第2話『剣を取る理由』 3
「ミレイアか」
ガレンが目を細める。
「やっぱりここにいたわね、ガレン。向こうで"子守り"をしているって聞いたから、どんなものかと思ったけれど……」
ミレイアはリリアナを見た。
「それにしても、なかなか面白い状況になっているわね」
「……好きに言ってくれよ」
ガレンが呆れたように笑った。
その時――
「おいおい、遅れちまったな!」
別の方向から、別の影が飛び込んできた。
「お前が子守りしてるって話を聞いてな!なんか面白そうじゃねえか!」
その男は、鍛え上げられた体を持つ槍兵だった。
長身で、肩まで伸ばした髪を無造作に後ろで縛っている。
リリアナはその槍に目を奪われた。
青白い雷がまとわりつき、バチバチと小さな火花を散らしている。
「ハルド……お前も来たのかよ」
ガレンが溜め息をついた。
「当たり前だろ? ガレンが戦ってるなら、俺も加わらねぇと面白くねぇからな!」
ハルドは笑いながら、雷を纏う槍を軽く振るった。
「さすがにガレンでもお嬢さん守りながらこの人数はきついわな」
ハルドの視線の先――
まだ数人の敵兵が残っていた。
「サクッとやっちまうか」
「まぁ、助かった」
ガレンが剣を構える。
ミレイアは余裕の笑みを浮かべたまま、指を動かす。
「じゃあ、始めましょうか」
戦場の喧騒の中、三人の戦士が動き出した。