Ⅰ【ⅵ】既に背景と化した不良達(既視感)
1日ぶりです飽き性です!!いや何か時間が敵ですねみたいな!?
ルームメイトとちーっすは文量の都合上次回になりそうです…。゜(゜´Д`゜)゜。
それでは〜!行ってらっしゃい✨
(Side ディラン・マーフィー)
ルカを見てまず思ったのが、最後に会った時から大分変わったなって事。
あ、勿論いい意味だよ?いい意味でね??
孤児院にいた頃は、多分…周りの人から色々言われてたせいで、いつも憂鬱な雰囲気醸し出してた。
ルカは、驚くほど”容姿端麗”という言葉が似合う子だった。
孤児院は清潔とはほど遠い場所だったから、皆頭髪が傷んでて健康には見えない。
そんな中でも、ルカはやっぱり独り目立ってた。
鮮やかな紫色の髪に、紅色の瞳。整った顔立ちに同い年の中では身長は高い方。
周りに対して普通に、明るく振る舞ってたらあっという間に貴族に引き取られてたかもしれない。
けど、ルカは孤児院に来る前に何かあったのか、殆ど無表情で下を向いてた。
憂鬱な雰囲気と相まって別方面の魅力はあったけど、その雰囲気を不気味って捉える大人の方が多かったんだよね。
俺と話してる時だけは、年相応の無邪気な笑みを浮かべてくれて嬉しかったなあ。
ルカの転機は、俺が貴族に引き取られるってなった時に訪れた。
突然の俺の報告にルカは目を見開いて固まった後、大粒の涙を零したんだ。
ルカは、普段無表情で憂鬱な雰囲気を醸し出していたから、大半の人から感情がない子と思われていた。いくら容姿が優れていても感情がない孤児を引き取る勇気のある貴族はそういない。
けど状況が変わった。ルカが涙を流すのを目撃した孤児院の子が、監督の大人に報告。その情報をどこからか嗅ぎつけた貴族による間で、裏では誰がルカを引き取るかで揉めていたらしい。
所詮、人は見た目で決まる。皮肉なことに、孤児院で一番優しくて皆から信頼されてた子は最年長だった。
結局ルカをどこが引き取るか問題はグラース家に落ち着いたみたいだけど。でもルカのファミリーネームは”グラース”じゃなくて”ベネット”で孤児の頃から変わってなかったから、屋敷でなんかあったのかな。
ぼんやり思い返していると。
正面から不良が炎属性の攻撃を仕掛けてくるのが見えたから、何とかルカを突き飛ばした。その後炎に囲まれて、いつものように殴られては蹴られた。
激痛と耳に障る笑い声にひたすら耐える時間が始まる。
…もう、慣れちゃったけど。
ルカと目があった時、彼の瞳は変わらず紅色だったから…炎属性なのかな。
もし俺を助けようとしても炎に炎は無駄でしかないし、もう打開策はない。
というか、むやみにルカが突っ込んできて、ルカが怪我をするのが怖い。
まあ消灯時間までには離してくれるかな。大体そうだし。
投げやりに考えてしまった、その直後。
不意に、辺りに水色の粒子が現れ輝き始めた。
「(確かこれは、水属性の…。)」
粒子の数が増えるにつれ、何故か俺の中の魔力値が回復していくのを感じた。
ええっとこの現象、何て言うんだったっけ。歴史の授業で習ったような…。身近で見るのは初めてだから上手く思い出せないや。
ふわふわした不思議な感じ。ひんやりして気持ちいいけど、なんとなく温かいような。
思わず、笑みが溢れた。
「あぁ?何笑ってやがる!」
「この水色の光って、水属性じゃ…。」
「馬鹿言え!しょーもない威嚇だろただの。今のこいつに反撃出来る力なんて残ってねえよ!」
そうだ、確か”魅惑の瞳”だ。
相手の魔力値を増幅させられる、奇跡にも等しい力。
光属性の、滅多に使い手の現れない、肉体と強く結びついた魔法。
ふふ、そっか。そういう事なんだね。
最初は一体誰がこの力をって思ったけど、分かったよ。
…ありがとう。
”魅惑の瞳”持ち主の瞳の色は、決まって紅。
この場にそれが当てはまる人は、ルカしかいない。
手助けをしてくれてるのなら、どう足掻こうが、期待されてるならそれに応えないと。
周りの水属性の魔力を体内に取り込む。
一気に取り込んだら駄目だと思いつつも、かなりのハイスピードで取り込んでしまった。でも魔力異常症候群にはなってないから大丈夫だと思う。
あ、魔力異常症候群ってのはね。
空気中の魔力を自分のキャパを超えて、大量に取り込んだ時とか、魔力値が極端に減った時に起こる症状のこと。
具体的には、軽いものだと頭痛、腹痛、関節痛。重いものだったら嘔吐とか吐血、失明だってあり得る。
なんやかんやで、取り込んだ魔力が十分になったことを確認。
これだけあれば久しぶりに規模が大きいのも出来るかも。
頭の中で、大きな水竜をイメージする。美しく、しなやかで、強い、伝説の生き物。炎を消し去る、災いをも鎮める、純粋な水。
イメージを行き渡らせたところで、小さく口を開いた。
「ディラン・マーフィーの名の下に、その姿を顕せ。…”水竜”」
俺らは力を行使する時、基本詠唱を必要としない。
けど、規模が大きかったり、創造したものに意思を宿したりするのは詠唱が必要となる。
効果は抜群の一撃必殺技だけど、その代わりかなりの魔力値を必要とする。
魔力値が10を切ると、それこそ魔力異常症候群になっちゃうし。
詠唱によって具現化した”水竜”を操り、炎をまず鎮火。
…本来ならこれだけで十分だったんだろうけど、少しだけ。
今までの仕返しを。
一方的にずっとやられ続けてたんだもん。ちょっとぐらい良いよね?
「えいっ」
小さな掛け声とともに手首を振り下ろす。
”水竜”が雄叫びを上げ、大きな口を開けて不良等に襲いかかった。
「「「ぎゃあああああああ!!!!」」」
不良は叫び声を上げながら炎の塊を連発するけど、そんな威力の弱いものじゃあこれは消せない。
あっという間に飲み込まれた。
流石に窒息死させようとまでは思わないから、軽く腕を振って”水竜”ただの水に戻す。
床と一緒にびしょびしょになったの不良は腰を抜かしてあんぐりと口を開けたまま。
…もう、大丈夫かな。流石にこれ以上俺に付きまとわないでしょ。
1つ息をついて、ルカの方を見た。いつの間に来ていたのか、その横にノアさんもいる。
ルカは目が合うと、全力の笑顔を魅せてくれた。
「な〜いすっ!!」
俺も、負けじと心からの笑顔を浮かべる。
「あ〜りがとっ!!」
お互い全力で笑い合うのは、孤児院の時以来。
脳裏に幼い頃の俺等の姿が浮かぶ。
その後ろ姿を眺めながら、俺の意識はゆっくり闇へと堕ちた。
(Side ルーカス・ベネット)
「っディラン!?」
意識を失ってしまったらしく、傾いたディランの体を慌てて支える。
顔色、大丈夫。呼吸、安定。脈、安定。
「…ただ寝てるだけ、か。良かったあああ〜〜〜〜〜…。」
一瞬ひやってしたけど、問題なさそうだね。安堵に胸を撫で下ろす。
「…多分一気に魔力を放出する大技使ったから、疲れちゃったんだと思う。」
いつの間にかこっちに来てたノア君は、そう言いながらディランの額に手を当てた。
ディランの体に光属性の粒子が舞う。
多分、治してくれてるんだと思う。物理的な傷とか、普段の睡眠不足とかストレスとか。
「ノア君、色々ありがと。俺ディランを寮に運ぶね。えっと何号室か知ってる?」
「…508。」
508っていったら俺の部屋の隣だ。
あることに地味ーに勘付いてしまった俺は、ノア君の方をもう一度見遣った。
「…ノア君は何号室?」
沈黙。暫く俺らはお互いに微塵も動かない。
けど根負けしたのか、ノア君がそっぽを向いたまま、
「…………509。」
って言い放った。
509…509?…509!?いやいや同室じゃん!!!
今まではノア君に苦手意識あったけど、今回の件でちょっと仲良くなれた…気がする。
俺はすやすやと眠っているディランを抱えて、ノア君と並んで寮への道を進んでいった。
…そういや、何か忘れてる気がするなぁ…。まいっか。
最後まで読んでいただきありがとうございました〜!
”致命的な間違い”回収できませんでした!!やーい私の嘘つき!!
多分次の次ですかね、書きたいことが多すぎるぅッ
良ければ…!ブクマ感想等いただけたら嬉しいです…!!✨次回もお楽しみに〜!!
_人人人人人人人人人人人人人人_
> 次回予告【6/2更新予定】 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
( 'ω'o[ 完全に無事一件落着!やっとルーカスはルームメイトと初のご対面!! ]o