表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦場の紅蓮姫  作者: エル
灰の砦編
6/247

第2話『剣を取る理由』2

リリアナは剣を強く握りしめた。

敵の重装兵は、ガレンの攻撃を受け止めながらも、まだ倒れていない。


(私は……戦えるの?)


足が震える。

呼吸が浅くなる。

けれど、今ここで何もしなければ――


「……私は、また何もできないまま、見ているだけなの?」


それだけは嫌だった。


(お父さんは、剣の持ち方を教えてくれた)


(剣の振り方も……基本だけなら知ってる)


戦場で通用する技術じゃないかもしれない。


それでも――


リリアナは、動き出した。

恐怖を振り払いながら、足を踏み出す。


「……やるしかない!」




槍を受けているガレンに、重装兵が大きく斧を振り上げる。


その瞬間――


リリアナは横から駆け込み、剣を振るった。


「ッ――!」


ガキィン!!


刃が敵の鎧に当たり、火花を散らす。

だが、傷はついていない。


(硬い……!)


リリアナはすぐに跳び退り、距離を取る。


重装兵がゆっくりと振り向いた。

黒い兜の奥から、冷たい視線がこちらを睨みつけている。


「……ちっぽけなガキが、何をしている」


その声に、リリアナの背筋が冷たくなった。


「リリアナ、下がれ!」


ガレンが割り込むように動く。


しかし、敵兵はすでにこちらに向かって斧を振りかぶっていた。


(まずい――!)


リリアナはとっさに剣を構えた。

だが、次の瞬間――


ゴォォー!!


突然、突風が吹いた。


リリアナは驚いて目を見開いた。


敵はバランスを崩し、斧を握り直す。


「………なに?」


リリアナが周囲を見回すと、煙の向こうから歩いてくる影があった。


「……ふぅ。ギリギリだったわね」


涼やかな声が響く。


そこにいたのは――


長い銀髪をなびかせた、一人の女性だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ