第2話『剣を取る理由』 4
ミレイアが指を動かし、風を巻き起こす。
「風よ舞え、烈風刃」
空気が鋭い刃となり、敵兵の首を切り裂いた。
「ハッ、相変わらずやるな」
ハルドは笑いながら、槍を構えた。
「穿て、雷槍撃!」
バチバチと音を立てる雷が槍にまとわりつき、そのまま敵兵の胸を貫く。
「ぐああっ!」
雷に貫かれた兵士は即座に倒れ込んだ。
「いいねぇ……やっぱり戦場はこうでなくちゃな!」
ハルドは戦いの興奮を楽しんでいるようだった。
「お前は相変わらず戦うことしか考えてねぇな……」
ガレンが呆れながらも剣を振るう。
敵兵は次々に倒れ、ついに最後の一人が残った。
「こいつで終わりか」
ガレンが素早く踏み込んだ。
「おらあっ!」
鋭い一閃が、敵兵の首元を掠める。
最後の兵士が地面に倒れ、静寂が訪れた。
「ふぅ……終わったな」
ガレンが剣を納める。
「ったく、もう終わりかよ……物足りねぇな」
槍を肩に担ぎながら、ハルドが不満そうに言う。
「お前はどんだけ戦えば気が済むんだよ」
「まだ向こうで戦いが続いてるみたいだし、もうちょい遊んでくるわ!」
そう言うと、ハルドは大きく笑いながら戦場の別の方へ走り去っていった。
「……行っちまったな」
「放っておけばいいわ。彼が戦ってる間は、味方の士気も上がるでしょうし」
ミレイアは淡々とした口調で言った。
「さて、こっちは片付いたし……そろそろ休みましょうか」
そう言うと、彼女はリリアナの方を向いた。
「あなた、怪我してるでしょう?」