五章 総合調査拠点艦イクイノックス号へ
同年、四月十一日。
中央剣士団から魅惑魔塊討伐の命令を受けた私たち北方剣士団は、大陸北部の観測記録を確認するため総合調査拠点艦イクイノックスに乗艦することになった。
イクイノックス号は白神俗世の外、外界を飛行しながら白神俗世の状態を記録している。
記録装置はG-vanzena。ヴァンゼナちゃんと呼ばれている梨々香陛下とフィトミア長官が共同開発した人工知能である。
そんなイクイノックス号に乗艦するため私たちは飛行船に乗った。
飛行船は雲を抜け、空を抜けて外界に出た。
今の白神俗世は白と黒の惑星だ。
リュピターの神気が溶け込み黒く染まった海、まるで生気を無くしたかのような白い大地、神護国の緑がとても小さくとても弱く見えてしまう。
飛行船は総合調査拠点艦イクイノックス号にある港に自動で停泊した。
停泊が完了すると、飛行船の退艦口が開いた。
「着いたー!」
アイリアは伸びをしながらそう言った。
「町田地区!!」
ソラは海を見て目を輝かせながらそう言った。
「来たことあるの?」
アイリアはソラを見て笑みながらそう言った。
「はい!町田地区大美術館に家族で」
ソラはアイリアを見て笑みながらそう言った。
「目的は世界教皇のマント?」
「はい!」
「でも、教会で見たものと違ってがっかりしたんですよね・・・布も刺繍も安っぽく見えました」
眉を顰めたソラはアイリアを見て苦笑いしながらそう言った。
「世界教皇のマントに使われてる布って神気に反応する布だからね。殿下が着てないとあの色と雰囲気は出ないよ」
「マントに使われている布って黒色なんですか?」
「黒色だよ。御所内にある製布室で造られた世界で一枚しかない布なんだって」
「やっぱりめちゃくちゃすごい物なんですね。あぁ、教会に行きたくなってきた」
「そろそろ行きますよ。時間が迫っているので」
北方剣士団の剣士がアイリアとソラを見てそう言った。
次回
六章 管理者G-vanzena




