第15夜 熱闘!~リール編~
南アフリカ地方で起きた地震は世界中に大きな被害を及ぼした。
無論自然現象と言うことで処理され復興に向けられているが、1人は異議を唱えた。
「これは奴の仕業か・・・だとしたら師匠は!」
なぜなら<あの>ペンダントが落ちていたから。
『第42期生DARK卒業記念』
控室に向かったリールは35番。控室のTVから第31受験生が試験を受けているのが見える。
その姿は控室の全員の目を引いた。実況の声が聞こえてくる。
「すごい!なんという戦いだ!圧倒的に受験生が押しています!」
その剣捌きは神業と言ってもいい領域に達していた。
鬼紅坂卿は圧倒的に押されているのだ。
「なぁ?エリートさんよぉ?お前ホントにエリートか?」受験生が問う。
「ああ。違いない。主のような無鉄砲の方が向いていたかもしれんのぅ。」と答える。
「へぇ・・・じゃあ俺が変わってやるよ!『刻印 解放』!」
「!!」その時終了のアナウンスがなった。
「第31受験生合格!第32受験生!前へ!」
合格したことよりも驚いたことがあった。『刻印 解放』・・・・?
一受験生があの技を?
確かに彼は強かった。その証拠にあのエリートを凌駕していた。
かといってエリートが使うような技を受験生が使ったというのか?
仮定すればなぜエリートにならなかったんだ?
いや、それ以上の存在も夢ではなかったはず・・
考えるほど謎は深まっていく。しかしどうしても気にかかるのだ。
彼はここに来るべきはずのない人間なのだから。
自分達と肩を並べていることがどうしても不思議に思える。
「第32受験生合格!第33受験生!前へ!」
それともう1つ気にかかることがある。
これはまだ途中の段階だが、試験官がバラクスから鬼紅坂になってからは脱落者が1人もいない。
これは矛盾点が多すぎる。なぜなら31番が圧倒していて勝ったのはこの推測には当てはまらない。
本当に実力あっての勝利だからだ。第32受験生が偶然だとしてもその確率は低くない。
「第33受験生合格!第34受験生!前へ!」
また控室から一人受験生が出て行った。それと入れ替わりにビルが入ってきた。
「チーーーッス!俺様だぜ!」
控室内の5人は黙った。言うべき言葉が見つからない。
ビルは゛スベって゛しまったのだ。
「あう・・・」
ビルはリールの横に座ると声をかけてきた。
「どうした?思いつめたような顔して!次なんだから頑張れよ!」悪魔で乗り気だ。
「まぁ。色々考えててな。」こう答えるしかなかった。
「31番のことか?」冷静な口調に少し驚いた。
「気づいたか?」「気づかねぇわけ無いだろ?」2人の意見が重なった。
「第34受験生合格!第35受験生!前へ!」
そのアナウンスとともにリールは腰を上げた。
「勝てよ。」
その声に右手を挙げた。つい掌を拳に変えた。
コロシアムは荒廃しきっていた。整備があるとはいえ、凹みや血痕が目立つ。
そして、視界には鬼紅坂が待ち構えていたかのようにこちらを睨んでいる。
「主を待っておったわ。主の為にここまでの戦いは捧げてきたようなものよ。31番も同様にな。ここまでの戦いは飽いた。真の勝負を始めようぞ。」
「へぇ。31番も遊びだったのか。それなら相当強いんだろ。お前。」
「それは知らん。想像に任せようぞ。そろそろ始めるするかのぅ!」
「ああ。そうだな。」
鎖を投げ一気に引く。こうして鎖を張り、戦いを始める。
鬼紅坂は槍を構え、向かってくる。たるんだ状態の鎖を持ち、投げつける。
それをギリギリで交わした鬼紅坂は構わず向かってくる。
攻撃を回避し、いまだにさっき投げた鎖を持った状態で鬼紅坂の周りを回る。
鬼紅坂はジャンプで拘束を脱け出し、上空から槍を投げてきた。
壁にかかった最初の鎖を引き抜き、カウボーイのように器用に槍に当てて軌道を逸らす。
飛んで行った槍を取ると推測したリールは鎖を槍に巻き付け奪おうとした。
が、次の瞬間リールは切り裂かれた。
「主は読みが甘い。計画性に劣る者に我は負けぬ。」鬼紅坂の手には剣が握られていた。
「槍の柄から抜いた剣か。普段は剣の周りは槍のように太く、鋭利な物で加工してあるが勝機が来れば抜いて戦うことができるわけだろ?」
鬼紅坂は悟った。
「主どうやって今の攻撃をかわした?」いたって冷静なその眼は疑問と驚愕の視線を向けている。
斬った服の中。つまり斬り跡から出てきたのは鎖だった。
「鎖は攻撃、拘束、捕獲など多種多様な使い道がる。もちろん防御にもな。」
「なるほど。しかし主は我の攻撃から身を守っただけ。主は負けずとも我に勝つことは出来ぬ。そして終いには我が勝つ。終わらせようか・・『刻印 解放』!」
淡い水色の光は一瞬の内にコロシアムを包んだ。リールは手を目にやった。
光が消えるとそこには゛鬼゛が立っていた。
角が生え、牙は剥き出し、皮膚は真っ赤に変色しており目は黄色と緑と黒。
その゛鬼゛が言葉を発した。
「我の真の力見て行かれ!」言い終わる間もなく2~3mほどあろうかと言う剣を振り回してくる。
とてつもないスピードだ。
が、次の瞬間゛鬼゛の足がもぎ取られた。
「計画性に劣るものは負けるんじゃなかったのか?」
「貴様何を・・!?」体が元に戻っていく。
「鎖術6段。鉛脚、包落。足元を鎖で円状に囲み、一気に引く技だ。相手が早ければ早いほど、鎖は鋭く、そしてしなり、刃物ほどの威力を持って足を狙う。」
「いつ仕込んだ・・・その罠・・を・・」足が無い状態で倒れた鬼紅坂は聞く。
「刻印解放をしたとき、もう俺は防御を固めていた。頭上から足元に及ぶまで。これはお前に対しての敬意だ。」皮肉は無かった。
「主は強い。また我と競ってくれ。」
「第35受験生合格!第36受験生前へ!」
「ああ。必ず。」
「最後に聞かせてくれ。主の強さはどこからくる?」
「『友』からだよ」




