリリースというのは、貴女の婚約者候補の筆頭の、リリース・マグダリアン様のことでは…?


「そうです。ヘーゼル・レーニン伯爵子息と、リリース・マグダリアン伯爵令嬢です。…さぁ、二人とも待っていますから急ぎましょう」


モーガン伯爵様は私の背中をそっと押す。

まーじーかー。

ちょっと遠慮したい顔ぶれなんですけど…。

けれど、背中を押されては前に進む以外ない。

回れ右して帰れる程、私の階級は高くないのだ。

渋々歩き出した私は、その数分後、早々に後悔することになった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ