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Apocalypse of EIRI
黒い雨がふる
透明なことはわかっていたのに
少年Aはとっさにしづくを手に受けとめ、透明であることをたしかめる
手をぱっ、ぱっ、とふり、蟻一匹ほどの鏡池を散らし、虚しい余韻に満ちる
うすよごれた毛色の雲
ハツカネズミはまだ何処
降る雨、降る雨濾しとった
コンクリートは夏の色
また、か、なり…か
漏らす吐息
そして、また綱わたりを始める
神様は、見ただろうか
いや、みちゃいないだろう
私にだってみれないから
神代入江 著「贖罪」冒頭部分より