光と闇の激突
闇の巨影が再び襲いかかるその瞬間、セリアは心の中で光を信じ、決意を固めた。彼女はカイの隣に立ち、彼と共にこの無限の闇に立ち向かう覚悟を抱いていた。
「カイ、準備はいいわ」
セリアはその言葉とともに、両手を前に掲げ、内なる力を引き出すように集中した。彼女の胸の中で小さな光が静かに輝き始め、まるで闇に対抗するために応えるかのように力が広がっていった。
カイは軽く頷き、「行くぞ、セリア。今度は俺たちの光を合わせて、奴に最後の一撃を食らわせるんだ」
闇の巨影が巨大な腕を再び振り下ろそうとするその瞬間、カイとセリアの体から光が爆発的に放たれた。その光は暗闇を裂き、周囲を一瞬で照らし出した。カイの放つ力は、まるで彼の命そのものを削り出すかのように強大で、セリアの光と共鳴しながら闇の巨影を押し返していく。
「ラスト・ジャッジメント!」
カイの叫びが響き渡り、彼の体から放たれた力が闇の巨影の中心に突き刺さった。闇が一瞬崩れ、巨影の動きが鈍くなる。その隙を逃さず、セリアは自分の光をさらに強めた。
「カイ、今よ!私たちの光で、この闇を消し去るわ!」
セリアは声を張り上げ、両手から放たれる光をさらに強くした。
「その意気だ!」
カイも力を込めて答えた。二人の放つ光が重なり、まるで嵐のように闇を飲み込んでいく。闇はその光に抗いながらも、次第に形を失い、再生することができなくなっていった。
闇の巨影が再び咆哮を上げ、その体が揺れ始めた。まるでその存在が崩れ落ちていくかのように、黒い霧が周囲に散り、影が消えていく。その力が弱まると同時に、暗黒の空が少しずつ明るくなり始めた。
「やった…!闇が消えていく…!」
セリアは信じられない思いでその光景を見つめた。永遠に続くかと思われた無限の夜が、少しずつ明け始めている。彼女の胸には確かな希望が灯り、再び世界に光が戻ってくる感覚を味わっていた。
しかし、彼女がその希望に浸る間もなく、カイが膝をついて倒れ込んだ。
「カイ…!」
セリアは慌てて彼に駆け寄り、その体を支えた。彼の顔は疲れ切っており、目を閉じたまま息を荒げていた。
「大丈夫だ…セリア。俺はまだ…やれる」
カイは弱々しく笑みを浮かべたが、その声にはいつもの飄々とした余裕はなかった。「これで…残りはあと3回だ」
「そんな…カイ…!」
セリアは涙を浮かべながら彼を見つめた。「どうして…どうして無理をするの?あなたの命が削られているのに…」
「無理はしてないさ。お前が無事なら、それでいい」
カイは軽く肩をすくめ、力を振り絞って立ち上がろうとした。「俺はまだ…残ってるんだ。次の厄災に備えないとな」
セリアは彼の言葉に心を締め付けられながらも、何も言えなかった。カイの決意は彼女以上に固く、彼がこの世界を救うために全てを懸けていることを理解していた。しかし、彼の命が次第に削られていく現実が、彼女の心に重くのしかかっていた。
「でも、次の厄災が来たら…」
セリアは小さな声で呟いた。
カイは疲れた表情を見せながらも、再び飄々とした笑みを浮かべた。「心配すんな。俺はまだ死なないさ。厄災を全部倒すまではな」
その言葉に、セリアは何とか微笑もうとしたが、涙がこぼれ落ちた。彼がどれだけ強がっていても、彼の命が限られていることは彼女には痛いほど理解できた。
「カイ…あなたがいなくなったら…」
セリアは泣きながら呟いたが、カイはそっと彼女の肩を抱き寄せた。
「俺がいなくなったって、世界は続くさ。お前がいれば、きっと大丈夫だ」
カイは静かに言った。「俺のことは気にするな。お前が信じる光を守り続けろ。それが、お前にできることだ」
セリアは涙をぬぐい、彼の言葉に頷いた。彼がどれだけ自分を支えてくれているか、そしてどれだけ自分の未来を託してくれているかがわかっていた。だからこそ、彼女は絶対に負けるわけにはいかなかった。
「わかったわ、カイ」
セリアは強い決意を持って言った。「私が、あなたの分もこの世界を守る…!」
カイは笑みを浮かべ、再び立ち上がった。「よし、そろそろ次の厄災に向けて動き出そうか」
無限の夜が明けた空には、再び星々の光が戻り始めていた。しかし、その光はかつてのような強さではなく、まだ頼りない。次の厄災がすぐそこに迫っていることを二人は知っていた。
これからの戦いが、より一層困難であることを。
二人は再び歩き出した。光と闇の激突