アコーディオンのはなし
童話風の書き方をしたくて書きましたパート4
むかしむかし、あるところに、小さな女の子がいました。
あまりにも昔の話なので、彼女の名前は分かりません。
なので、仮に少女の名をAとします。
少女Aは、いつも友達と公園で遊んでいました。
ある日、アコーディオンを持った男が公園に来ました。
異国の、青い目をした男でした。
男はアコーディオンを弾きながら、異国の物語を話してくれます。
少女Aは、アコーディオンがとても好きになりました。
家に帰って、母にアコーディオンをねだりましたが、うちは貧乏だから、楽器は高くて買えないから駄目だと言われてしまいました。
だから少女は、「大きくなって、大人になって、お金をたくさん手に入れられたら、一番最初に買うものはアコーディオンにしよう」と決めました。
それからというもの、少女Aはアコーディオン弾きの男が来る日は、必ず公園に行きました。
それからしばらく経った頃。
少女Aの国は、異国と戦争を始めました。
友達は皆、異国の男を怖がり、誰も来なくなってしまいました。
それでも少女Aは、男の元に来ました。
たった一人になった彼女に、男はアコーディオンを渡し、こう言いました。
「いつか大きくなって、大人になって、このアコーディオンを弾いて聞かせてね」
そう言って男は公園を出てました。
男が公園を出たところを、誰かが銃で撃って殺してしまいました。
それを見た少女Aは、アコーディオンを持って一目散に走りました。
そしてそっと家に帰り、誰にも見つからないよう、アコーディオンを棚の奥へ奥へと隠しました。
いつか大人になったら、男と最後に交わした約束どおり、このアコーディオンを弾こうと決意しました。
戦争が終わる日まで、少女Aは本を読みながら過ごしました。
何年も経ってようやく戦争が終わり、子供たちが公園で遊ぶ頃。
また、アコーディオンの弾き語りが始まりました。