一目ぼれ
やばい、めっちゃハマる。
すんごい好み。
よく見れば、体形も好みの骨格ガッシリの筋肉しなやか系。
その身体にその顔が乗るのか!それは反則だろうって位、もうぴったんっこっこ。
おまけに心なしかいい臭いまでしてくる。やばい。めちゃ好み。
フォーリンラブ。
「そういえば、自己紹介がまだでした。貴女は、何も聞かずに俺たちを迎えてくれたのに、失礼な事をしていましたね」
いいえ、すぐに追い出すか、眠ったところでダンジョンの運営に必要なエネルギーを奪おうと必死でしたから、おかまいなく。テヘペロ。
「俺がウリセスで、あっちが」
「テオドア、テオって呼んでいいぜ」
いや、別に呼ばないから。
「リアージュです。リアとおよびください」
呼んで欲しい、ウリセスだけに!
「うん。で、リアはここに一人で住んでいるの?」
なんでお前が呼び捨てなんだよ、テオ。ッチ!
「いいえ?家族と一緒です。」
女の1人暮らしだなんて危なくて言う気ないよ。まぁ実際はお姉様と一緒に暮らしているのだけど。
「ご家族にもご挨拶したいのだが、ご在宅ではない?」
ご在宅ではありますが…喜んで!とは言えないよなぁ。お姉さまのトラウマ発動しちゃうかもだし。
私の困り顔を見て、それはならないと気付いてくれたようだ。察しもよくて、なお素敵。
「それではご家族にも宜しくと。お伝え願えるだろうか?この礼はいずれ、」
デートしてくれたらチャラにしてもよいなぁ。なんて馬鹿なこと考えてみたり。
助ける見返りに、まぁダンジョン運営に必要なエネルギーもらうんですけどね?しかも許可なく!
他のダンジョンもしてることだし良いよね?わざわざ断らなくても。
「困ったときにはお互い様です。この場所を黙っていてくれたら、それだけで…」
「欲のないお方ですね。」
困ったような笑顔。ああ、笑ったところも好き。
チクリ。胸が痛みます。めちゃ好みの男性との邂逅、こういう場所でこういう場合じゃなければもっと良かっただろうに。
私がただの一市民だったころの「リア」ならば、私の働いているお店に冒険者の彼が食事に来て、って妄想が広がります。惜しむべきは出会いの巡りあわせ。
「あのモンスターはどうやって手なずけてるの?すごい仕込んでるみたいだけど」
「テオ…」
まぁ、ずいぶんと突っ込んだ質問してくれるね?
「我が家の秘伝です」
私に吸収されちゃったダンジョンコアの仕様ですからね。
「ふぅん。ここって隠れ里みたいなもんか」
笑みだけで返します。返事しようがないもの。
特定技能集団が隠れて技を磨いている場所…みたいに思ったのかな?
いえ、単なるダンジョン乗っ取りですけど。
「あなた方はどうしてここに?」
森の深部程ではないけれど、やや人が狩りする領域とは離れています。
冒険者も滅多に来ない場所です。…ゴブリンにしか出くわさないうま味のない場所ですから!!
さして興味はありませんが、次々と他の冒険者がやってくるようになったら困ります。
一応聞いておきましょうか。
彼らは、冒険初心者のグループとその指導役なのだそう。
登録してはじめての講習で、いつも利用している場所にハグレのネームドモンスターが出たとかで、いつもは居ても2~3匹のゴブリンが出るだけの場所に変更して薬草採集に向かった所、ゴブリンの群れに出くわして、追い回されけが人が出てしまった。
なんとか群れを引き離す事ができたので講習はとりやめ、帰ろうとゴブリンの群れを迂回し遠回りしているうちにガキンチョの1人が足を滑らせ、滑落してしまった。
そのガキンチョを回収して戻ろうとしたが 大雨に降られ視界がまったく効かなくなったところに雷まで鳴り出してって事らしい。
いやそれなんて不運のオンパレード。誰か天中殺の人でもいたんじゃない?
まぁそんな中でよくもこのダンジョンの入り口を見つけたものだよ…。
なになに?大雨になる前に、あの丘、雨宿りできそうな洞穴がありそうだなってあたりをつけてた?
…さいですか。やっぱり別のところに入り口を作ろう。しかも早急に!
「誰かお客様?」
うぉ!お姉さま。寝てたんじゃないの?こっちは危ないから来ちゃだめだって。
デザートを運んできたゴブリンに着いてきちゃったのか…。
ぐっすり寝ているって思ってたのに。騒がしかったかな?
あっ音漏れのせいか。さっきまで大騒ぎしてたし。
どうしよう。どうしよう。ってあれ?
…意外と大丈夫のようですね。こんな人里離れていた場所に人間を避けて籠ってた私の努力っていったい…。
いやいや、時間経過のなせる技なのかもしれないし?
ちょうどいいっちゃちょうどいい?
ちょうどよかった…?
…この分ならそろそろリハビリでどっかの人里(治安のよい場所に限る)に連れて出てもいいかもしれない。でもおエレンお姉さま、美人すぎるからなー。下手なとこだと目立っちゃうかなー?
「リアが摘んでくれた桃があったから、お客様にお出ししたらどうかなと思って持ってきたの。リアの作った桃、本当に甘くておいしくて、他の人にも食べてほしくって」
お姉様天使!
お姉様の天使っぷりに感激しつつ、ふと動きの止まって言葉をなくしたウリセスを見る。
ウリセスは目を見開き、お姉さまを凝視している。頬にうっすら赤みがさしているようだ。
…他人が恋に堕ちる瞬間を目撃した。
その他人は私が一目ぼれした人。
そしてその人の相手は私のお姉さま。
うそーん。