エピ8 デジタルという言葉が一般的になります。
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デジタルという言葉が一般的になります。デジタル腕時計が登場。
1970年代です。
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1970年代にはCPUが開発されました。現在の意味でのCPUですけど。
1971年11月にインテル4004。世界初の商用CPUです。これは日本のビジコン社からの依頼による電卓用途を目的としたもので、インテル社とビジコン社の共同開発。有名な話ですね。
続いて直ぐに4ビットや8ビットのCPUが発売されます。日本電気社の μPD707・708(1971年12月サンプル出荷)や μCOM-4(1973年)。インテル社の i8008(1972年)や i8080(1974年)。モトローラ社の MC6800(1974年)。モステクノロジー社の MOS 6502(1975年)。
CPUによって「組込み」という分野が登場します。組込みって、マイコンを組み込んだという意味なのだよね?
以前はシーケンサーはハードウェアで実装していたのを、マイコン制御ならソフトを書き換えるだけで動作を変更できる。素敵よね?
...。だけど故障修理のとき、マイコン制御だと手を出せないブラックボックスとなる。ロジックがハードウェアで組まれていたらテスターやハンダゴテで修理できるのにって記事もあった。ソフトの方が修理が困難だって皮肉な話。
マイコン組込みの初期にはデバックツールの整備が足りてなかったんでしょう。ソフトもROMだろうから、現場では書き換え出来なかっただろうし。今ならUSBかシリアルでパソコンを接続して設定変更かな。
CPUは、自販機やレジ、それから家電にも組込まれて小賢しい機能が増えましたね。...、マイコン炊飯器とか。
キーボードの中にもマイコンが入っているって知ってた?
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1976年3月にザイログ社が Z80 を発売。
この頃からワンボードマイコンが発売されて、パソコンが生まれました。日本だと、1976年8月の TK-80(μPD8080A)、1977年3月の Lkit-16(MN1610)、1978年11月の MZ-80K(Z80)、1979年5月の PC-8001(μPD780C-1) とか。
PC-8001 のCPUは Z80A 相当品でセカンドソースではないらしいです。
初期のパソコンは、CPU(Z80)と周辺IC(PIT 8253, PPI 8255)とメモリ(ROM 2708, RAM 4116)と、TTL-IC(74LS00 等)が主なICでしたね。...、と確認したら 555 を2個使ってた。おー
2024年4月にザイログ社(を買収した会社)から Z80 の製造終了の発表がありました。48年続いていた。
今でも Z80(の互換CPU)は現役で使われているそうです。パチンコ台とかで。
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元々のCPUは中央演算処理装置(Central Processing Unit, CPU)と言って、大型計算機を構成する装置のことでした。
現在の意味のCPUは、マイクロ・プロセッサ(μP)あるいはマイクロ・コントローラ(マイコン)と言うのが正しいようです。でもプロセッサとコントローラの区別って怪しい感じ。
マイコンはマイクロ・コンピュータの略でもあって複雑。
現在ではCPUはパソコンの部品で良いですか? 異論は感想欄に!
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1970年代には、CPUを搭載したCNC工作機械が開発されました。
CNC(Computerized Numerical Control)はコンピュータ数値制御のことです。「CNCとは何か 〜 工作機械史上最大の発明」という記事でCNCの歴史の解説があり、興味深く読みました。ググると見つかりますよ。
1972年にファナック社が開発した FANUC250 は、CPUを組込んだCNC装置として世界初とされています。ファナック社のNC工作機械に関する発明は「戦後日本のイノベーション100選」に選ばれています。CNC装置の世界シェアの半数をファナック社が占めているって。凄い会社。
CPUが出来る前のCNCはミニコンを接続していたんですって。高価な機械でした。1975年にはNC工作機械は工作機械中20%未満だったのが、急速にNC化が進み、1995年には80%を超えたそうです。CPU搭載で高機能になってLSI化で低価格になったのでしょう。
それから、アーム型の産業用ロボットが出来て、工場で大活躍していますね。無人運転の工場でロボットがロボットを組み立てている。
コンピューターミシン(蛇の目ミシン、メモリア、1979年)や、3Dプリンタ(1971年はともかく、1980年の光造形法、1989年のFDM法)は身近なCNCの例? ちょっと違うかも。
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CPUが出来て生まれた物って、TVゲームについても触れるべきですかね。スペースインベーダ(1978年)とか、ファミコン(1983年)。
ファミコンのCPUは MOS 6502 をカスタマイズしたものですって。へぇー
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1970年代に生まれたものにはデジタル腕時計があります。やったね、デジタルだ!
日本初のデジタル腕時計は、1973年にセイコー社が発売したセイコークオーツ LC V.F.A.06LC。6桁液晶表示は世界初。2019年度の「重要科学技術史資料」に登録。
1974年にはカシオ社がカシオトロンを発売して、新聞広告やテレビCMなどで宣伝。「オール電子自動デジタルウォッチ」や「針表示から数表示の時代へ」とか。
「デジタル♪は、カシオ」(1978年1月)
これで広く世間一般にデジタルという言葉が認知されたのでしょう。
現在では針表示のアナログ腕時計が支持されているようです。デジタル腕時計は少数派に。詳しくは本シリーズの(13)を見てね。
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針表示=アナログで、数表示=デジタル、...。これに該当するものって沢山ありますね。温度計、体温計、体重計、電圧計、レベルメーターとかノギスも。
でもね。アナログとデジタルは数字か否かだけでは決められないのよ。アナログとデジタルを説明する例として腕時計を使うのは(今では)不適当と思う。日時計ならよいかもですけど。
電圧計や温度計を使って下さいな。天秤とバネ量りもいいよ。
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2025.9.9 微推敲。