表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦場の紅蓮姫  作者: エル
灰の砦編
28/247

第5話『前線の戦火』 7

丘の上を目指して駆け上がるヴォルフ隊。

だが、頂上まではあと数メートル――そのわずかな距離が、まるで果てしない壁のように立ちはだかる。


「押せッ!頂まであと少しだ!!」

ヴォルフの怒号が再び響く。


敵の剣士たちは狂気にも似た叫び声をあげながら、リリアナたちを押し戻そうと斜面を滑り降りてくる。


「くっ……!」

リリアナは炎を纏わせた剣で次々と攻撃を捌くが、足場が悪く一歩の踏み込みすら困難だ。


「お前だけは通さねえ!!」

重装の敵兵が盾を構えて突進してくる。


「まずいっ……」


リリアナが巨体の力技に押され始めたその瞬間。


ガチィン!


「押し通る」


駆け上がってきた兵士が敵兵の盾に体当たりした。


リリアナはその兵士を見たが、初めて見る顔だった。


ガシャッ!


「踏ん張れぇぇ!!」


「押せぇぇ!!」


間髪を入れずにまた1人、更に1人と兵士が加わり、リリアナと共に4人で盾を押し返す。


ガシャーン!


巨体が仰向けに倒れた。


「走れー!!」


名前も知らない兵士達と一斉に走り出す。


ハルドの雷が前方の敵を弾き、ミレイアの風が味方の進行路を切り開く。


「風よ、薙げ!風刃輪!!」


シュバッ!!


風の刃が斜面を切り裂き、敵の列を寸断する。


「これで道は空いたわ!」


ミレイアが叫び、それに応えるよにガレンも叫ぶ。


「今だ!!駆け上がれ!!」


既に走り出していたリリアナ達は、一気に頂上まで駆け上がった。


そして――


頂上の旗が、ついに倒れた。


リリアナが炎の剣を天高く突き上げる。


「制圧完了ッ!!!」

誰かが叫び、それが勝利の合図となった。


重たい風が、頂の戦場に吹き抜ける。

リリアナは剣を地面に突き立て、その場に膝をついた。


「はぁ……はぁ……やっと……」


息も絶え絶えの中、それでも彼女の目は燃えていた。


真紅の炎と共に、リリアナ・アーデルの物語は、確かな一歩を踏み出したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ