第5話『前線の戦火』 3
「行けぇーーー!!!」
ヴォルフの怒号が響いた瞬間、前線が爆発したように動き出した。
兵士たちが一斉に駆け出し、戦場へと突撃する。
土埃が舞い、足音と怒号が入り混じる。
リリアナも遅れまいと剣を握りしめ、前へと進んだ。
先頭を走るガレンが、鋭く剣を振るいながら敵陣へと切り込んでいく。
「やるぞ!」
ハルドが雷を纏わせた槍を構え、敵の魔法兵を狙う。
ビュンッ――
「魔法攻撃、来るぞ!」
丘の上から放たれた炎の矢が、リリアナたちの陣へと降り注ぐ。
ドォォンッ!!
地面が爆ぜ、何人かの兵士が吹き飛ばされた。
「くっ……!」
リリアナはとっさに身を屈め、爆風をやり過ごす。
「舐めんな!」
ハルドが槍を構え、雷を纏わせる。
「穿て、雷槍!」
だが、次の瞬間――
「リリアナ、来るぞ!」
ガレンの声と同時に、目の前の敵兵が剣を振り下ろしてきた。
リリアナは咄嗟に剣を構える。
ギィィンッ!
衝撃が腕に伝わる。
「くっ……!」
リリアナは踏ん張りながら、敵の力に押し負けないように剣を支えた。
(負けるか――!)
彼女は炎の勢いを利用し、敵兵を押し返す。
ボッ!!
剣が燃え上がり、炎の刃が敵兵を焼き斬った。
「うわああっ!!」
悲鳴とともに、敵兵が崩れ落ちる。
「ナイスだ!」
ガレンが戦いながら声をかける。
「まだまだ続くぞ!」
リリアナは息を整えながら、剣を握り直した。




