ホトルの樹の場所を教えてやる
『起きてるか?』
翌朝もロビンが来た。一昨日の借りはホトルの実で返したのにまた来たのはどうしてだろう。
「何の用?」
『またホトルの実をくれ』
「いやだよ。2個も上げたじゃん。そんなに毎日上げてたら僕の食べ物がなくなっちゃうよ」
昨日と今日だけならまだしも毎日来られるのはマズイ。先に予防線を張っておいた。
『うむ。それはわかっている。だから取引だ。ホトルの樹の場所を教えてやるからそれを収穫してくれ分け前は俺が7でお前が3だ』
ちょっと僕の取り分少なくない?運ぶのもどうせ僕になるんだろうし。悩んだけどあてもなく森を探し回ることを考えれば悪くない提案だ。
「いいよ。でも道中と収穫中の見張りもしてくれるならね」
『決まりだ。準備が出来たら出かけよう』
そういうとロビンはその辺の地面にゴロンと横になった。身支度を待ってくれるらしい。
水筒の水で買いを洗いホトルの実を食べ水筒を湧き水で満たす。武器の点検をし仕事かばんを装備すれば準備完了だ。
ちょっと物足りない。肉食べたいなー。歩きながらロビンに話しかける。
「なあロビン。狩りをしたいんだけどどのくらい離れれば大丈夫かな?」
『ロビンとはなんだ』
「あ、お前のこと勝手に呼んでた。いやだったらやめるけど」
『別にいい』
ちょっとうれしそうなのは気のせいかな?
『狩りをしたいならいここから半日くらい歩かないとダメだ』
「僕の足で?」
『俺の足で』
じゃあ狩りは実質無理か。人里見つけるまで我慢かな。でもホトルの実以外も食べたいんだよな。こいつ知ってるかな?
「じゃあさホトルの実以外で人間が食べられそうなもの知らない?」
『人間?ヒュームのことか?それなら植物の生る木がホトル以外にも何本か生えてるから案内できるぞ』
「じゃあ頼むよ」
『よしそれじゃそっちは4:6でいいぞ。収穫した実はお前が運べよ』
「いいよ」つい応じてしまった。3:7とか言ってみればよかったかな。僕に取引は難しい。
運ぶことについては無限収納があるけどあちこち移動するのはまだ怖いんだよね。
『きちんと見張りしてやるから安心しろ。それにどんな魔獣も基本的には俺たちに近づいてこないから大丈夫だ』
近づいてこない?こんなに弱そうなのに?
『疑うのも無理はない。実は俺たちの角には魔力を吸収する力があるのだ。魔獣も人間もはそれを嫌がって近づいてこないのだ。お前みたいなヘンなやつ以外はな』
へー。便利な力だなー。
『だからと言って俺たちから角を奪っても無駄だぞ。死んだり体が弱ったりすると無くなる力だからな。ちなみに俺たちはこの森を出ると弱体化するから誰も俺たちを狙わないってわけだ』
なるほどよくできた仕組みだね。
「そういえばさ、なんでそんなにホトルの実が欲しいの?」
ほかの果実とは扱いが違うよね。
『ホトルの実こそ角の力の源なのだ。普段は腐りかけた実を食べているがどうせ食うならうまい状態で女房にも子供たちにも食わせたいだろ?』
身の安全のためにも食べるし好物でもあるってことか。自分のためだけじゃないっていいいやつだなロビンって。
そうこうしているうちに1本目のホトルの樹に到着。
無限収納からツタを取り出し木登りずりずり。
『な、なにやったんだお前!』
木の根元で急にロビンが大声を上げた驚いた僕は危うく落ちそうになったがなんとかバランスをとってセーフ。
「急に大声出さないでよ。魔獣が寄ってきちゃうじゃないか」
『このまで入り込んでくることはないから大丈夫だ。それよりもお前今ツタをどこから出した?』
スマホの魔力濃度計を見るとレッドだ。確かに大丈夫そう。でもなにをそんなに気にしてって、そうかロビンの前で無限収納使うの初めてだったか。一応隠してたつもりだったのにやっちゃったな。
「えーと、これは僕のスキルでものをしまえるんだ」
『それでもツタが枯れてないのはおかしい。どういうことだ』
「あ、これ?無限収納に入れると時間が進まないみたいでさ。便利だよねー」
『なに?枯れない?じゃあホトルの実も腐らないのか?』
「うん大丈夫だよ今朝食べた実も一昨日採ったものだしね」
『じゃあ約束の内容を変更しないか?2日に1回ホトルの樹1本に案内するからそれを収穫して俺たちの集会場まで取り分を運んでくれ。次の日は普通の食べ物の場所に案内するからそれはその翌日のホトルの実と一緒に集会所に運んでくれればいい。どうだ?』
「なにそれグッドアイデア!それでいいよ。よろしくね」
『よし。だがそんなスキルめったなやつには見せるなよヒュームは欲深いからな』
というわけで食料不足の不安はなくなったけどいつになったら森から出られるようになるのだろうか。
先行き不安な感じです。
というか森を出れたとしても一体何をすればいいんだろう。
このスマホ、検索機能付いてないから料理も肥料も道具の作り方も調べられないんだよ。
助けて管理人さーん!