第5話『前線の戦火』 4
ヴォルフの号令とともに、戦場は爆発したように動き出した。
だが、リリアナたちの部隊は圧倒的に不利な状況にあった。
敵の陣地は丘の上に築かれており、こちらは丘の下から駆け上がる形になる。
弓兵や魔法兵は高所から狙い撃ちし、斜面を駆け上がる兵たちは次々に倒されていく。
「チッ……! ここじゃ不利すぎる!」
ガレンが舌打ちしながら剣を振るい、前進を続ける。
「落ち着け! まずは前線を押し上げる!」
ヴォルフの叫びが響く。
リリアナも剣を握りしめながら、必死に斜面を駆け上がった。
「くっ……!」
足場が悪い。
敵は上から矢や魔法を容赦なく降らせてくる。
一瞬でも足を止めれば、死が待っている。
「このままじゃ……!」
リリアナが焦りを覚えたそのとき――
「リリアナ、援護するわ!」
ミレイアが風を纏いながら叫んだ。
「舞え、風壁!」
シュウウウウッ!!
突風が巻き起こり、降り注ぐ矢や魔法を逸らしていく。
「ナイスだ、ミレイア!」
ハルドが雷を纏わせながら、槍を構える。
「ならこっちも――走れ、震雷!!」
バチバチバチッ!!
雷が地面を這い、電撃が敵魔法兵の自由を奪う。
「今のうちに突っ込め!」
ガレンが叫び、兵たちが一斉に駆け上がる。
リリアナも、剣に炎を纏わせながら走った。
(届かないなら、手から……!)
リリアナは手に魔力を集中させる。
「紅蓮弾!!」
バシュッ!!
手から放たれた紅色の火球が、斜面の中腹にいた敵兵に向かって飛ぶ。
「なっ……!」
敵兵が慌てて盾を構えるが、火球は盾に直撃し――
ボンッ!!
爆発の衝撃で敵兵の盾が吹き飛んだ。
「よし、今だ!!」
リリアナは剣を握り直し、前へ飛び出す。
目前の敵兵に斬りかかる。
ギィィンッ!!
剣と剣がぶつかり合い、火花が散った。
「チッ、小娘が……!」
敵兵が歯を食いしばりながら押し返そうとする。
「うるさい中年!!」
リリアナは力を込め、剣を押し込む。
炎が剣から爆ぜ、敵兵は炎と共に沈んだ。
「このまま押し上げるぞ!!」
ヴォルフが叫ぶ。
戦場は混沌としていた。
敵の魔法攻撃が絶え間なく降り注ぐ中、リリアナたちは丘を駆け上がり、必死に前線を押し上げていく。




