「生きたい」
「おい!」
またか····
「お前だよお前!」
いつも絡んでくる不良グループ、以前肩をぶつけて無言で立ち去ったら、何かと絡むようになった、
「いつまでもシカトしてるんじゃねーぞ!安倍信彦!」
はぁ、本当に疲れる···
「なに・・・」
いつものように返事をした、次、こいつは、「何じゃねーだろう!このクソ野郎」と言う、
「何じゃねーだろう!このクソ野郎!」
本当にボキャブラリーが足りない奴らだ、まあ無口な俺が言う事では無い、
「この前の落とし前つけさせてもらうぜ!!」
不良グループが襲って来る、と言うかいつの時代の奴等だ···
「うらっ!」「くらえ!」「こいつ!」と蹴りやパンチを繰り出す、しかし自分には当たらない、自慢ではないが瞬発力には自身がある、
ケンッ
大柄の男の足に足を絡める、するとドミノ倒しよろしく不良が総崩れする、
「くそっ!覚えてやがれ!」
はぁ、なんで絡んでくるんだろう···
「安部、今日の掃除当番よろしくな、」
自分には友達と呼べる奴はいない、放課後になりクラスの奴に掃除を押し付けられる、これもいつもの事だ、
「・・・、」
箒をとり、一人で掃除を始める、これも慣れた
まあ、一人の方が相手の気を遣わず楽だ、
一通り掃除を澄ませて一人教室で外を見る、若干赤みがかった空を見る、
『帰るか····』
荷物を手に教室を抜け出した、
いつもひとりだ、いや、ひとりの方がいい、なにも考え無くていい、相手のために動いてなんの意味を持たない、
両親もいない、友達と呼べる人もいない、叔父と二人暮しではあるが、叔父には嫌われているのだろう、このまま消えてもニュースにもならないだろう、
それが俺の人生、何にもない、空っぽの人生···
帰り道少し寄り道をする、なんてことは無い、ただの神社だ、誰も居ない、そんな神社···
強いて言うなら夕日がとても綺麗だ、何度も来ている、
「ここは静かだな・・・」
これが俺の今日の初めての言葉だ、ただの独り言、そう···ただの無い独り言だ、
「そうだね!静かだね!」
「!?」
誰かいる!誰だ!
当たりを見渡すがやはり人の姿は無い、
「そりぁそうよ、私は人間じゃないからの!」
やはり聞こえる··まあ誰でもいいか、俺には関係無い、
「ありゃりゃ?本当に良いのお兄さん、私人間じゃないんだよ、このまま食べてしまうかもしれないよ、」
食べる?もののけの類いか、まあ食べたければ食べればいい、そのほうが誰にも迷惑がかからない、ただ消える事が出来るだろう、
「本当に生に興味が無い男じゃの、無気力、無関心、いや生きるという事を放棄しておる」
まさしくその通りだ、俺は生きてい無い、ただ動いてるだけだ、
「そんなに生にしがらみがないと美味しく無いのじゃが、」
そんなの知らない、食べられるのに、美味しとか美味しく無いとか、俺には関係無いだろう!
「はっはっはっ!確かそのとうりじゃ!しかし無口と言うわりに、ずいぶんおしゃべりじゃのう、」
「勝手に人の心覗いておいてお喋りってなんだ!なにか言いたい事があるのなら出てこい!この化け物!」
「なんじゃ喋れるではないか、しかしこの私を化け物扱いとは・・ちいと懲らしめてやるかの、」
「どこだ!いい加減出てこい!」
「上じゃ!」
俺は上を見上げる、
「!?」
驚いた・・化け物が上にいるからではない、そこに本当の化け物がいたら多分驚かなかった、いたのは女の子・・・巫女服を着たそれも美少女だった、
「おりょ?まあ確かに私は少しは自信があるが、そんな照れるのじゃ///」
こいつ!俺の!
顔が赤くなる、くそ!こんな得体の知れない奴にばかにされた、
「よっと!初めまして人間君私はここの主、想叶稲荷神社の神、夜叉じゃ!」
そのままふわりと降りて来る所を見ると本当に人間では無いのか、近くで見てもやはり可愛い、
「まあ、そんなに褒めてくれるなら、化け物の扱いした事を水に流してもよいぞ!」
彼女はずいぶん偉そうだな、まあ神と名乗るぐらいだから当たり前か、
「私は偉いのじゃ!よいか小僧!私をそこらの神と同じにするな!最近の神はひとつの事だけしか、叶えられん!じゃが私は全ての願いを叶えて来たのだぞ!」
大声で自慢し始める当たり、この人は駄目そうだ、
「むっかー!見とれ!私の本気を!」
当たりが明るく、いや炎だ、火の玉がたくさん現れた!
「うっ!ふしゅー・・・、」
自称神は火の玉を出したとたん、力無く倒れた、
「神力が足らず力が出ないのじゃぁ・・」
某菓子パンヒーローのような事を言っている、
むきゅー
そんな効果音が出そうな顔で気絶してしまった、
「はぁー」
可哀そうだから、介抱するか、
境内の辺で膝を枕らをしてやる、だいぶ日が落ちたな、
「うーん、はっ!」
「気がついた、もう大丈夫?」
彼女に声をかける、
「きゃー!」
悲鳴を上げて逃げる夜叉
「わ、私に乱暴するんでしょう!春画みたいに、春画みたいに!」
なにを言っているんだこの人は、まあ人ではないが、
「あれ?意外と紳士的だね、お主は、」
人外かもしれない奴に性欲は沸かないと思うのだが、
「そんな事言って、本当は私が寝てる時色々想像したんじゃないのかの!」
もういい、帰ろう、
「待って!帰らないで!私も寂しいのよ!約15年ほど認識されてないから!これだけ話したのは久々で!」
神なんて誰も認識した事が無いと思うが、
「認識と言うより、信仰心ね、私の存在を信じてお祈りしたり、願い事をしたり、あと供物も!それが私の生きて行ける糧なのじゃ!」
先ほど俺を食べるとか言ってなかったか?
「そんな事よりお主、供物を持っておらぬか、稲荷とか、後お酒!何贅沢は言わん安物でよいのじゃが、」
そんなのあるわけないだろう!俺はまだ学生でお酒なんて、それに稲荷なんてあるわけ・・・、
「メロンパンならあるが・・・、」
「!?」
今日のお昼の食べかけだが、
「いただきます!」
神様にメロンパン(食べかけ)を渡す、
「ウマー!マジで、美味いのこのメロンパンなる物は!」
神様がマジとかウマーとか使うのか普通?まあ、食べかけで満足していいただけた様で、
明日はメロンパン20個ほど頼むぞ!」
ここの神様はかなりがめついみたい
「ただいま・・・」
俺は帰宅した、昔両親が死んで叔父さんと二人で暮らしているが、あまり話さないご飯も一緒には食べない、多分、叔父も早く厄介払いしたいと思ってるんだろ、
「俺は何がしたいんだ・・・、」
さっき人外が話たように「生にしがらみがない」と言っていたが、では何故俺は生長らえているのか、早く死んでしまえばいい、死ぬのが怖い?そんな事はない、なら何故?
『無口と言う割におしゃべりじゃのう』
そうか・・・、俺誰からも知られずに死ぬのが怖いのか・・・、
「夜叉、メロンパン、持ってきた、」
翌日の夕方、またあの神社に来ていた、何故だろ、また来てしまった、
「おお!お主か!うむ神に供物を捧げに来るとは、関心関心なのじゃ!」
自称神は、メロンパンをむさぼっている、
「時にお主、名はなんと申す、」
口がパン屑まみれの自称神は、俺の名前を聴いてきた、
「安部、安部信彦」
一応、素直に答えた、まあ、何となくだが、
「しかし、お主は本当に友達みたいな者がおらんのか?」
自称神は、俺の交友関係までご所望とは、最近の神も相当暇そうだな、
「むー!私は暇では無い!いつも猫と戯れたり、今日の賽銭箱確認したり、大忙しじゃ!」
それにしては、誰もこないな、まあ、だから俺が来てるのだが、
「やはりお主が疫病神じゃったか、やはりお主は出ていけ!」
自称神は、手を上下に振りながら俺を帰したいらしい、まあ、俺が帰ってもここには誰来ないが、
「むー、私は神だぞ!自称神ではない!」
そうか、分かった邪魔して悪かった、さようなら神様、
俺は立ち上がり帰ろうとするも、
「まーつーのじゃ!」
俺の首にヘットロックをかけてきた、
「また、私一人になるではないか!寂しいのじゃ!構ってなのじゃ!」
俺の身体をブンブンと左右に振らしヘットロックを強めてきた、
「ぐえぇ!」
「あれ?信彦?おーい!信彦?・・・」
意識と自称神の声が遠のいていく、
「はっ!」
「お?気がついた!」
神の膝の上で目を覚ました俺、首が痛い、
「まさかあの程度で気絶するとは、思わなかったよ信彦!」
この駄目神はまず謝る事を知らないらしい、やはり神では無い様だ、
「せっかく!この美少女の夜叉様が膝枕をして介抱しているのに!この人間は!」
人の首をヘットロックしておいてこの言い草、もう二度とくるものか!
「ごめんなさい!ごめんなさい!帰らないで、何でもするから!」
ん?なんでも、今なんでもと・・・
「あっ!今のは、言葉の文で、その・・・、」
凄く顔が赤く、なにを考えているのか、
「その、私は初めてだから・・・、その・・、優しくしてくれるなら・・、」
いや、人外の身体は所望していない、第一心が読めるならその位わかってもいいハズなんだが、
「むきー!なんだか魅力が無いと言われたみたいで腹立つのじゃ!」
まあ貸しひとつという事で・・・
「時に信彦、お主は願い事はないか、」
なんだ、藪から棒に、
「たまには神の力を魅せようと思うてな!」
願い事か・・・こんな世界から決別したい、
「何じゃそれは!それでは邪神になるぞ!」
俺には関係ないな、それにその力とやら、昨使い方果たしただろう、
「うっ、そうじゃが、お主は一応メロンパンを供物してくれた訳だから・・・、その、お礼がしたい、と・・、」
なんだ、ただの礼儀知らずの神では無いのか?
「なに!私は神なのだぞ!本来なら人間のお前達がこちらに出向き供物するのが、当然の事ではないか!それをお主だから、願いを叶えて進ぜると言うのになんたる言い草じゃ!」
神は軽く涙目で言っていた、面倒な神様だな・・・
「それじゃ、少し運気を上げてくれ、これでいいか?」
すると、ぱぁと笑顔になり、
「本当欲のない男じゃ、よろしい!お主の言葉、聞き届けたぞ!」
そんな事を言って神は消えた、はぁ、やっと帰れる、
「明日もしっかりとメロンパンを持ってくるのじゃ!」
まだいたのかよ!
「待てよ!」
翌日、また例の不良グループに絡まれる、
「またシカトかよ!今度あったらタダしゃあ済まさねえと教えたはすたが・・・、」
はぁ、なんでこいつらは毎日出てくるのだろう、
「お前ら!そこでなにしてる!」
ん?いつもと展開が違う、
「やべー!体育の宮下じゃねーか!にげっぞお前ら!」
どうやら先生が来たようで、この場所は収まった、
放課後、掃除の時間、
「安部!今日も頼むな!」
またか、
「・・・」
面倒くさい、けど諦めるか、
「ちょと!男子!」
また、いつもと違う展開に、
「げぇ!風紀委員の宮田!」
「いつも!安部君に押しつけて!今日は貴方達だけでやりなさい!」
また助けてられた?
帰り道、また神社に来てしまった、
「にっしっしっ!今日はどうじゃった?」
悪ふざけした子供の様な笑顔の神様が出迎えた、
「やっぱり、今日のあれ、あんたの仕業か、」
正直、面倒だった、不良に絡まれ後に先生が助けた事により、先生に小一時間状況を聴かれ、
掃除の時、分担しないから、俺一人でやった方が早い、コミュ障の俺には荷が重い、
「なんじゃ・・・気に入らんかったか・・・」
今度はしょんぼりした、本当に忙し奴だな、
「しかし、今日は殴られてない、掃除も楽できた、いい日ではあった、」
「やっぱりそうかの!私もやればできるのじゃ!」
満面な笑みで答える神様、変に落ち込まれるよりましか、
「これ・・今日のメロンパン、」
今日の分を渡す、
「ん?なんじゃ?このメロンパン黒の粒粒があるのじゃが?」
今日はチョコチップメロンパンを用意した、今日のお礼で、
「美味い!これ美味いのじゃ!明日からこれで!」
明日から普通に変わる、今日は特別だ、
「いやなのじゃ!これがいいの!お願いなのじゃ!」
涙目の神様が懇願している、
面倒だけどまたにならあっても良いかな?こんな日常・・・、
改めて「神様にお願い!」を書くことにしたカイザもとい変態パンダです!
誤字や後付け設定等もあったので追加シナリオとかここの表現変えた方がいいとかたたあったので新しくさせていただきます!
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