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戦っちゃいました

ザコを見た人は懐かしく感じるかも…短いです

 タツオは焦っていた、姉から頼まれたお茶を買おうにもお金が手に入らないのだ。

 その前に町に入れないのである。町に入るにはパーソナルカードの提示が義務付けられていたのだ。

 パーソナルカードは、創地神ロキが作った身証明をする為のマジックアイテムである。

 ちなみにタツオのパーソナルカードは

名前 ビルクーロ(異世界・タツオ・トキヨシ)

種族 ドラゴン(異世界・猿人)

年齢 1億314才

身分 古代竜(異世界・庶民)

職種 時の古代竜(異世界・行商人)

備考 シスコンドラゴン・マザコンドラゴン・ファザコンドラゴン・ブラコンドラゴン・甘えん坊な古代竜・ヘタレ竜


(これじゃ提示が出来ない…)

 異世界人とバレても大騒ぎになるが、ビルクーロだとばれたらもっと大騒ぎになってしまう。

 昔なら魔力でパーソナルカードの内容を書き換える事が出来たのだが、いつの間にかパーソナルカードにプロテクトが掛けられていたのだ。


(そうだ、空から入れば良いんだ。そしてギルドに素材を売れば…僕、こっちのギルドに登録してないんだ!!)

 当然、ギルドに登録をしてなければ魔物を倒しても報酬が貰えないし、素材も買い取ってもらえない。

  

(住所欄に異世界ニョルズスタッドとか時の狭間って書いたら怒られるよね)

 ましてや氏名欄にビルクーロと書いたら出禁になってしまうだろう。


(うぅー、どうすれば良いんだ?遅くなったらお姉ちゃんに怒られる。そうだっ!!あれを見つければ良いんだ。今、水筒も持ってるし)


「変身、ビルクーロ手乗り形態」

 タツオは手乗り竜に変身すると森の中に飛んでいった。


(この大きさで見ると迫力がある…) 

 タツオが探していたのは蜂の巣である。

 蜂の名前は鳩蜂。その名の通り鳩並みの大きさになる蜂である。早い話が今のタツオより鳩蜂の方が大きいのだ。

 そして鳩蜂は毒を持っていないが、その太い針で刺されると物凄く痛い。それでも第一形態のビルクーロなら蚊に刺された様なものだろう。

 しかし、第一形態で森に入れば巣を取る前に周りの木を薙ぎ倒してしまし、手で取ろうとすると巣を壊しかねない。


(怖い…でも、蜂蜜水の為だ!!それに僕は時の古代竜、蜂なんかに負ける訳がない)

 鳩蜂の蜂蜜は濃厚で甘味が強くオーディヌスにでは珍重されている。

 タツオはお茶の代わりに絶品の蜂蜜水を作ろうとしているのだ。

 鳩蜂は気性が荒く攻撃性が高い、何より巣に近付く者には容赦をしない。

 タツオに気付いた鳩蜂が警戒態勢に入った。低く太い羽音が森に木霊する。


「我は時の古代竜ビルクーロだ…お、お邪魔しますー」

 蜂に名乗りを上げた所で通じる訳もなくタツオは怯えながらも巣に突撃していった。


「痛い、痛い、痛いー。なんで、なんで痛いの!?僕の鱗は頑丈な筈なのに」

 確かに手乗り形態になってもビルクーロの鱗の強度は変わらない。しかし、鱗の下の筋肉は薄くなっているので、針で刺されると打撃を受けたのと変わらないのである。


「喰らえドラゴンクロー、受けてみよドラゴンテイルー。痛いー」

 一つの巣に住んでいる鳩蜂は平均300匹、古代竜ビルクーロはフルボッコにされていた。

 激闘30分、タツオは満身創痍になりながらも鳩蜂の巣を手に入れた。

 

――――――――――


「このお馬鹿!!そんな無理をしちゃ駄目でしょ。ほら、薬を塗るから早く服を脱ぎなさい」

 ブルーメにとって異世界で珍重されている蜂蜜水より、弟の怪我の治療の方が大切であった。


「大丈夫だって。時の狭間に戻れば治るから」

 時の狭間はビルクーロの棲み家で、時のマナが充満している。

 

「全く、何歳になっても心配ばかり掛けるんだから」

 ちなみにブルーメは16才、タツオは1億314才。


「あらあら、まあまあ。ビルさん、あまりお姉様に心配させては駄目ですよ」

 

「ウィンディーアからも言ってよ。古代竜は強い生き物なんだって…姉に言うてくれぬか?」

 今のタツオはある意味一人二役なのである。


「あらあら、ビルさん。言い直さなくても宜しいじゃないですか」


「うー、僕の威厳が…お姉ちゃん時の狭間に行くよっ!!ウィンディーア、今日は迎えに来てくれて感謝…ありがとうございます」


「ウィンディーア様、これからも弟をよろしくお願いいたします」

 

―――――――――――


(嘘っ!!ここが時の狭間?)

 ブルーメが驚くのも無理はない。

 時の狭間にあるのは一枚の壁だけで、後は暗く寂しい空間しかないのだから。

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