十五章 絶体絶命
「凄まじい速さだ・・・避けられなかった」
エンリュシオンはソラを見て驚きながらそう言った。
「ただ、惜しいな。威力がない」
エンリュシオンはソラを見て笑みながらそう言った。
「まぁ・・・その小ささじゃ威力は出ないよね」
エンリュシオンは笑みながらそう言うとソラに素早い蹴りを放った。
攻撃は鍔で受け止めた。
でも、威力が強すぎて簡単に飛ばされる。
私はマーカム家に伝わる飛行翼、ML-11Mk.9 ホルスを展開して推進しながら再度放たれた攻撃を受け止めた。
腕が滅茶苦茶痛い。でも、これで吹き飛ばない。
「実力は攻撃の音で大体わかる。避けるべき攻撃は身が震えるような音がする。自然と体が動く」
エンリュシオンはアイリアの連撃を避けながらそう言うと地面に触れた。
その瞬間、師匠の足元に魅惑の蜜が広がって途轍もない速度で無数の針が生えた。
しかし、師匠はその針を一撃で全て打ち砕いて蜜を蒸発させた。
「天道!灼華炎冠!」
最上大業物日炎を下段で構えたアイリアはエンリュシオンに斬りかかる。
「凄まじい力だ!」
エンリュシオンは蜜で剣技を相殺しながら楽しそうに言った。
「お前にミューテみたいな速さがあればな~・・・すぐにでも私を殺せたのに」
エンリュシオンはアイリアを見て笑みながらそう言うとアイリアに途轍もない速度の打撃と蹴りを繰り出して吹き飛ばした。
「・・・」
エンリュシオンは最上大業物天現烏輪を避けた。
「どうして!どうして烏輪の勇者に選ばれたやつが奴の眷属なんかになった!!」
ソラ・ホルスは最上大業物天現烏輪を振りながら怒鳴った。
「私は土地を、水を、食べ物を、綺麗な服や金銀宝石土地を与えてくれる存在が好きなんだ。そして、水や食べ物、綺麗な服や金銀宝石を取り上げてくる存在が大嫌いなんだ」
蜜で攻撃を防ぐエンリュシオンはソラ・ホルスを見て笑みながらそう言った。
「君もそうだろう?」
エンリュシオンはソラ・ホルスを蜜で包もうとしながらそう言った。
「お前は多くの者を傷つけ、悩ませ、失望させた!大切なものを取り上げられるようなことをしたんだ!!」
ソラ・ホルスは飛び上がって蜜を避けた。
「ミューテは素晴らしい勇者だった・・・あの人なら私のことを理解してくれる」
エンリュシオンはソラ・ホルスの急降下刺突を避けながらそう言った。
「ミューテ様をバカにするなッ!!」
怒筋を浮かべたソラ・ホルスはエンリュシオンを見て激しく怒鳴った。
「民の血税を使いこみ、民の思いを踏み躙り、烏輪の勇者の信頼を崩したお前のようなクズをミューテ様が許すものか!!」
ソラ・ホルスが怒鳴った瞬間、エンリュシオンに膝蹴りがソラ・ホルスの顔に命中した。
「・・・」
ソラ・ホルスはうつむいて崩れるようにその場に座り込んだ。
「そんなに熱くなっちゃって~・・・ミューテに憧れているのかい?」
エンリュシオンはソラ・ホルスを見て笑みながらそう言った。
「でも、残念だ・・・お前はミューテになれない。素質が全くないんだ」
エンリュシオンはそう言うとソラ・ホルスを蹴り飛ばした。
「・・・お前に素質なんて見抜けるものか・・・まっとうに生きることから逃げた"臆病者"に・・・」
ソラ・ホルスがそう言った瞬間、エンリュシオンが怒筋を浮かべて凄まじい蹴りを放った。
「・・・」
ソラ・ホルスは血を吐きながら吹き飛ぶ。
次回
十六章 覚醒の兆し