02 電気回路と電子回路について調べて見ました。
***
電気回路と電子回路について調べて見ました。
***
まず、電気回路。
抵抗やコンデンサ、コイル、スイッチなどを素子(部品)として、これらを配線でつないだ回路のことです。
電気の教科書では、スイッチをオンしたときに電流が流れる経路が回路であると説明していて、電池(電源)も込みのようです。回路ってサーキットですからね。一周したら元に戻ってくるのです。
それから、電子回路。
電磁リレーや真空管、トランジスタなどの素子を使う電気回路のこと、...かなと思いましたが、電磁リレーは別な感じです。
真空管やトランジスタ、ダイオードなどの素子を能動素子と言い、能動素子を使う電気回路を電子回路と言うそうです。
日本語の「電子回路」は川上正光という方が始めて使ったそうです。英語の electronic circuites の翻訳らしいです。
*
抵抗やコンデンサ、コイルは受動素子です。トランスや水晶振動子も受動素子らしい。多分ですが能動素子が生まれたので従来の素子を受動素子と分類したんでしょう。
受動素子は、受動回路部品や受動部品と言うこともあるみたいです。素子と部品に使い分けがあるのか軽く調べた程度では然とは分からなったです。
スイッチは機構部品と言うみたい。コネクタやケーブルも機構部品。スイッチは接点部品と言うことも。
電池は電源部品という分類。フューズは電源部品? トランスでも(信号用ではない)電源用のトランスなら電源部品だって。...。まぁ、見た感じで電源用と信号用は違うけど。重さとか。
でもでも、トランジスタはスイッチとしても機能するけどトランジスタは能動素子らしい。
*
何事も分類は難しいです。人類を男性と女性に分類?、...!#%&、...ギャー
***
**
*
主な素子(部品)について調べました。
*
ボルタ電池は1799年(1800年に発表)です。鉛蓄電池は1860年。
乾電池は、ドイツのガスナーやデンマークのヘレセンによる1888年の発明とされていますが、それより前の1887年に日本の屋井先蔵という方が「屋井乾電池」を発明していたんですって(...、あれ、ガスナーの乾電池の特許は1885年?)
電気そのものは、静電気(今から2500年程前、ギリシアのターレス)や落雷(1752年のアメリカのフランクリン)などでその存在は知られていましたけれど、ボルタ電池の発明によって電気の実験や研究が進んだ感じです。
*
コイルは、...アンペールの法則(右ねじの法則)が1820年で、ファラデーの電磁誘導が1831年です。電気と磁気の関係を最初に見つけたのはデンマークのエルステッドですけど。
アンペールの法則は右ねじの進む方向で電流を流すと右回りに磁力線が発生するで、ファラデーの電磁誘導は導線の側で磁石を移動するとそれに比例して導線に電気が流れる(起電する)です。
ラジオ受信機のコイルなら自作することもありますね。エナメル線をボール紙に巻き付けて。夏休みの自由研究でどうでしょう?
*
コンデンサは静電気を蓄える機器としてドイツのエヴァルト・ゲオルク・フォン・クライストが1745年に発明。オランダのライデン大学のピーテル・ファン・ミュッセンブルークが1746年(数カ月後らしい)に同じ発明をして、これがライデン瓶として知られてます。イタリアのボルタは1782年に電気盆という蓄電器を作成。
コンデンサは意外と古いですね。ライデン瓶は1920年頃まで使われていたとか。
素子としてのコンデンサは、雲母や紙を誘電体としたコンデンサが開発されたそうです。
マイカコンデンサは19世紀半ばに出来たとか。ペーパーコンデンサは1876年にワックス含浸紙絶縁のコンデンサが発明されたらしいです。...。
二コラ・テスラが1891年に雲母を使った油浸コンデンサーを発明したらしいのですが、ググるとそんな事実はありません、ってエーアイが言うの(泣)。どうなの? US.Pat. 464,667 のことだと思うのだけど。
*
抵抗は、...オームの法則が1827年。電流と電圧の比としての抵抗。
抵抗素子あるいは抵抗器としては、エドワード・ウェストン(ウェストン社)が1882年にマンガニンという合金を開発していて、ドイツ国立物理学研究所が1883年にマンガニン標準抵抗器(1Ω)を作っています。マンガニンは銅・マンガン・ニッケルの合金。抵抗の材料として優秀で現在でも標準抵抗用の材料として使用されている。...、知らなかったけど有名な話みたいです。漫画人?
その後、巻線抵抗器(1888年)や金属皮膜抵抗器(1919年)などができて。現在よく使われている炭素皮膜抵抗器はドイツのシーメンス社が1930年に商品化したものですって。
*
この頃に(有線式の)電信が普及しつつあって(大西洋横断海底ケーブルとか)、抵抗器やコンデンサなどの部品が必要となって開発が始まったそうです。
*
真空管は、イギリスのジョン・フレミングが1904年に2極管を発明。アメリカのリー・ド・フォレストが1906年に3極管を発明。トランジスタは1947年、集積回路は1958年の発明。
真空管の2極管は整流器で、3極管は増幅器とかです。
イギリスのウィリアム・エクルズが1919年に2極管をダイオードと命名したんですって。ダイオードって元々は真空管なのですね。
点接触型やPN接合型のダイオードはいつできたのか調査中です。ドイツのカール・フェルディナンド・ブラウンが1874年に鉱石整流器の特許を取得しているのですが、他にも発明や特許があって何が何だか錯綜しています。
鉱石整流器(検波器)を使った受信機は電子機器なのかな。だとすると真空管より前に電子回路は始まっていた?
***
**
*
19世紀を通して電気的なものが色々と開発されました。
1799年 ボルタ電池(1800年に発表)
1820年 アンペールの法則(右ねじの法則)
1825年 イギリスのウィリアム・スタージョンが電磁石の公開実験(電磁石はこれより前にあったかもです)
1831年 ファラデーの電磁誘導
1932年 フランスのヒポライト・ピクシーが発電機を発明
1834年 アメリカのトーマス・ダベンポートが電気モーターを制作
1835年 アメリカのジョセフ・ヘンリが電磁リレーを発明
1835年 スコットランドのジェームズ・ボウマン・リンゼイが電灯を実用化
1935年 ドイツのAEG社が磁気テープ(マグネトフォン)を開発
1836年 アイルランドのニコラス・カランがトランス(誘導コイル)を発明。
1856年 ガイスラー管(蛍光灯の起源)。日本初の蛍光灯は1939年
1860年 鉛蓄電池
1864年 マックスウェルの方程式(電波の存在を予言)。1886年(1888?1889?)にドイツのヘルツが実験によって証明
1876年 ベルの電話機。カーボンマイク(発明者はデイビッド・エドワード・ヒューズ他、複数)、スピーカーもこの頃
1879年 エジソンが白熱電球。日本の竹を炭化させてフィラメントを作った。1880年10月に商品化。
1882年 アメリカのクロッカー&カーチス発動機会社が電動扇風機を開発
1882年 エドワード・ウェストン(ウェストン社)がマンガニン合金を開発
1888年 ドイツのガスナーやデンマークのヘレセンが乾電池を発明
1889年 アメリカのシンガー社が電動ミシンを生産。最初は手回しや足踏み式
1895年 無線電信。イタリアのグリエルモ・マルコーニが 1.5km の通信に成功
1898年 デンマークのヴァルデマー・ポールセンが磁気ワイヤー録音を発明
1897年 ブラウン管(Cathode Ray Tube、CRT、陰極線管)。ドイツのカール・フェルディナント・ブラウンが発明
20世紀になるとラジオなどを始めとして電子機器が沢山が生まれました。アマチュア無線とかハムもこの頃に誕生。
1900年 無線による音声の送受にカナダのレジナルド・フェッセンデンが成功。1906年12月24日に世界初のラジオ放送を行なう。
1910年 アメリカのリー・ド・フォレストが組立式ラジオ受信機セットを発売
1914年 アメリカで The American Radio Relay League が設立(アマチュア無線の団体)
1920年 アメリカでラジオ放送が始まる。AM放送
1925年 日本でラジオ放送が始まる。「ああ、あー、聴こえますか」(大正14年だよ)
1931年 アメリカのジェネラルラジオ社がオシロスコープを開発
1946年 電子計算機ENIACが公開(記者発表)される
1954年 トランジスタラジオが発売される。アメリカのリージェンシー社
*
最初の受信機は鉱石ラジオ。真空管式ラジオは高級品だったそうです。
ラジオ放送(音声のね)が始まる前には無線電信(モールス信号!)の受信機があったのですが、何故かこの受信機でラジオ放送が受信できたような解説があって不思議な感じです。普段はツー・トン・トン・トンとか聞こえるのに、ある日「もしもし〜」とか音声が出たら吃驚するよね。
で、鉱石ラジオって、現在なら同様なものを半導体(PN接合)ダイオードを使って簡単に作れますが、当時は鉱石(方鉛鉱や黄鉄鉱)に針を接触させた「鉱石検波器」で検波していたんですって! どういう原理なのですか?
鉱石の産地によって性能が違うとか...。神岡鉱山の方鉛鉱は逆方向阻止性能が優れているけどミズーリ産の方が鉱石ラジオには適しているとか。調べていたら出てきてね、...。ちゃんと特性を調べたデータ付きなのでオカルトでは無いですけど。
*
「日本ラジオ博物館」って写真が沢山あって楽しい。
***
**
*
ところで。電磁リレーは能動素子でしょうか?
リレーと言われるものには、電磁石と開閉する接点部からなるメカニカルな電磁リレーと、MOS-FETなどを使った半導体リレー(半導体スイッチ)があります。後者の半導体リレーは能動素子っぽい感じですが、前者の電磁リレーは能動素子でいいのかな?
調べていたら、Wiki では能動素子の例に「継電器」を入れていて。更に調べていくと電磁リレーは能動素子であると説明するブログが見つかり...。でも能動素子や受動素子の解説が怪しくて、ですね。...。それでも調べた限りでは、電磁リレーは能動素子と分類するのが多数派。逆に能動素子とは半導体デバイスのことですと言い切る記事もあって、...真空管は仲間に入れてよ。
でも、電磁リレーが能動素子なら電磁リレーを使った回路は電子回路になってしまいます。それでよいのか?
*
電子工学とは電気工学の一部ないし隣接分野で、真空管の発明がエレクトロニクスの始まりとされています。
電気(あるいは電磁気)の作用を扱うのが電気工学で、これとは異なるレベルの電子の作用を扱うのが電子工学ですよね。そして電気回路と電子回路は、電気工学と電子工学と同じ関係にある。...、あるよね? あることにしましょう(個人の意見です)。
...、と考えると、電磁石は電気工学ですし、電磁石の作用でスイッチをオンオフしても電子工学と関係しないです。ならば電磁リレーは能動素子ではないと分類するのが良いのでは。あるいは電気回路・電子回路の定義に能動素子の有無を使うのを止めるか。
電磁リレーは有線式の電信で電気信号の増幅器として利用していたこともあるから能動素子の第1段階とし、第2段階は真空管、第3段階はトランジスタ等の半導体とする説明を見つけました。
電磁リレーを能動素子と分類するなら、電子回路は第2段階以降の能動素子を使った回路と定義するのですかね。ナンセンスな感じしない?
*
なお、Wiki[en] は電磁リレーを電気機械式(Electromechanical)に分類しています。スイッチと同じ扱いで機構部品。これが一番しっくり来ます。
***
***
***
ここまでにはデジタルっぽい要素は皆無ですね。スイッチやリレーにはオフ・オンがあるのが気になります? それは鋭い!
***
間違いの指摘とか疑問とか、ご意見・ご感想とかありましたら、どうぞ感想欄に!
***