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不器用な俺は、今日も不味い「お菓子」を作る
【あらすじ】
好きな子を振り向かせたい。
その思いで始めた毎週日曜のお菓子づくりは、未だ上達のきざしを見せていない。
それなりに量がある失敗作を、幼馴染の美香子と一緒に雑談しながら食べる。日曜の昼下りのその習慣は、美香子が亡くなってからも変わらなかった。
俺の頭がおかしいのか、都合のいい夢でも見てるのか。
死んだはずの美香子は、日曜にふらっと現れては、いつも通り不味いお菓子を要求し、あれこれ文句を言いながらも一通り食べ、そしてふらっと消えてゆく。
もし俺が美味いお菓子を作ってしまったら。もし俺の今の気持ちを美香子に伝えてしまったら。美香子はもう二度と現れない気がして。
肝心な事は何も言えないまま、俺は今日もワザと不味いお菓子を作る。
【コメント】
お菓子は普通美味しいものだけど、あえて不味いお菓子を題材にしてみよう、という考えからこのあらすじが生まれました。
幽霊はお供え物に込められた想いを食べる、みたいな話を聞いた事があるので、その設定も盛り込んだら良い感じにほろ苦恋愛小説が完成しそうな気がします。