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また今日がはじまる
人間は深い闇の中で苦悩し、そして新たなる闇へと出会う。
どこまでそれを続けていけば幸せになれるのだろう。
もしより深い闇に出会っていくことを大人になると言うのならば、いっそ一生子供のままで良いような気さえする。
しかし、闇に出会うことで得られるものは何にも代えがたく、時には輝く。
だから今日も僕は前に進む。これからの未来のために。
なんとなしにふと目が開いた。外が明るい。
頭がまだ完全に起きていないので、意識朦朧としながら布団の温かみを堪能する。
眠りすぎたのだろうか、のどが痛い。
だんだんのどの痛みにたえられなくなってきて、ようやく布団から出ようと決める。
そして、また今日がはじまる。
ささっと朝の用意をし、家を出る。
郵便受けを覗くと、電気代を催促するはがきが入っていた。
宛名は楠木透夜。僕の新しい名前だ。
自転車のカギを開け、ため息をつきながら仕事場へ漕ぎ出す。
今日も一日が長いだろうなと考えながら。