表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦場の紅蓮姫  作者: エル
灰の砦編
15/247

第4話『魔法と剣』 1

「立ちなさい」


冷たい声が響いた。


リリアナは地面に倒れ込みながら、荒い息を吐いた。

全身は泥と汗で汚れ、腕には(すす)がついていた。


「ま、まだやるの……?」


「当然よ。戦場では"休憩"なんて甘い考えは通用しないわ」


ミレイアは涼しい顔のまま、リリアナを見下ろした。


「疲れた? なら、戦場では"死ぬ"しかないわね」


「鬼か……!」


リリアナは涙目になりながら、何とか立ち上がる。


少し離れた場所で腕を組んでいたガレンが、リリアナとミレイアのやり取りをじっと見ていた。


(……すげえな)


ガレンは目を細めた。


リリアナはボロボロになりながらも、何度も立ち上がる。

それを容赦なく追い詰めるミレイア。


「次」


ミレイアは冷静に指示を出す。


リリアナは歯を食いしばりながら、再び魔力を手のひらに込めた。


ガレンはそれを見て、ふとリリアナの呟きを思い出す。


「鬼か……」


(……いや、間違ってねえな)


ガレンは静かに見守る。


(こいつ、マジで鬼だ)




ミレイアの訓練は、想像以上に過酷だった。


「ただ撃つだけではダメ。動きながら、正確に敵に当てるのよ」


ミレイアはひらりと身を翻しながら、リリアナの放つ炎をかわしていく。


シュッ!


「……遅いわね」


「くっ……!」


何度撃っても当たらない。


ミレイアは余裕の表情のまま、風の刃を飛ばして牽制する。


「ただ撃つだけじゃダメ。敵は動くのよ」


「そんなの……言われなくても分かってる!」


「じゃあ、どう動くか予測しなさい」


リリアナは息を整え、炎を生み出す。


(ミレイアは……次、どっちに避ける?)


慎重に狙いを定めながら、もう一度放とうとする。


だが――


ヒュンッ!


「うわっ!?」


突然、リリアナの足元を風の刃がかすめた。


「な、なに!?」


「なに?じゃないでしょ?敵は攻撃してくるわよ?」


ミレイアは優雅に言う。


「さて、あなたはこの状況でどう戦うのかしら?」


リリアナの背筋が冷たくなった。


「この人、本当に鬼だ……!」


それを見ていたガレンも、ゆっくりと呟いた。


「うん、鬼だな」


ミレイアの訓練は、まるで戦場そのものだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ