第17夜 敗者の夜
「嘘だろ・・・・?」絶望的な口調でビートが呟く。
巧がビルを倒して5分後。医療班はビルを治療室へと運んだ。
目の前で今まで圧倒していた仲間が1撃でやられてしまったのだ。
激戦だったと言え、負けは負け。覆すことはできないのだ。
あの日結束を誓い合ったのは昨日のように覚えている。
「4人で合格する」この誓いを一時たりとも忘れたことはなかった。
それは他の3人も同じはずだった。だからこそ悔しい。
4人が合格して、最高の歓喜の瞬間を迎えることができる。
3人が合格し、あと一歩のところまで来ていた。ついに、合格できる。
そう思っていたからこそ悔しい。
アナウンスが入って数秒は状況が理解できなかった。
無力な自分が憎かった。自分だけじゃ駄目だった。
そこに彼がいて成り立ったのだ。最初の孤独だった自分に話しかけてきてくれたのは紛れもなくビルだったから。
「結果発表を行う!合格者19名!」ダイルの声が入る。
「残りの21名は敗者復活戦を行う!」
「!?」ビートは驚愕と歓喜で心が満ち溢れた。
「おい!どういうことだ!敗者復活戦ってどういうことだ!」つい声に力が入る。
「いや・・・俺たち意にも知らされていない。」白が口元を震わせながら言う。
「ともかくこれでビルも・・」リールの声はアナウンスによってかき消された。
「では不合格者はコロシアムの中へ!」
その声で観客席の者たちもぞろぞろとコロシアムの中へ移動する。
ビルは治療が終了したらしく、コロシアムにいち早くついていた。
もうその眼からは余裕などは微塵も感じられなかった。
その眼は屈辱と執念に燃えている。まるで下克上だ。
意地でも這い上がってやるという闘志が感じられる。
他の受験生も悲しみではなく、執念へと力を変えている。
「これからこの21名で一斉にデスマッチを行う!勝ち残った1名がもう1度エリートと戦うことができる!さぁ、お前ら!最後のチャンスだ!敗者復活戦はじめ!」
「うおお!」「ぐおお!!」「行くぞぉぉぉ!!」
その声々からはここまでともに戦ってきた者への躊躇など一切無い。
ただ、自分が勝つために。ただ、自分が生き残る為に。
だが、その人々を一気に吹き飛ばす爆発は1人の忍者が起こした。
「もう・・負けれねぇんだ・・こんな所で止まってられねぇんだよ!!」その叫び声はコロシアム全域に響き渡った。
思わず笑みがこぼれた。口元が緩み、小声で「クスッ」と声を漏らす。
白とリールもそうだ。同じく小さな笑みがこぼれる。
そうか、あいつが落ちるなんて考えなくて良かったのか。
そうだった。俺が信じなくてどうする!あいつは絶対ここまで這い上がってくる!
掌は拳に代わり、ついコロシアムに首を突き出す。奴は必ず勝つ。
元俺らの同期にも。そして、伊崎 巧にも。
そんな少年たちの顔を見てダイルは煙草を吸いながら声をこぼした。
「これからだぜ・・坊主・・」




