第42話『決戦前線』パート3:迎撃
――昼が近づく。
空は明るくなっても、戦場の空気は重さを増す一方だった。
「――くるの、重ね打ち!」
敵陣の高台から、三本の炎柱が時間差で飛来した。
渦巻く熱が唸り、地を焼こうと迫る。
それに応じて、ヘルダス隊の炎班が飛び出す。
三人が同時に魔力を込めて叫ぶ。
「《炎咆・双牙陣》!」
炎の牙が重なり、猛然と突き上がる。
三本の火柱が空中で激突し、赤い衝撃波となって散った。
焼け焦げた熱気だけが、アイアス隊の盾に当たる。
「構え直せ! 風がくるぞ!」
アイアスの号令に、盾兵たちが膝をついて構え直す。
そこへ、敵陣から再び重ね打ち。
今度は雷光が束になって放たれる。
「雷班、連携っ!」
「《雷裂・連牙槍》!」
走る雷光が空を裂き、敵の雷撃と交差する。
空中で爆ぜた稲妻の光が、青白い閃光をまき散らしながら消えていった。
「まだまだ……次、岩!」
「氷で止めるのっ!」
敵の前線が放った岩石の連弾が地面から突き上がる。
氷班が素早く対応。三人が魔力を重ねて詠唱を放つ。
「《氷柱・連嵐槍》!」
鋭利な氷の槍が次々と射出され、岩の塊を空中で砕いていく。
粉砕された破片が霧となり、盾兵たちの防壁を霞ませた。
「止まるな、進め!」
「うん! 次、もうすぐ混ざるのがくるの……!」
上空に、複雑に絡む魔力の気配が生じ始める。
風と水、岩が混ざった、ねっとりした魔力が渦巻く。
「風、岩、水!まぜるのー!」
風班、岩班、水班が一斉に集まり、三方向から魔力を構築する。
「《砕水・嵐陣壁》!」
渦巻く水流が岩を巻き込み、さらに風を纏って一気に拡散する。
巨大な魔力の渦が敵の攻撃を押し返し、荒れた空気がごうっとうねった。
「次、火、水、風!」
また違う三班が陣形を取り、指を突き出す。
「せーーの!」
「《灼潮・風炎牙》!」
熱風と水蒸気が混ざり、蒸気爆発のような一撃が上空に放たれる。
敵の魔法と衝突し、轟くような衝撃音と共に戦場が揺れた。
「雷、炎、氷……来るの!」
空に帯電する魔力が、焦げた風と共に押し寄せてくる。
「返すよ! 三班、同時にっ!」
「《閃嵐・焦雷流》!」
次々と放たれる大技を、全てヘルダス隊が撃ち落としていく。
激化する魔法戦の中でも、ヘルダス隊は足を止めない。
アイアス隊も黙って盾を構え、進軍を維持する。
進軍は、ついに決戦の射程へ――。




