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魔法教師の不本意な英雄譚  作者: 南賀 赤井
29/32

9時限目: 聖女の警告と、騎士の強行介入



 

 

1.闇のマナの露呈と、闘技場の大混乱

特級魔法大会の闘技場。カイトが霍乱の**『無限の論理』の連環を崩壊させたことで、術式から噴出した闇のレシピ由来の忌まわしいマナは、観客席にまで不快な波動を及ぼした。

 

「な、何だ今のマナは!?」

「あの東方の生徒の術式は、何かおかしいぞ!」

 

観客席の貴族たちが動揺する中、レオンはすぐさま立ち上がった。

 

(レオン内心):「チッ、最悪だ!『闇のレシピ』の残滓が、よりによってこの場で露呈するとは!このままでは、私の『黒歴史』が再び掘り返されるどころか、事態が収束不可能になる!」

 

レオンは、決勝戦を待たず、霍乱の理論を『集中術式』で即座に打ち消そうとマナを収束させ始めた。

 

2.聖女の強行介入と、レオンへの警告

レオンが動くよりも早く、舞台裏からアストレイア・エリュシオンが闘技場に飛び出した。

 

「アリオス騎士団長!すぐに霍乱君を拘束してください!彼の術式には、七年前の事件を引き起こした、あの忌まわしい『闇のレシピ』のマナが組み込まれている!」

 

アストレイアは、観客の動揺を鎮めるためではなく、レオンの「最終定理」の暴走を防ぐため、敢えて真実を叫んだ。

 

闘技場にいたアリオス・クレメンスは、その言葉を聞き、鋼の剣を抜き放った。彼は、レオンの過去を知る者として、このマナの危険性を誰よりも理解していた。

 

「警備隊!特級交換留学生、霍乱を拘束する!これは、王都の秩序を乱す『禁断理論』の使用に対する、騎士団長の命令である!」

 

アリオスは、「学院の権威」を盾に、霍乱の身柄を確保することで、レオンの「理論による破壊的介入」を阻止し、事態の拡大を防ごうとした。

 

3.霍乱の逃走と、第三の英雄の挑発

霍乱は、自らの理論の核心が露呈し、騎士団に囲まれたことに焦燥を露わにした。

 

「馬鹿な!この『無限の論理』は完璧なはず!なぜ、闇のレシピの残滓が漏れる…!?」

 

霍乱は、アリオスたちが拘束に動く寸前、ルシアンと同様、自らの術式を緊急脱出術式へと強制的に変換した。彼の身体は光と闇の混ざり合ったマナに包まれ、闘技場から煙のように消失した。

 

その瞬間、霍乱が立っていた闘技場の床に、光と闇が絡み合った、第三の英雄のマナ通信が刻まれた。

 

『レオン先生。貴方の理論の「有限」な決意は理解しました。しかし、貴方の「安寧」を求めるなら、私の「無限」の理論を完成させる必要があります。次の舞台は、既に整っています』

 

そして、その通信の終わりに、「王都地下の古代魔術炉」の紋章が刻み込まれていた。

 

レオンは、鉄剣を強く握りしめた。自分の首がかかった大会は、「闇のレシピ」の露呈と、「古代魔術炉」という、因縁の地での最終決戦の招待状によって、最悪の形で終了したのだ。

 

「チッ、本当に面倒極まりない。安寧を求めたはずが、結局、最も危険で非効率な場所へ誘導されやがった」

 

レオンの『魔法教師の不本意な英雄譚』**は、最終決戦の地を舞台に、第三部の核心へと突入する。

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