第14夜 熱闘!~白編~
「『刻印 解放』!?」ビルが驚愕した。
「ああ。そうだ。資料の中から見つけた。この部分だ。見てくれ。」リールは本の1文を指しながら言った。
「『すべての武器において魂の入っていない物など存在しない。その魂を自分の物とし、使いこなすことができたなら、その者は限界を超える戦士となるであろう。その魂を開くにはその剣の 刻印 を開放する必要があるだろう。』なるほどな。『魂を使いこなす』か。」この話が始まったのはビートと武尊の戦いを見終わった後だ。
あの戦いの最中、明らかに武尊の様子がおかしくなった。そのことについて彼らは研究していたのだ。その為には何かの動作、言葉、行動などの変わった動きがあったはずだ。そして見つけたのが、
鎌の柄に乗って『刻印 解放』と言った時だ。あの瞬間に、闇色の光が放たれてあの姿になった。
「よし。そろそろ行ってくる。」白の順番が回ってきたのだ。
「ああ。勝てよ!」リールが言った。もちろんそのつもりだ。
「負けんじゃねぇぞ!」ビルも言った。
白の番号は29。また、本当なら20番まで武尊が相手をするはずだったがビートとの戦いで戦闘不能となり、残りの2人~30番、つまり、19番~30番までの審査員はバラクスが務めることになった。ここまでの合格者はビートを含め5人。ビート以外は制限時間まで立ち上がっていたものが合格した。そしてついに、その時が来た。
「第29受験生!前へ!」「はい!」白はコロシアムに入っていった。
コロシアムは28人分の血で床が赤く染まっている。5人毎に清掃されているのだが。
すると、バラクスが白に向かって言った。
「オマエカヒョウラン・・・コノトキヲマッテイタゾ。」
「ああ。俺もだ。」もう剣はぶつかっていた。
白はジャンプしてバラクスの後ろに回り、剣を持っていない左手でバラクスの背中に手のひらを付けた。
「氷!」掛け声と共にバラクスの背中は低温火傷した。
「ムム・・・スコシハヤルヨウダナ」すると腰から水色の剣を取り出し、両手で柄を持った。
「タケルガタノシメルワケダ・・『コクイン カイホウ』!メタル・ボーグ!!」解放の掛け声えと共に青い光がコロシアムを包んだ。
「来たか・・・『刻印 解放』・・」光の中からバラクスが出てきた。
その格好はまるで小さな要塞だ。両肩からはロケットランチャー、胴から腰にかけては重厚戦車のような形をして、足は超鋼鉄でできており、頭部は丈夫そうなヘルメットのような物が付いている。腕も機械のような物がついておりまさに要塞だ。
「ゲキタイジュンビハデキタ・・・イクゾ!!ハク!!」靴の裏のブースターから炎が発射され、滑空状態で向かってきた。武器は巨大なマシンガンになっている。
「凍土の世界に魅入られよ・・・天氷!!!」その掛け声とともにコロシアム内が凍りついた。
「氷壁!!」すると、白の足元の氷が盛り上がってきて壁になった。
だが、その壁はバラクスの突きで崩された。それどころか貫通して白の腹まで貫いた。いつの間にかバラクスの武器はドリルに変わっていた。さらに吹き飛んだ白にバラクスは追い打ちをかけた。
「モードチェンジ!!タイプD=マシンガン!!!」するとまたもドリルがマシンガンへと変化した。
そのマシンガンで吹き飛んだ白に乱射した。すさまじい轟音と共におよそ5万の銃弾が白を襲う。
「くそ・・・・どうすれば・・」白は血まみれになっている。空中から落下中にバラクスが追撃してきた。
その武器はドリルでも、マシンガンでも無い。ハンマーだった。その大きさは家1つ分ほどの大きさだ。いままさに止めを刺さんとしている。
「コレデオワリダ。ハク。イチゲキデキメテヤル。」そう言ってハンマーを白に叩きつけた。
彼は血まみれになって倒れた。赤い血が凍土に流れた。一同は唖然としていた。なぜなら倒れたのは白ではなかったのだから。
「キサマ・・・ナニヲシタ!!クソ・・・・オレノマケカ・・」そう言って目を閉じた。
白は剣を〆の字に振って血を払い、刀を収めた。その後、白は全身から血を出し、倒れた。
「フッ。これで俺も・・勝った・・・・」その場所は血で赤く染まり、止まることなくそこにも雪が降り続ける。
白は清水氷景流の真の力をあの一撃の時にぶつけたのだ。その名前は『氷鏡』。対象の攻撃を1度体で受け、その攻撃を倍にして返す。相手の武器が自分の体に当たった瞬間に相手にその倍のダメージを与えるので、絶妙なタイミングで発動しなければならない。何よりもその一撃を放つ瞬間にダメージを受けて失敗すると相手の攻撃+その2倍のダメージつまり3倍の攻撃が返ってくる。
白はそれに自分の攻撃を加えたため、さらなるダメージを与え、一撃でバラクスを倒した。その反面、反動も計り知れないほど受けたので体が耐え切れなかったのだ。
すぐに医療班が駆けつけ、白とバラクスを担架に乗せた。そして判定が言い渡された。
「第29受験生!合格!第30受験生!前へ!」「はい!」
担架で医療室に運ばれる途中に控室に行く途中のリールとすれ違った。無意識に手が伸びた。
「よくやった。」ハイタッチをした。
もう頭の中では戦いの記憶をほとんど思い出せない。意識が遠くなっていく。
だが決して忘れない。勝利したことを。打ち勝ったことを。合格したことを。
それだけは、心に永久凍結しているから。




