十七章 ラギの森で特別な休憩
同年、四月十五日。
私たち北方剣士団はリュスカ荒野を抜けてラギの森エリア周辺に到着した。
昔、ラギの森には巨大な針葉樹が大量に生えていて迷いやすい森だったらしい。
しかし、現代のラギの森はただの低い山になっている。
「宿幼決戦で全て消し飛んでしまった」と、師匠は話していたのだが・・・
「森、あるじゃないですか。ちょっと禍々しいですけど」
ソラは禍々しい森を見てそう言った。
「木の形をした闇化生物だよ。冒険家は大体あの闇化生物に殺されてる」
アイリアは双眼鏡で禍々しい森を見てそう言った。
「あいつらが移動するまで休憩するよ」
アイリアはソラたちを見てそう言った。
各々荷物を下ろして休憩しようとしたその時、私の携帯端末に通知が来た。
「特別物資が届いています」
携帯端末から音声が流れると共に大型の缶が降ってきた。
大型の缶はロケットエンジンを噴射して減速しながら綺麗に着地した。
「なんだろう・・・」
ソラは大型の缶を見てそう言った。
「支援物資だよ。誰かが送ってきてくれたんだ」
アイリアは大型の缶を見て笑みながらそう言った。
私は缶を開けて支援物資を見た。
「食べ物だ!!」
アイリアは嬉しそうに笑みながらそう言うと北方剣士団の剣士たちが歓声を上げた。
送り主は不動産女王のモアさん。九世祖母のアリス様と知り合いだったらしく、アリス様の介護をしてくれていた時期があるらしい。
支援物資に入っているのは柔らかいサンドウィッチ用のパンとエビやホタテを始めとする大量の海鮮、脱水して固めた水牛チーズと甘い炭酸飲料と琥珀色の貴腐ワイン。
いつも何も考えずに食べているサンドウィッチパンも美味しすぎて泣きそうになる。
「・・・」
北方剣士団の剣士たちはワインを飲んで大粒の涙を流す。
「みんなと・・・飲みたかった・・・」
北方剣士団の剣士4は泣きながらそう言った。
「まぁ、食え」
アイリアは焼いた海鮮が乗った紙皿を北方剣士団の剣士たちに渡しながらそう言った。
「はい!」
涙を流す北方剣士団の剣士たちは返事をすると焼いた海鮮を食べ始めた。
「あの神様ってかなり人の心が残ってるよね。生ハムくらいつけて欲しかったけど」
アイリアは焼き魚を食べながらそう言った。
「まぁ・・・そうですね」
ソラはアイリアを見て笑みながらそう言った。
たくさんあると思った計二升のお酒はすぐになくなった。
お酒がなくなるとラギの森を観察しながらの食事会が始まった。
「ラギの森って迷いやすい場所だったんですよね?」
ソラはラギの森を見ながらそう言った。
「行方不明者はどういう気持ちでそんな森に入ったんでしょうか」
ソラは棒で焚火を突くアイリアを見てそう言った。
「お金欲しさだよ。あそこには神気結晶があったからね」
アイリアはソラを見てそう言った。
「森の中に神気結晶があったんですか?」
焼エビを食べるソラはアイリアを見てそう言った。
「うん。正天世界が崩壊した時に生まれた神気塊が何十億年間ずっとあったらしいよ」
のんびりと食事を続けていたその時、地面が揺れ始めた。
「ラギの森が動き始めました!」
北方剣士団の剣士2は観測鏡を覗き込みながらそう言った。
「よし!」
アイリアは太ももをポンっと叩いて立ち上がった。
「ラギの森を抜けたらレムフィトだ。より一層気を引き締めていくよ」
アイリアは北方剣士団を見てそう言った。
「はい!」
ソラたちはアイリアを見て大声で返事した。
次回
十八章 蒼の砲弾