〔耳かき〕
「じゃあ、最後に2人にこれをやって貰おうかな?」
草村は風見に耳打ちをした。
それを聞いた風見は、
「なんだそれ?俺と氷河とでか?」
「頼むよ風見、私の書く漫画のジャンル、知ってるだろ?」
「ああ、BLだろ。」
「ということは、当然こういったシーンも出てくる訳だ。しかもこのシーンに関しては、撮影はしない。もちろんビデオも撮らない。そして、私も見ない!!ただ音声だけは録音 させて欲しい。最近よくあるだろ、ラジオCDとか、ドラマCDってやつ。それに挑戦してみようかと思って。」
「いやいや、お前は見ててもいいんじゃないか?」
風見の問い掛けに
「いや、想像力を鍛えるために私は目を閉じる!」
「まあ、映像に残らないならやってもいいかな?誰も見てないとはいえ、結構恥ずかしいから…」
「ホントか風見、ありがとう恩に着る。」
風見の両手を握りしめ、草村はあるものを手渡した。
「じゃあ、これでとってくれ。」
「ああ…、わかった。 ところでさ草村、この部屋少し暑くないか?」
「そうか?」
草村はエアコンの設定温度を見た。
「あ~、悪い悪い。設定温度を間違えてたよ。」
「うそつけ、わざとだろ!」
風見は呆れたように草村に詰め寄った。
そう、わざとである。少し汗ばむように設定温度を上げていたのだった。
そして草村はエアコンの温度を快適温度まで下げると
「よし、これで気持ちよく出来るだろ。 今回ばかりは私も一切邪魔しない。2人で心置きなくヤってくれ。ただ音声は録音するから、会話というか、現状報告みたいなのは欲しいな。」
「喋りながらするもんじゃないんだけどな…」
「まあ、そう言うな。お前達なら絶対出来る。私は信じてるぞ!」
そう言うと草村は少し離れた場所に座り、静かに目を閉じた…
「ホントに見ないんだな…。」
風見は草村の考えてる事がまったくわからなかった
「まあ、いいか。誰も見てないなら気軽にヤれるって事か。」
風見は氷河を呼び
「どこでやろうか?」
「床だと固いから体が痛くなりそうだ、ベッドかソファーがいいかな。」
「体勢はどうしよう?俺の上に乗るか?」
風見はあぐらをかき、氷河に尋ねた。
「いきなりその体勢はレベルが高いんじゃないか?もっとオーソドックスなやつでいいんじゃない?」
「オーソドックス?」
「俺が寝て、風見が上から入れるってやつ。」
「ああ、わかった。」
お互い男同士でやったことなどない2人だったので、いざするとなると、どうしていいかわからない風見と氷河だった。
「よし、氷河、とりあえずここに寝てくれ。」
「こうか?乱暴にするなよ。」
「わかってるって、 よし、入れるぞ…」
風見は体勢を整え氷河に近づいた。
その時、氷河は思わず口を開いた。
「ちょ、ちょっと待て風見!それって少し太くないか?」
「そうか?俺はいつもこのくらいだぜ。」
「そ、そうか……じゃあ一気にやってくれ…」
「そんなに緊張するなよ。こっちまで緊張してくるだろ…
もう少し横に向けるか?上手く入らない…」
「このくらいか?」
「よ、よし入れるぞ…」
「い…!」
「わ、悪い痛かったか?抜こうか?」
「い、いや、そのままでいい…」
「じゃあ、奥まで入れるぞ…」
「ぁん…」
「ば、バカ変な声出すな!」
「な、なんか変な感じ…案外気持ちいいかも…」
「そ、そうか…、じゃあ動かすぞ。」
風見は中の粘膜がキズ付かないよう、ゆっくりとゆっくりと掻き回すように動かした。
「あ………あっ……」
時折漏れる氷河の吐息だけが部屋に響いた。
この時すでに草村は両方の鼻から血を吹き、ティッシュを詰めていた。
「お前の穴って、けっこう綺麗なんだな。」
「ま、まあな、一応手入れしてるし。」
「手入れ?普通こんなところ誰も見ないぞ。まじまじ見るのは医者ぐらいだろ?」
「エチケットだよ。実際今、お前が見てるじゃないか?」
「こ、これは特別だろ…」
風見は喋りながらも、動かす事をやめなかった。
「よし、一回抜くぞ… ふう……ど、どうだ?気持ちいいか?」
「ああ、お前が優しくしてくれるからな。」
「ば、バカ…何言ってんだ… コツがわかってきた。次はもう少し上手くやれる。氷河、反対に向けるか?」
氷河は風見の言う通りにし、体を預けた。
「よし、入った… ん?奥に…奥に何か…」 もう少し深く入れるぞ、痛かったら言ってくれ。」
「あ、あ…あ…わかった…」
そして風見はさらに奥に差し込んだ。
「お、奥に当たった… どうだ、痛くないか?」
「ああ…大丈夫だ… なんか変な気分だ…な…中で動いてるのがわかる…」
この頃には2人に友情を通り越した奇妙な愛情に近いものが生まれていた。
草村に無理矢理やらされてるとはいえ、風見を信じ、体を預けている氷河。そんな氷河を気持ち良くしようと全身の神経を1点に集中してる風見。
もはや2人はお互いの姿しか見えてなかった。部屋の片隅で鼻血を吹きながら至福の表情をして、もうろうとしてる草村など眼中にない。
「も…もう少し…もう少しで出るからな、我慢しろよ。」
「あ、あ…わかった、お前のタイミングでいいから…」
「あと少し…あと少し… 出そうだ…」
少しずつ動きが激しくなる風見、すべてを託し体を預ける氷河…
「で、出た!!あっ?!!」
「ど、どうした風見!?」
「わ、悪いこぼれた!服に付いてしまった!」
緑のエーサク〔水の想い…風の歌…〕編 第6話より抜粋