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星々の記憶

夜空を見上げると、無数の星々が輝いていた。しかし、その光はもはやただの美しさを象徴するものではなく、数千年の歴史の中で積み重ねられた記憶の残像である。ルクレシア王国の民にとって、星々は神聖であり、希望であり、そしてその命そのものだった。古来から星々は「アストラ」と呼ばれ、その光こそが世界を支え、魔法の源であり、文明を繁栄させてきた。


だが、その星々の光が弱まりつつあることに、誰もが気づいていた。夜空の輝きは徐々に失われ、星々はかつてのような力を持たなくなっていた。そして、それに呼応するかのように世界には不吉な変化が現れ始めた。


それは「八大厄災」――この世のすべてを滅ぼそうとする終末の力。


最初に訪れたのは**「血の月食」**。不気味な赤い月が夜空を支配し、海を裂き、波は大地を飲み込んだ。人々の生活は破壊され、王国の一部は瞬く間に崩壊した。


続いてやってきたのは、鉄の刃と風が舞い踊る**「鋼の嵐」、人々を白い粉が蝕み石化させる「白き病」、大地を焼き尽くす「燃える大地」。そして、昼夜を奪う「無限の夜」、戦死者たちの亡霊が復讐を誓い歩き続ける「死者の行軍」、命を奪う塵の嵐「塵の嵐」**。


最後に訪れるのは、すべてを無に返す**「虚無の叫び」**。


これらの厄災が星々の衰退と共に次々と姿を現し、ルクレシア王国は崩壊の危機に瀕していた。星々の光を失った世界は、もはやかつての輝かしい魔法の王国ではなく、厄災に覆われた絶望の地となっていた。


その中で、王国の令嬢であるセリア・ファルセアは、ある出来事をきっかけに旅に出る決意をする。王国を守るはずの貴族たちは無力で、ただ自分たちの安全を確保することにのみ専念していた。城下町で仲間と思っていた者たちから「王国は何もしない」という陰口を聞いたセリアは、深く傷つきながらも、何もしない王国を変えるため、自ら行動することを決意する。


そんな彼女の前に現れたのは、一人の飄々とした青年――カイ・アシュテール。彼は、何もかもを軽く見ているような言動ながら、その裏には絶望的なほどの力を秘めていた。彼には星々の力を宿し、強力な召喚獣となる特殊な体質があり、ただしその力を使うたびに自らの命を削られていく。


「俺の力、あと8回しか使えない。でも…どうせ死ぬなら、面白いことに使いたいよな」


カイのその言葉は冗談のように聞こえたが、彼の中には深い決意が宿っていた。彼は世界を救うためではなく、ただこの絶望的な世界を最後まで見届けようとしていた。


セリアはその軽薄そうな態度の裏に、強大な力と深い覚悟を感じ取り、彼と共に旅に出ることを決めた。厄災が次々と訪れるこの滅びゆく世界で、彼女はカイと共に戦い、そして答えを見つけることができるのだろうか?


世界の命運を背負う二人の旅が、今始まろうとしている。


星々の輝きが消え去る前に――。

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