二十三章 放たれる反撃・剛斬
切れる。向かってくる波に向かって刀を振るだけで蜜が切れていく。
師匠の言う通り、魅惑魔塊には神気を制御する技量なんてない。
「・・・」
最上大業物天現烏輪を握ったソラは途轍もない速度で蜜を斬っていく。
「早ッ!!」
冷や汗を垂らす魅惑はそう言いながら飛び上がって逃げた。
その瞬間、魅惑の両足が切れて橙色の光が噴き出した。
「ウワァァァァ!!!!」
目を見開いた魅惑はもがくように急上昇する。
「天道!暗天晴らす陽矛!」
アイリアの声が聞こえたその瞬間、魅惑に陽の矛が突き刺さった。
「バ・・・カァ・・・がァァァァ!!!!」
魅惑は発狂しながら失速する。
(この距離だぞ!!何百メートル離れてると思ってるんだッ!!)
魅惑は血走った目でアイリアが居るであろう方角を見たその時、魅惑の背を最上大業物天現烏輪が斬った。
その瞬間、魅惑が蜜に変わって大きく膨らみソラを呑み込んだ。
「油断したな・・・雑魚娘・・・」
ソラを呑み込んだ蜜はにゅるにゅると人型に戻った。
「・・・ソラ!!」
最上大業物日炎を握ったアイリアは驚きながらそう言うと魅惑に最上大業物日炎を振った。
魔甘は蜜を最上大業物日炎にぶつけて爆発させて距離をとった。
ソラ、君はいくつもの試練を乗り越え、厳しい訓練にも耐え抜いた自慢の弟子だ。
どんな姿になっていても、私の手で終わらせる。
「魅惑・・・」
アイリアは最上大業物日炎を全力で握り込んだ。
「お前のことは必ず斬るッ!!」
怒筋を浮かべたアイリアはゆっくりと立ち上がる魅惑を見て笑みながらそう言った。
「斬れるものならね!!」
魅惑は笑みながらそう言うと大きなカラスの翼を生やした。
「斬ると言ったら必ず斬る!!」
怒筋を浮かべたアイリアは魅惑を見て怒鳴った。
「何をしたって無駄だ!!お前はこの空間と共に消えるんだ!!脱出不可能よ!!」
蜜の弾を大量に生成する魅惑はアイリアを見て笑みながらそう言うと蜜の弾を飛ばした。
私はなぜか最上大業物日炎の側面で飛んできた蜜の弾を防いだ。
側面に受ければ折れる危険性があるのにやってる・・・まるで誰かに導かれてるみたいだ。
蜜の弾を防ぐ度、最上大業物日炎が真っ赤に染まっていく。
そして、最上大業物日炎は全身を焦がすような凄まじい熱気を放った。
「はぁ!?」
魅惑は驚きながら辺り一帯を熱で歪める最上大業物日炎を見る。
「反撃・剛斬!!」
最上大業物日炎を握ったアイリアは力強くそう言うと最上大業物日炎を力一杯振る。
最上大業物日炎の切先が地面に当たったその瞬間、最上大業物日炎から放たれた烈炎が一瞬で扇状に広がり魅惑を焼き始めた。
「ウゥゥゥゥ!!!!オノレェェェェ!!!!」
烈炎を受ける魅惑は怒筋を浮かべて怒鳴った。
「カァァァァァァァァァ!!!!」
激しく怒鳴る魅惑は巨大なカラスで自身の体を包む。
魅惑を包んだ巨大なカラスは焼け焦げて砕け散った。
「あの男の攻撃を・・・なぜこんな小娘が再現できる・・・!!」
全身に酷い火傷を負った魅惑は怒りが籠った声でそう言った。
「魔甘ッ!!」
最上大業物日炎を握ったアイリアは魅惑を見て激しく怒鳴ると共に最上大業物日炎を振り下ろした。
次回
二十四章 出現、神ノ雫




