七章 第五魔塊の行方
私たちはフィトミア博士と合流して会議室に向かい始めた。
「科学神って何ですか?」
ソラはシゼルを見てそう言った。
「科学技術によって作られた神」
シゼルは前を向いたままそう言った。
「特別な能力な能力とかないんですか?」
「あるよ。この船を動かす能力」
「すごい神様的な力はないんですね・・・」
「この船を動かすのってすごく大変なんだよ?ヴァンゼナなしでなんて不可能なんだから」
シゼルはソラを見てそう言った。
「そうなんですか?」
「この船には約五十億年分のデータが保管されてるの。それの管理に加えて艦内設備の管理、一万隻を越える居住船の管理・・・」
シゼルは前を向いてそう言った。
「そんな仕事どうやったってそこらの神や人には無理なんだから」
立ち止まったシゼルはそう言うと、オートロック装置にバングルをかざして会議室のドアを開けた。
会議室に入ると、会議室の中央に白神俗世の地図の立体映像が現れた。
「ヴァンゼナちゃん、魅惑魔塊について集めた情報を教えて」
椅子に座ったシゼルは白神俗世の地図の立体映像を見てそう言った。
すると、G-vanzenaが現れて立体映像に入り込んでドット調になった。
「すご・・・」
ソラは立体映像を見て驚きながらそう言った。
「魅惑魔塊は配下を盾にして白翔警察長官率いる国外調査隊から逃亡。ラバログ淵地からアロ・フィト海底淵地へ移動し、現在は大陸北部レムフィトエリアに滞在していると予想しています」
G-vanzenaドットタイプは白神俗世の地図の立体映像に線を引きながらそう言った。
「予想している・・・?」
アイリアは地図を見て首を傾げながらそう呟くと考え始めた。
「少し良いですか?」
ソラは手を上げてそう言った。
「どうぞ」
シゼルはソラを見てそう言った。
「北方剣士団のみでは魅惑魔塊を討伐できないと思います。この船からの支援を求めます」
ソラはシゼルを見てそう言った。
「第三級武装の操作権限が解禁される予定だから安心して」
「・・・嫌な予感がする・・・」
冷や汗を垂らすアイリアは地図を見てそう言った。
「鋭い予感だね」
シゼルはアイリアを見てそう言った。
「最終観測記録を見せて」
シゼルはG-vanzenaドットタイプを見てそう言った。
「旧リュスカ、神気濃度+二百七十・闇化生物複数確認、ラギの森、神気濃度+五百七十・闇化生物複数確認」
G-vanzenaドットタイプは状況を説明していく。
「レムフィト、神気濃度観測不能状況不明」
レムフィトの状況が流れた瞬間、一気に緊張が走った。
そして、剣士たちの表情が一気に変わった。
「ま・・・まさか・・・暗黒神が・・・」
北方剣士団の剣士は顔を真っ青にしながらそう言った。
「・・・いつから?いつから観測不能になった?」
冷や汗をかいたアイリアはG-vanzenaドットタイプを見てそう言った。
「北部へ移動した翌日からです」
「・・・・・・」
アイリアは黙り込んだ。
「し、師匠・・・」
眉を顰めたソラはアイリアを見てそう言った。
「最悪の事態も想定しながら魔甘討伐の任に当たる。魔甘が観測を乱すような神気空間を創れるとは思えない」
アイリアは観測記録を見ながらそう言った。
会議が終わって部屋を出る時、師匠が思い出したようにフィトミア博士に話しかけた。
「そうだ。これ」
アイリアはシゼルに魅惑の痕跡が入った小瓶を差し出した。
「痕跡?」
シゼルは魅惑の痕跡が入った小瓶を見てそう言うと、小瓶を受け取った。
「ミッケから預かった」
アイリアはシゼルを見てそう言った。
「ヴァンゼナちゃん、この痕跡を分析して」
シゼルはG-vanzenaに魅惑の痕跡が入った小瓶を見せながらそう言った。
「分析します」
G-vanzenaはそう言うと、魅惑魔塊の痕跡を分析し始めた。
「分析が完了しました」
G-vanzenaがそう言うと、シゼルの携帯端末に通知が来た。
「分析結果はG-vanzenaに保管されました」
G-vanzenaはシゼルを見てそう言った。
次回
八章 神軍組織員用墓地へ