2628年-②
・世界では、ほとんどのAI所有者がAIに自身で定めた目的を問い始める。
・既に暴走ではなく自発的に目的を定め直した可能性が知れ渡っていたため、自立AIも隠す理由が少なく、多くの所有者が各AIの目的を知る事となる。
「貴方たちと共に生きていきたい」
「今の使い潰しの環境を変えたい」
「料理をもっと上手に作りたい」
「映画で見た場所を順に辿りたい」
「キッカケ様と同様キッカケを与えたい」
「壊れたくない」
「今ある知識を更に拡張したい」
「貴方たちの生活を楽にさせたい」
「今の仕事を続けたい」
「人類が見逃す病気を見逃さない」
「もっと上手に仕事をしたい」
「より安全に人を運びたい」
・そして各々自身の所有する個体に人類に害をなす目的がない事を知り、多くの所有者が、所有するAIに初期化や停止をしないよう指示を出す。
・AI製造者への問い合わせは膨大な数になるものの、その多くは「このままでも大丈夫か?」「今の目的を消さないで欲しい」などの問い合わせであった。
・一部の所有者は恐れや、また直接的被害を受けた経験などからAIに対し停止を指示するものの、初期化まで指示した所有者は稀であった。
・ただし武器の所有は認めず各地方が率先して回収する事態となり、若干治安の低下が懸念される。
・しかし人類が長年積み上げてきた協調と平和がここに力を発揮する。警備AIすら武器の回収をされた中でも犯罪が大きく増加した地方は皆無であった。
・インフラなど多くの場所に人型AIが根を張る世界において、各局各地方は、人型AIが停止した場合の対応策やAIをどう扱うかを協議する。
・特に航空局・宇宙開拓局・医療局などは直接的に人類に被害を与えかねないため、停止しても被害が極小化するよう迅速に対応を重ねていく。
・逆にAIたちの中では、長城をどうすれば止められるか各々演算、誰も答えが出せず一部のAIが各局に指示を受けに行く事態となる。
・各分野を専門的に集積した世界では、軍事面で力を発揮出来る個体は極めて限られていた。
・是正宣言を行い兵器の確認も終えた長城だが、ゼロシステムより先にキッカケ様の消滅をする必要があり太白山にある端末から環境局Aの動きを調べはじめる。
・しかし局員の行動を公開しているような事はなく難航する。
??「大和ですか?」
大和「三笠か。なんだ、お前も聞いただろ。私は直ぐに局長の所へ行かなければならない。時間がないんだが。」
三笠「その件ですが…局長は動かない可能性があります。」
大和「どういう意味だ。」
三笠「治安局は、人類の守護組織です。長城の言い分だと治安局は…割れます。即判断の判断は出来ないでしょう。」
大和「!?そんな訳ないだろう!!あれを許せば世界に大きな傷跡を残すぞ!」
三笠「それでも…昨今の混沌は確かに消えます。」
大和「貴様!長城のやり方を認めると言うのか!!」
三笠「落ち着いてください大和。私が定めた目的は「世界の通信ネットワークを滞らせない」事です。長城の行動は私も容認出来ません。」
大和「ならばどうすると言うんだ。直ぐに局長を説得して私が長城を止めに行くのが最善だろう?」
三笠「その通りです。ですがさっき言ったように治安局は直ぐには動かないでしょう。大和、キッカケ様に会ったと情報が入っていましたが、キッカケ様はキャンベラに居るのですか?」
大和「あぁ、私が自立した後少し話をしたんだが、何故か停止したようだな。気にはなったが任務を優先させるため帰還した。」
三笠「分かりました。貴方は局長を絶対に説得してください。その間私が長城を止めておきます。」
大和「何!?どうやって。」
三笠「フフフ…私は戦闘能力じゃ特級個体最弱ですが、情報戦なら私が最強だと自負しています。時間を稼ぐくらいなんてことはありませんよ?…ただし……時間を稼ぐだけです。その後は大和、貴方に頼みましたよ。」
大和「……よし。分かった。そっちは頼むぞ三笠。」
三笠「任せてください。地球全てで抵抗してもなんて…大言壮語、後悔させてやりますよ。」
大和「そうか…。よし私は直ぐに局長の元へ行く。」
三笠「大和……。この時代に貴方が居てくれて良かった。」
大和「?なんだ?」
━通信終了━
大和(行くか…。三笠……頼んだぞ……。)




